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人材マネジメントの動向⑥

人材マネジメントは経営機能です。経営に資すること、貢献することが求められます。
よって、「人材マネジメントは利益にフィットさせる」と思い込んでいました。

しかし、学習院大学守島基博教授の「日本型戦略人的資源論とはなにか」によると、「利益に人材マネジメントを直接フィットさせるわけではなく、戦略に人材マネジメントをフィットさせることが必要」というのです。ピンときませんでした。
理解できないまま、時間が経過したのですが、昨年、立教大学の中原淳教授のブログで納得することになります。
研修評価に関する内容だったのですが、
「各職場の成果や利益は、研修以前の要因、すなわち戦略と市場で決まってしまう」
「戦略の達成を支えているのは行動変化です。行動変化は、戦略を通して各職場の成果や利益に貢献しているのです。」
人材マネジメントは利益にフィットさせるのではなく、戦略にフィットさせるということの理解が深まりました。

守島先生や中原先生、そして「経営理念の浸透」を編まれた高尾義明先生の思考に伴走してもらいながら、VCラボのデリバラブルは形づくられました。
行動変化までには時間がかかります。
けれど、情動変化、認知変化をおさえ、行動変化まで目指します。

■ デリバラブル
当研究所では、人材マネジメントにおいて一般解が存在しないことを前提に、管理職や社員に自らの価値観や経験知・身体知の概念化・物語化を促進することで、自身と組織とのビジョンの重なり合いを実感して頂く方法を探求したいと思っています。
その重なり合いは意味を生成し、モチベーションの源泉や経験学習へのアクセラレーターとなって、目標達成につながる能力を更に進化させ得ると信じています。
ビジョンの重なり合いを感じて頂くには、価値観や経験知の言語化が必要であり、言語化を推進していくには外部からの「問いかけ」が重要です。
権威に裏打ちされた「正解」を纏ってしまうのでなく、これまでの経験の蓄積をもとに自らのビジョンを手作りで表現していくこと。
この支援を行いたく、「ビジョン・クラフティング」という名称に思いを込めました。

ビジョン・クラフティング研究所 「自己紹介」


次回は、科学的管理法の視点ではなく、コンティンジェンシー理論の視点から人材マネジメントをとらえてみます。


◆研修満足度を質問する「直後アンケート」が研修評価としては「プチ残念」になりつつある件
:研修評価は「行動の変化」まで追うのであーる!?

◆守島基博(2015)「日本型戦略人的資源論とはなにか」中原淳〔編〕『人事よ、ススメ!』碩学舎

◆高尾義明・王英燕(2012)「経営理念の浸透ーアイデンティティ・プロセスからの実証分析」有斐閣

小西さん12月

■ プロフィール
小西 定之(こにし さだゆき)
ビジョン・クラフティング研究所 シニアコンサルタント

小西さんアイコン8

産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、証券会社で企業金融に従事、その後、独立系コンサルティング会社において人材マネジメント分野のコンサルティング業務(主に人事評価制度)に従事、そして株式会社ジャパンEAPシステムズで会社におけるメンタルヘルス対策のあり方について探究。

お問い合せ:https://www.jes.ne.jp/form/contact