「立場から学んだこと」改め「私を変える言葉」

昨日部屋を片付けていたら久しぶりに高校の卒業文集を見つけた。

卒業文集になにを書いたかなんて覚えていなかったから少しドキドキしながらページをめくると、「立場から学んだこと」といういかにも優等生っぽい題名で私の卒業作文は始まっていた。

3年間料理部に所属し、1年間を部長として過ごした。昔から運動は好きだったけれど、放課後は友達と遊んだり趣味に費やしたりしたかったので週2回程度の活動だった料理部を選んだ。クラスから1人で入部したのではじめは緊張ばかりだったが、友人や先輩にも恵まれて楽しく活動ができていた。

2年生になり、部長を決める季節。

クラスから1人で入部したこともあり、部員とフラットな関係を築けていた私は投票で部長を任された。幼い頃は目立ちたがり屋だった私も、大人への階段を上がる途中で「普通」を求めるようになっていた。「普通」を目指したからこそ、目立つ立場に選ばれてしまったのだ。

卒業文集にも書いてあったが、今も昔も私は「人に指示したり、意見したりすることが苦手」だ。明るく楽しく穏やかな部活だったが、女子高生が集まれば会話は止まらない。時には教室よりも広い家庭科室で、注意をすることも必要だった。

作文には「注意したいけどできない。しなければいけないのにできない自分が嫌だった。」と書いてあった。周りからの目が気になって、大切なことを伝えられない自分に腹が立っていた。

そんな時、1つ上の少し厳しかった先輩が引退時に言った言葉を思い出した。

「みんなでわいわい部活をするのは好きだけど、週1回しかみんなで集まらないからってダラダラするのは嫌だったから。誰かがしっかり言わないといけないことってあるよね。いい部活にしたかったから、嫌われる覚悟で厳しく意見することもありました。」

私は彼女の強さに惹かれた。カッコよくて、私も自分の見られ方なんて気にせず、人のために動きたい。とてもとても眩しかった。

それから私は少しずつ、注意や意見をするようになった。先輩が作ってくれたこの空間を維持したいから。もっと素敵な時間にしたかったから。言葉を選んで真摯に伝えれば、受け入れて一緒に考えてくれる仲間がいると学んだ。


部活で作ったはじめての料理も、豪華にたくさんの品数を並べた最後のテーブルも、嫌というほど作ったケーキのレシピも忘れてしまったけど、先輩のその一言だけは今も鮮明に覚えている。


そんな私も昨年大学を卒業して社会人になり、毎日もがきながら人並みに働いている。ありがたいことに、1年目からたくさん仕事を任せてもらった。

嬉しいしやりがいはあるけれど、正直今も怖さの方が強い。


「どうしてそれを相手に伝えなかったの?」

うまくいかなかった社外とのやりとりを報告すると、上司から聞かれた。

「伝えたかったけど、1年目だし怖くて強く言えませんでした。」

そう答える自分があまりにも情けなくて、帰り道涙が止まらなかった。また人目ばかり気にしていたあの頃に逆戻りしてる自分に気づいた。

17歳の先輩が、あの時言ってくれた言葉。

社会人2年目になった23歳の私。

仕事は部活よりも、もっとシビアで難しい。年齢や立場だって違う。怖さはきっと消えないと思う。

だけど私だって大人だから。本当の意味で誰かのためになりたいから。自分と周りを信じて、明日からまたスタートしよう。


#部活の思い出 #部活 #料理部 #言葉 #社会人

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