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ファイト、長男!

大学を卒業し、学生時代最後の1週間を自宅で過ごしていた長男が、今日関東へと下っていく。

思えば愛媛の山あいの中学を出てすぐに海を隔てた明石高専の寮に入ってしまったから、長男といっしょに暮らしたのは最初の15年間だけだ。
子供が離れていくのは高校を出てからと当然思っていたから、不意打ちのように15で出ていくことが決まったときはやはり淋しかった。
でも高校に通うことがままならない山間地域だったのでやむを得ない。

ただ、やはりというか、寮生活は長男を確実に成長させた。
そんなに芯があったのかと長男を見直すこととなったのは寮生活のおかげ。
同級生が6人ほどしかいなかった山の生活から、多数が規律の中で暮らす寮に飛び込む決断を自ら下した長男を褒めてやりたい。

コロナ元年に寮が一時閉鎖になり、自宅待機した3か月もあった。
いろんな負を引き連れてきたコロナだが、思わぬ形で5人の暮らしが復活したことだけは心から感謝している。
その3か月、決して後にも先にもない毎週土曜のパーティーを開いたのは、僕にとって一生胸に残る大きな思い出だ。

長男は高専を卒業すると大学に編入し、東京へ行ってしまった。
京都の僕の母校とライバル視される大学だ。
編入にあたって自宅に戻ることはないと思っていたが、ついに関西から出て遠くへ行くのかと淋しく思ったのは確かだ。

だからこそ、盆や正月の帰省はこのうえもない楽しみだった。
帰ってくると聞けば、何日?何時?と1時間でも早い帰りを望むのは、どこの親もいっしょだろう。

3年間の大学生活を終え、今回がいよいよ学生としての最後の帰省。
とりたてていつもの帰省と変わることはないのに、親としての責任が果たせた安堵感だろうか、これで最後かと感慨深く過ごした1週間。

長男は高専も大学も学科を首席で卒業したという。
大学なんてろくすっぽ行かなかった僕とは大違い。
そのがんばりがあれば、きっと今後洋々たる未来が展がるはずだ。
会社員をドロップアウトした僕が言っても説得力のかけらもないが、明日からの社会人生活を心ゆくまで楽しんでほしい。

ファイト、長男!

(2024/3/31記)

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