青い豆と青くさい自分たち
小学2年生の頃、クラスで一時期ピーピー豆がはやった。
校内を探検しましょう的な授業で、先生がグラウンドの隅のカラスノエンドウを笛にして、皆がわぁっと歓声を上げたのが始まりだったか。
それからしばらくは休み時間になると皆サヤを求めて茂みに走り、小さな笛が次々と量産されていった。
ただピーピー鳴らすのに飽きてくると、次は仕上がりの形を改良する友だち、息の吹き方に工夫をこらす友だち、数本同時にくわえて一人で合奏を始める友だちなどさまざまいたが、自分は笛を口の中に完全に隠して吹く技を磨くグループにいた。
それが上手にできるようになって行き着くのはもちろん、授業中に教室のあちこちから皆で隠し笛を吹くイタズラ。
ピー、ピーッ、ビー、ビーーーーッ!
ピーーッ、ピーーッ、ピピーーーッ!
…フィ、フィー、ビッ…
満を持しての本番なのに、まだうまく鳴らせないヤツもいる。
ひとしきり鳴ったあと空気が一瞬淀み、小2といえど、この空白の次に来る雷は想像できた。
こらーーっ! 誰やーーっ!
来た! 落ちた! 雷!
…フィ、フィー、ビッ…
うまく鳴らせないヤツは、止める方法もまだわからないようだったが、雷鳴を止めるには十分だった。
誰も稲妻に打たれることなく、雷雲はすぐ去った。
自分たちは完璧に隠しているつもりだが、小2のやることだ。
誰のしわざかなど一目瞭然だったろうが、先生も最後は目を細めた。
豊かな時間だったな、青い豆と青くさい自分たち。
(2019/5/30記)
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