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僕の個人的な思いを代弁する、顔を見せないウサギ

大学時代、僕はテニス&スキーのサークルに所属した。
いわゆる当時のミーハーというやつだ。
僕の行っていた大学と複数の女子大との合同で、楽しい人ばかりの和気あいあいとしたサークルだった。

その同回生だけで結成した同窓会が、30年を経過した今も健在だ。
僕はその永年幹事を務め、毎年この時期に名簿を発行している。

そして先週、今年の名簿が完成し、メンバーに郵送した。

名簿といっても単なる住所録ではなく、毎年メンバーに原稿用紙を送って書いてもらい、それを印刷製本してみんなに送る会報だ。
この時期に発行するのは、当初は年賀状に便利なようにとの意味合いだったが、「卒・年賀状」のうねりは大きく、すでにその用途はないに等しい。
でも、年末のちょっとした読み物としてメンバーが楽しみにしていると聞けば、もはや止めることはできない。
そもそも僕自身が好きで発行していて、原稿依頼から編集、制作まで数か月かけて行うこの作業が毎年待ち遠しくてたまらないのだ。

表紙のイラストは僕が毎年描いている。
テニスサークルの名が〈キャロット〉だったこと、同窓会の名が〈にんじん倶楽部〉であることから、イラストには必ずウサギが登場する。
その時どきの世相や僕の個人的な思いを代弁する、顔を見せないウサギ。

今年のイラストはこんなのだ。
時間はたっぷりあるくせに、ディテイルが手抜きになってしまった。
老眼のせいにしておこう。

🔹おもて表紙

🔹うら表紙

言わずもがな、まさしく今の僕だ。

名簿にはイラストしか載せないが、詞をつけるならこうなるだろうか。

立ち止まって考える。
自分にとって何が本当のご馳走?
だいたい、車なんていつの間に乗ってしまっていたんだ。

茨の道だけど、やっぱりこっち。
ごめんよ、後ろの車たち。
でもそっちはそっちできっと何か方法はあるから。

毎年僕の〈世迷い画〉につきあわされるメンバーが、ちょっぴりかわいそうにも思える。

しかし名簿の中身を見てみると、「人生の先がだんだん見えてきて、残りをどう過ごすのかが、目下最大の悩み」と書いているメンバーもいて、似たようなものだ。
この歳になると、残された時間をどう生きるのか、本当にこのままでいいのか、誰しも考えるのだろう。

レールと違い、ハンドル握って自由になると思っている車だって、実は後ろがいるから止まるに止まれず、ここまで走らされてきたのでは?

一度しっかり止まろう。
そして自分の足で歩こう。

(2022/12/12記)

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へんいち
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