この4桁と3桁のズレがある限り
大きな桁の数を読むのが苦手という人は案外多い。
…ってこの話、結構あちこちですでにされているから今さら感も。
なぜカンマが入っているのに読みづらいのかとか、どうすればさっと読めるかとか。
しかし昨年、新入社員が全然読めないと嘆いているのを見て、困っている人がまだまだ多くいることを知った。
ならばやっぱり書き留めておかなくては。
新入社員への解説に作った図を思い出しながら。
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たとえばこの数。
右から「一、十、百、千…」と位を取らず、さっと読めるだろうか。
読める人は、頭の中できっとこんな処理をしたはずだ。
①カンマが二つある
②「右から二つ目のカンマは百万」だから、その左の2は2百万
③答えは1千234万…
そう、どのカンマがどの位を表しているかを覚えていればすぐ読める。
ちなみにこうだ。
・右から一つ目のカンマは「千」
・右から二つ目のカンマは「百万」
・右から三つ目のカンマは「十億」
ここらまで覚えておけば、日常困ることはない。
だが、どうにも覚えにくい。
なぜ読みやすくするために入れたカンマなのに、千・百万・十億などと中途半端な位になってしまうのか。
これは日本と欧米の数え方の違いが原因だ。
日本の数え方は、一、十、百、千の4桁が繰り返されて大きくなっていく。
その4桁で表せる数字を超えたら、万の位に上がる。
そしてその万もまた、一、十、百、千と大きくなって億の位に上がる。
となれば、4桁ごとにカンマを入れたらどうなる?
右から一つ目のカンマが「万」、二つ目が「億」。
これなら分かりやすいし、覚えやすい。
実際、過去には4桁ごとにカンマを入れていた時代もあったり、今も4桁カンマで教える小学校もあるらしい。
対して欧米の数え方は、one、ten、hundredの3桁が繰り返されて大きくなっていく。
その3桁で表せる数字を超えたら、thousandの位に上がる。
そしてそのthousandもまた、one、ten、hundredと大きくなってmillionの位に上がる。
これをカンマで表現したのが、よく見慣れた3桁カンマだ。
なるほど、欧米的には3桁カンマが読みやすい。
つまり、日本では4桁ごとに万、億、兆…とキリがよく、欧米では3桁ごとにthousand、million、billion…とキリがよい、ということになる。
こうして日本と欧米の位取りがずれていく。
4桁ごとと3桁ごとが同じ区切りになるのは、その最小公倍数12桁のところ。
つまり億の次の「兆」とbillionの次の「trillion」は一致する。
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この4桁と3桁のズレがある限り、日本人にとって数の読みづらさは解消できない。
結局、右から一つ目のカンマは「千」、二つ目は「百万」…と覚えておくしか方法はない、というのが結論だ。
でもなぜ読みにくいのか、その理由がはっきりしたなら、少しはスッキリするのではないだろうか。
(2022/7/29記)