そろそろ本気出さないと、手遅れになる
ビッグマックと聞いて、ジャンクと思うかご馳走と思うかは人それぞれ。
原料の怪しさを考えればジャンクフードであることは間違いない。
ただし、ハンバーガー110円に対しビッグマック390円、パテも2枚、バンズも3枚で、特別感があるのもまた事実。
ビッグマックはジャンクなご馳走といっていい。
しかし、ビッグマックが390円というのは国際的に見るとかなり安い。
今夏の調査によると、もっとも高いベネズエラでは日本円に換算すると918円、スイスでは774円、本家アメリカでも621円するらしい。
ビッグマックは材料やサイズなどが世界で統一されているにもかかわらず、日本の390円は調査57か国のうち31位、先進国では断トツの安さ。
国による物価の違いを調整してもなお、日本のビッグマックは安い。
いや、マクドに限らない。
東京のサラリーマンの平均ランチ代が649円なのに対し、ニューヨークでは1,650円、上海でも1,020円という。
日本の平均賃金が先進国の中で最下位クラスなのは周知の事実だが、すでに韓国にも抜かれ、まもなく中国にも抜かれるレベル。
日本はもはや貧困の国といわれているのだ。
いつの間にこんなことになったのか。
日本はかつてジャパン・アズ・ナンバーワンと称賛され、ジャパン・マネーに物を言わせてマンハッタンの摩天楼を買収していたではないか――
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為替相場は主因だろう。
同じ物は同じ値になる「一物一価」の経済法則に則れば、円相場はビッグマックの価格がアメリカと同じになる1ドル70円で落ち着くのが自然。
しかし日本は、その相場で戦えるよう自らを変革させるのではなく、国策として円安へ誘導し、輸出で利益を上げる道を選んだ。
賃金は円で支払われるから為替相場によらず一定で、円が安くなれば国際的に見た賃金水準は下がることになる。
加えて、日本はモノが安すぎる。
消費者としては歓迎すべきことかもしれないが、安く提供するために原料、賃金を安く抑え、それがぐるぐる回って日本全体が停滞する。
家計のために1円でも安いものをと血眼になって探すことは、巡りめぐって自分たちの賃金を減らすことに繋がっているのだ。
その一因ともいえる供給過多。
コンビニで毎週登場する新商品を楽しみにする人は多いが、その陰で、売れない商品はお金にならないまま次々棚から姿を消しているのだ。
それをよしとする限り、報われない仕事は等比級数的に増え、結果として日本はさらに貧困の沼に落ちていく。
この国、あちこち間違っているのではないだろうか。
そろそろ本気出さないと、手遅れになる気がしている。
出せる本気があるなら、だけど。
(2021/9/24記)