現状を動かすために、理想がある

家を出て50ｍほど歩けば、バス通りに出る。
駅に行くにはそこを渡ることになるのだが、車の通行量がそこそこあるのに、結構な人が横断歩道のないところを渡る。
皆、駅への近道に通じるところを渡るので、中央分離帯はそこだけ草が禿げて、まるで獣道のようになっている。

さてここで「なぜ法律を守らないのか。守らせるためには…」と書いてしまいがちだが、今日はそんな話にはしたくない。
もちろんそう書くのは間違ってはいないが、皆がこぞって法を犯してまで取る行動から何のヒントも汲み取らないのはもったいなくないか。

さらに。
そこから100mほど歩くと、わりと大きなスーパーがある。
買い物の後、店内専用のショッピングカートを所定の場所に返さず、そのまま店外へ押して出て、くだんのバス通り付近に放置する人が相当数いる。
バス通りまで緩やかな上りになっていて、重い荷物が辛いからだろう。

さてこれも「ルール守れないならカートを廃止しろ」でいいだろうか。
先ほどの例と同じく、皆が似た行動を取る裏に何かヒントがないか？

もちろん法律やルールは絶対だし、それを守らなければ秩序は保てない。
でも絶対だからと疑いもなくただ踏襲的に遵守することのみに徹していいのだろうか。

皆ストレス感じてるから、そこで渡るのだ。
そこに横断歩道を作れば、より便利な街になるのではないか。
皆ストレス感じてるから、そこまでカートを押してくるのだ。
そこに公式のカート置き場を作れば、より便利なスーパーにならないか。

現状を動かすために、理想がある。

（2021/2/12記）