[週刊 未亡人生活] #12 「ご遺族」だった頃の自分と,今の自分と
ごきげんよう,ある未亡人です。
夫を亡くしてから,ちょうど15年が過ぎようとしています。
早いものです。
いつが一番つらかったのかと言えば,いつでも,いまが一番つらいです。
・・・と話すと,喪失仲間には共感されることが多い・・・。
もうすぐあの季節がやってくる。
容赦なくやってくる,「命日」という名の季節です。
「記念日反応」という言葉がありますが,わたしにももうすぐそれが訪れます。(カナシミペディアにも上げておこう・・・)
「ご遺族」と呼ばれていた頃の自分と,今,悲嘆ケアを学んでいる自分。
正直なところ,その間で戸惑うことがあります。
遺族にならなかったら,今,大学院にはいなかった。
こんなに毎日クタクタになるまで,グリーフのことを勉強したり,考えてなどいなかっただろうと思うのです。
というわけで,この時間は,亡き夫からもらった突然のプレゼントだと思うことにしました。
そういえば,大学院を受験した際に,志望動機を聞かれました。
真正面から,自分の遺族体験を話すことになるため,多少,つらかったです。
しかし,事実として,夫や親友,父親の死がきっかけとなり,グリーフケアを学ぶようになったことは事実なわけで。
なんでだろう・・・真正面から,志望動機が「遺族体験」だと言い切る強さがわたしには今もありません。
それでも,ご遺族の集まりでは,わたしに遺族体験があるということを重視してくださる方もいて,そのことにホッとしている自分もいます。
プロの遺族には,なりきれていない自分を感じています。
このまま・・・半分プロのまま,やっていくのもいいかなって,大学院に入ってから,グリーフケアと向き合っている年若い方たちを見ていて,考えるようになりました。
大学院の講義で,グリーフケアについて濃厚に学んだ最後の日,教授から受講した全員に感想を聞かれました。
そのとき・・・わたしの前に話した何人かが泣き崩れており,わたしも話しているうちに嗚咽で言葉が出てこなくなりました。
それ以上話せなくなり,最後に出てきた言葉は,「もっともっと勉強します!」でした。
自分でも驚きました。
心の奥底から湧き上がってきた本音だったと思います。
ここにそれを残すことで,この先もやっていけたらと思います。