社会がさらにその差を拡大させている
早生まれが不利、というのは昔からよくいわれてきた。
早生まれとは1/1~4/1に生まれた子供のこと。
勉強にもスポーツにも、早生まれは不利といわれている。
日本では、4/1生まれまでは上の学年に、4/2生まれ以降は下の学年になる。
4/2生まれと翌年の4/1生まれでは丸1年の差がありながら同じ学年になるから、学力的にも体力的にも差があるのは当然の話だ。
しかしその差も年齢が上がるにつれて次第に解消され、大人になる頃には気にしなくてよくなるといわれてきた――これまでは。
これまでは確かにそういわれてきた。
しかし最近の研究では、大きくなっても差は解消しないとされている。
ある研究によると、高校入試の成績は3月生まれは4月生まれより偏差値が4.5低く、30代の所得も3月生まれは4月生まれより4%低いのだという。
プロ野球選手も4~6月生まれの人数は1~3月生まれの倍以上いて、これは他のスポーツでも同様らしい。
大人になれば生理的な差はなくなっているのに、なぜこうなるのか。
原因は社会の仕組みにあるらしい。
大人が、この子は4月生まれだから早いだけ、3月生まれだから遅くて仕方ないと思えばいいのだが、現実には同じ学年の中でこの子はできる、この子はできないと判別してしまうのだ。
その結果、4月生まれの子は勉強ができるからと優先的に教育を施されてますます学力が伸び、スポーツができるからとチームに入れてもらえ、そこでの起用も増えてますます身体能力が伸びる。
小学校低学年くらいまでの能力差は生まれ月によるものだが、それ以降は社会がさらにその差を拡大させているというのが最近の研究結果だ。
対策として、低学年の間は生まれ月別に指導する、4月生まれは下の学年への入学を選べるようにするなどが考えられるが、国によってはあたりまえのこれらの制度も、日本ではまだ実現していない。
しかし早生まれでも、不断の努力をしてきた人は当然大きく伸びる。
前述のプロ野球選手のデータでは、獲得タイトルで見れば逆に1~3月生まれが4~6月生まれの倍近い結果となっている。
4~6月生まれは相対的にプロになれる数は多いが、大成して活躍するのはコツコツがんばった1~3月生まれ、といえるかもしれない。
そう聞いてウサギとカメを思い出す人は多いはずだ。
僕は5月生まれなのに、ずっとクラスでいちばんチビだった。
遅生まれのやっぱりウサギなのか、遅生まれだけど意外にカメなのか。
さぁどっち?
(2022/11/30記)