にしてもコーヒーの世界の奥深さよ
アメリカンコーヒーとエスプレッソコーヒー。
薄めに淹れたらアメリカン、濃いめに淹れたらエスプレッソと思いがちだが、それは正確ではない。
コーヒー豆の焙煎には8段階あって、もっとも浅煎りの〈ライトロースト〉だと豆はようやくほんのり茶色になったかなという程度。
逆にもっとも深煎りの〈イタリアンロースト〉だと豆は焦げて真っ黒だ。
コーヒーの苦みは、豆自身の苦み+焙煎の焦げの苦みからなる。
浅煎りだと苦みが弱く、深煎りだと苦みが強くなるのは当然だ。
カフェインは揮発性のため、浅煎りは残りやすく、深煎りは飛びやすい。
苦みとカフェインは直接の関係はないのだ。
アメリカンは8段階中3番目に浅煎りの〈ミディアムロースト〉で淹れる。
アメリカ人はスッキリ浅煎りのコーヒーを好むのだとか。
したがってアメリカンは苦みが弱く、カフェインもしっかり残っている。
エスプレッソはもっとも深煎りの〈イタリアンロースト〉で。
イタリア人やフランス人は、ガツンと苦いコーヒーがお好み。
ここまで煎ると苦いのは当然だし、カフェインは飛んで少なめ。
茶葉を焙じて焦がしたほうじ茶がカフェイン少なめなのと同じ理屈。
同じ焙煎の豆で、薄めに淹れたらアメリカン、濃いめに淹れたらエスプレッソ、というわけではないのだ。
休日の朝だからアメリカンがいいな、インスタントでいいや、いつもよりコーヒー少なめ、湯たっぷりで、はいアメリカン、はおかしい。
寝る前だからカフェイン少なめのアメリカンにしとこ、は間違い。
眠れなくなるからエスプレッソは夜飲まない、も間違いということになる。
店で飲めば、間違いないだろうか。
コーヒーを売りにする本格的な喫茶店ならきっと心配いらない。
アメリカンとエスプレッソでは豆や淹れ方をきちんと変えてくれるはずだ。
問題はバイトだけで回すようなカフェ。
そんな店はボタン一つで淹れられるコーヒーマシンを常用するが、エスプレッソ専用マシンしかないという場合もある。
ラテやカプチーノなどを作るためにはエスプレッソが必要だし、ふつうのコーヒーはエスプレッソを5倍程度に薄めて出せばそれっぽくはなるからだ。
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にしてもコーヒーの世界の奥深さよ。
もっと詳しく知りたくなったら、神戸のコーヒー博物館へ。
神戸の企業・UCCが運営する企業博物館で、かなり詳しい展示と飲み比べ試飲などが楽しめる。
コーヒーの博物館は日本でここだけという。
さすが、コーヒーの町・神戸だ。
(2021/7/7記)
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