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【一曲入魂】 #5. Honesty - Billy Joel

Billy Joel を知ったのはおそらく中2の頃。アカペラのスタンダードナンバーとして「The Longest Time」の存在を知ったくらいの頃に、中学の音楽の教科にこの曲が載っていて、Billy Joel の名前をまた見て、自分で聴いたみたのが始まり。

中2の頃って、英語を勉強し始めて、辞書があれば簡単な英詞も読めるくらいだったので、この曲の意味を自分で調べて考えるのが正直楽しかったです。ファーストヴァースで出てくる "truthfulness" の半音が当時は難しすぎて、歌詞を覚えて歌うことは諦めました。


この曲はなぜか日本人(おじさん)の間で人気が高いということでサビを歌える人も多いのかもしれませんが、一応振り返り。

Honesty is such a lonely word
Everyone is so untrue 
Honesty is hardly ever heard
And mostly what I need from you

Honesty, Billy Joel

「誠実さ」はなんて悲しい言葉なんだ
誰もが偽りだから
「誠実さ」なんて滅多に耳にしないが
だからこそ君に求めたいんだ

当時13, 14歳(若すぎっ!)だった私は、このヴァースにひどく感動しました。これは今になっても変わらない意見ですが、Billy Joel の魅力は、どんなにクサいことを言っても説得力があることだと思います。言っていること自体は「『誠実さ』なんて洒落臭ぇ!みんなフェイクだ!」と、どこかのラッパーと同じような感じ。でも、彼の声、メロディ、ピアノから伝わってくる哀愁と諦念が、痛いほどに冷たく刺さってきます。

「誠実さ」を信じてないけど、だからこそ君には期待してみたいという、目の前の大切な人に託した最後の希望みたいなのが、最高にロマンティックだし、人生の糧になるようで、素敵です。

数年前からずっと、人生のモットーというか、一番と言っていいくらい大切にしている心構えがあって、それが「誰の前でも誠実でありたい」です。今考えてみれば、この曲を聴いたおかけで、「誠実な人でいたいな」とぼんやり思い始めた気がします。何かを偽って手にしたものなんか要らねぇ精神でここまで生きてきて、得をするどころか損をすることもあるけど、だからこそこれからも誠実でい続けたいと思います。

ただ、一箇所だけ何年経っても気に食わないラインがあります。ブリッジの部分。

I can find a lover

Honesty, Billy Joel

恋人なら見つけられる

これは大嘘です。

先に付け加えておくと、このラインは、「表面上の」とか「気を紛らわせるための」恋人のことを指しているはずですが、そんなの一旦どうでもいいのです。孤独に寄り添ってくれるような名曲に救われることはたくさんありますが、中には、モテない人の人生がどれほどモテないのか理解せずに書かれている曲があって、その瞬間に冷めます。Billy Joel もこっち側の人間だと思ってたのに、恋人いつでもできるんだ、、、と裏切られた気分になります。

ちなみに、世間でどれくらい人気なのかわかりませんが、デビューLPの『Cold Spring Harbor』も個人的に大好きです。特に「Tomorrow Is Today」は彼の虚無主義と悲観主義、しかしその間に一瞬だけ差す希望みたいなのが全て詰まっていて今でもふと聴きたくなります。


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