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歴史 「コーナー」で横板を押し曲げる
前回の「横板を傾ける」話しの続き。
「初期ヴァイオリン」は、アウトラインが外に膨らんだ部分は強く、
中腹方向に弱くして、表板から裏板を押し曲げたい。
つまり、押し曲げたい中腹部分の横板を傾ければよいわけだ。
そして、その仕組みは現在のヴァイオリンに既に在る。
ひょうたん型のアウトラインに外に出っ張っている部分、
「コーナー」である。
![](https://assets.st-note.com/img/1666750368171-vBIqRZhBGN.jpg)
「コーナー」に力を加えることで、
ひょうたん型を外に押し曲げ、横板を傾ける。
そして、さらに「コーナー」に力を加えやすいように
表板アウトラインは横板から外に張り出した部分を作り、
より積極的にコーナーを押し出すことを可能にしている。
これは「オーバーハング」と呼ばれている。
![](https://assets.st-note.com/img/1666750452023-GIBxTKd2nf.jpg)
これらが「ヴィオラ・ダ・ガンバ」から大きく進化した部分である。
ガンバにもコーナーに近いものがあるが、
外に押し出すという意味においては別物である。
ひょうたん型のアウトラインに、4つの突起があること。
この不自然さに気が付いて欲しい。
もし私がこれまでの会社の開発設計という仕事の中で、
なんの意味もなくコーナーという明らかに壊れやすそうな
ものを付ける提案をしたならば、
周囲の人から「ありえないでしょ」と非難の嵐をうけるはず。
それが容易に想像できるから、私は理由を探した。
そして、やはり理由はあった。
この記事を書くことについて、
影響が大きいかもと思いためらっていた。
私にとっては、ある一線を超えた内容である。
しかし、昔からあった仕組みでもある上、
今後、楽器を見直すきっかけになってくれればと思い
紹介することにした。
バロック音楽が実際に演奏されていた頃のヴァイオリンは、
おそらく今よりも研ぎ澄まされた機能美があったと考えている。
ボディだけでなく、駒や指板といった部品も同様である。
時を経て、作りやすさ、利便性が優先されて
何か置き忘れていないだろうか。
ヴァイオリンの祖先は、戦いに疲れた兵士の心に残るような
良い音色をもっていたからこそ、現代にまで受け継がれている。
現在のヴァイオリンの音は、あなたが本当に弱っている時に
聴きたいと思える音だろうか。
今、こんな時代だからこそ、見直して欲しい。
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