無本番・練習日記2020年11月30日~12月6日
2020年11月30日(月)
セヴィシック:ヴァイオリン教本 Op.2 Part1
ジェミニアーニ:ヴァイオリン教本 The Art of Playing Violin
テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジー
昨日張り替えたガット弦の様子が心配で、ドキドキしながらケースの蓋を開ける。多少調弦に狂いはあるものの、この程度ならモダンで巻き弦を張り替えた時も起こることなので、一安心。前回自分で初めてガット弦の張替え作業を行った時は一か月経っても弦の調子がが全く落ち着かなかったので、それを考えると今回はうまく行ったのだろうか。
セヴィシックで指慣らしをして、ジェミニアーニの教本は9番。次いでテレマンの5番。弦を張り替えたせいか、弓の圧力に対する感覚が変わっている。裸ガットを使っている上2本の弦で特にその違いを感じるので、これは巻き弦との差なのだろうか。重音や細かい動きの際に音の空振りが増えた気がするので、気を付けておこう。
時間が迫っていたため、駆け足の練習。バロックヴィオラを弾き終えたらモダンヴィオラでヴューの8番を見ておきたかったが、時間が来てしまった。
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2020年12月1日(火)
音階(C-dur , a-moll)
ヴュー:音程のための10の練習曲
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲
テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジー
昨日弾きそびれてしまったモダンヴィオラから。音階を弾き、ヴューの8番。速度は譜面に書いてあった指定テンポ「6/8拍子、付点二分音符=76」で。
もちろんある程度曲を把握した上での話ではあるけれど、速度を上げることで逆に弾きやすくなるということがある。8番もそれに当てはまり、以前は「一小節をこの速さで弾けるのか」不審に思っていたが、音の推移が頭に入りさえすれば、むしろその勢いに助けられることを知った。アクセントなど、自然に指定の場所に付けていた。ただし指が疲れることに変わりなし。一小節全体にかかるスラーを弾く箇所になると左手指の感覚が急に変わり、それに戸惑い音の流れが止まってしまいそうになる危うい瞬間があった。5度の動きが入ると、特に危なくなる。速さに関係なく起こる現象だったので、元々苦手な動きなのかもしれない。
ヴューを弾き終えた後は何となく曲が弾きたくなり、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番を最初から最後まで通す。ヴューの直後のせいか、テンポ設定は速め。他にも色々、気の向くままに楽器を鳴らした。
バロックヴィオラは弦の状態確認も兼ねてテレマンの5番を弾く。やはり裸ガットの感触が、張替え前より柔らかい気がする。
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2020年12月2日(水)
他用のため個人練習お休み。
(余談)オケの授業でクロンマーのクラリネット協奏曲を弾く。譜面の風景は古典派だけれど、実際に音にしてみるとモーツァルトやハイドンとは違った感触。調べたら、ウィーン古典派ではあるけれど、ボヘミア出身の作曲家だそうだ。出身地や使用していた言語など作曲家の背景を知っておくことの大切さは知っていたけれど、それは思っていた以上のことらしい。譜面は音間違いが多く、ヴィオラセクションで首を傾げた回数数知れず。
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2020年12月3日(木)
他用のため練習お休み。
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2020年12月4日(金)
セヴィシック:ヴァイオリン教本 Op.2 Part1
ジェミニアーニ:ヴァイオリン教本 The Art of Playing Violin
音階(C-dur , a-moll)
ヴュー:音程のための10の練習曲
レーガー:無伴奏ヴィオラ組曲
ドュヴィエンヌ:フルートとヴィオラのための協奏的二重奏曲 Op.5
バロックヴィオラ→モダンヴィオラ→バロックヴィオラの順に練習。一昨日モダンはオケで弾いているけれど、実質2日個人練習が出来ていなかったので、取り戻すように練習。まだ先だと思っていた合わせが急遽明日に変更になり、内心慌てていたのもある。
バロックヴィオラの1回目は基礎のみ。セヴィシックの3番のロングトーンと6番。6番はデタッシェに始まり、2音スラー・4音スラー。それぞれ逆弓でも弾く。基本形は5段程度のものだけれど、それなりに時間が掛かる。セヴィシックの後はジェミニアーニの9番。ただ弾くだけではなく、最初の基本形がどのように変化していっているのか考えて弾くことに。この教本の存在を知った時にはなかった着眼点。慣れたつもりが実はそうでなかったと判った時のワクワク感。挑み心をくすぐられた。
時間を置いて、モダンヴィオラ。こちらは音階で指慣らしをして、ヴューの9番。闇雲に音符を弾くだけではいつまでも指定テンポで弾けないため、どのように弾くか、まずテンポを落として弾きながら作戦を練る。突破口が見つかれば後は早かった。忘れていないかの確認で、念のため8番も弾いて、レーガーの無伴奏ヴィオラ組曲第1番へ。4楽章Molto Vivaceから。1番は昨年のオーディション以来の練習。練習したはずなのに改めて弾くといまいち腑に落ちておらず、弾きながら考えているうちに、自分の音で頭が痛くなった。姿勢が悪いのか、無理矢理音量を出しているのか。終盤になってレーガーがオルガン・ピアノ奏者であったことを思い出し、そこでようやく光が見え始める。やはり作曲家の背景を知っておくことは大事だ。
バロックヴィオラ2回目の練習は、明日急遽やることになったドュヴィエンヌ二重奏の練習。まず楽器の調弦を415Hz→422Hzに変更。思いの外音程が上がり、何より弓に伝わる弦の張力の変化に驚いた。こんなに張るものか。音程が変わるだけではないというのが、むしろ楽しい。しかし音が引っくり返りやすくなってしまったので、練習は主に弦の張りに慣れるためのものとなった。
モヤモヤした気持ちを振り払うためもあって、いつもより多目に練習時間を取ったけれど、楽器を下ろし腕を伸ばした瞬間少し痛みがあった。宿題も練習も、いっぺんにやっちゃいけない。
(余談)セヴシック(今まで「セヴィシック」と言っていたら、ネット検索によるとこちらが正解のよう)の表紙を見ていて、ふと湧いた疑問。アルファベットの上に、英語やドイツ語綴りでは出てこない記号が付いている。はてセヴシックさんのお国はどちら?
気になったらすぐ調べられるのがインターネットの便利なところ。シェフチーク(ハーチェクを略した読み方がセヴシック)さんはチェコのヴァイオリン奏者だったのですね。さんざんお世話になっておきながら、お国どころか本来のお名前の読み方すら知らず、お顔も初めて拝見いたしました。知らないことすら気付かないまま素通りしてしまっていること、たくさんある。いやー、恥ずかしい。
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2020年12月5日(土)
個人練習お休み。
(余談)ドュヴィエンヌのフルートとの二重奏合わせのため、個人練習はせず。本日で2回目。前回は1番と2番の合わせを行ったので、3番~6番の4曲を駆け足で合わせた。楽器は古楽器を使用(フルート・トラヴェルソとバロックヴィオラ)。ピッチは422Hz。
4曲とも、音楽が日常の隣にあった(それが特権階級のものであったとしても)ことを感じさせてくれる。御馳走ではなく、日々の食事のような作品。御馳走は、毎日は食べられない。
何より感銘を受けたのは、3番の繊細さ。フルートの人の表現を借りると、さながら触れると壊れてしまいそうな飴細工のよう。♭3つのc-mollにはこんなに不安定で繊細な面があったのかと、イメージを覆された。
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2020年12月6日(日)
音階(C-dur , a-moll)
クロイツェル:42の練習曲
ヴュー:音程のための10の練習曲
今日の練習はモダンヴィオラのみ。
音階とクロイツェルで指慣らしをして、ヴューの10番。「tranquillo」と書いてあるためそのように弾きたいが、移弦やポジション移動、音の強弱の指示などでガタガタと騒々しくなってしまう。まずは楽譜にかじりついて振り回されている状態からの脱却が第一段階か。第一段階のハードルは高く、なかなか解決の糸口が見出せないまま時間だけが過ぎていった。一音一音の重さのバランスも課題なのだろうか。見つかりそうで出口が見つからない状況はもどかしい。
(余談)昨日合わせの後、「20世紀初頭のバロック音楽の演奏もカッコイイ」という話になった。一音一音をまんべんなく鳴らすスタイルの演奏は、古楽器での演奏が前提のようになった現代とは全く違うものだが、そこに確たる根拠があれば「モダン楽器の特性を活かしたバロック時代音楽の演奏スタイル」としてきちんと成立している。
時代につれ変化する演奏スタイルだが、何となくファッションのように表面だけを真似ているだけでは素敵な演奏にならないというのは変わらないらしい。