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抄訳・源氏物語〜帚木 その十一〜

小君が来たので、源氏は居間に呼んだ。
「昨日は一日中おまえが来るのを待っていたのだよ。私はおまえのことを思っているのに、おまえは私と同じ気持ちでないみたいだね」
と、恨言を源氏が言うので小君は顔を赤くしていた。
「返事はどこ」と聞かれて、小君は正直に話した。
「だめだな、呆れたよ」と言って、もう一度手紙を渡した。
「おまえは知らないのだね。私はあの伊予の老人よりも先に、おまえの姉さんと親しくしていたのだよ。でも私のような若くて頼りない男よりも、あの不恰好な男を夫にしてしまった。今でも私の事を知らないと言って馬鹿にしているんだよ。けれどおまえは私の事を頼りにしておくれよ。姉さんが頼りにしている人は生い先短いのだから」
と、源氏が言うと、
『そんなことがあったのか』と思っている様子の小君を見て、源氏は素直で可愛いと思っていた。
源氏は小君をどこに行くのにも連れて行った。内裏にも一緒に行くことこあるので、自分の衣装係に命じて、小君の衣装も新しく用意させて本当の親のように面倒を見ていた。
空蝉は何度も源氏から手紙をもらっていたが、弟はまだ幼いので不用意にどこかで手紙を落とすようなことがあったら、どうしようと心配でならなかった。
誰かにその手紙を見られて、自分のことが噂になってしまったらどうしようと。
父が生きていたら、宮仕えの予定ではあったがそれは叶わず、今の身分に合ったこの生活をなくすことはできない。まして自分と源氏では身分が違い過ぎて不釣り合いだと分かっている。でもあの時にほのかに見た、目を奪われるほどの美しさを忘れたわけではない。『あのような方が本当にいるなんて』と空蝉も思っている。だが、源氏の気持ちに今さら答えたところで、どうにかなるわけでもないしと空蝉は分かっていた。
源氏は、空蝉のことを忘れることが出来なく、心苦しくても恋しく思い出している。自分とのことを悩んでいた様子のしおらしさが瞼から離れない。自分勝手に忍んで会いに行くことは、人目の多い空蝉の家では無理である。そんなことをすれば、自分のためにも彼女のためにもならないと分かっているから、どうせればもう一度会えるかと思いを巡らしている。

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ん?BLの匂いが。
空蝉とのやりとりのはずが所々、小君とのBL臭が漂います。
親子のように内裏に2人で行ったりと書いてありますが、
念者、若気の間柄だったのかも。と深読みしてます。

空蝉は自分が人妻でなかったら源氏を受け入れられたのに。と思うようになっています。何度も何度も源氏ほどの人からラブレターをもらったら、心はグラグラと揺れるでしょう。「もう不倫ぐらいいいかも!」と思ってしまうかも。
でも、空蝉はそんなに軽くなく、自分の気持ちを何度も何度も打ち消して、
気丈なまでに源氏を拒みます。人妻の鏡です。
人妻と分かっててちょっかいを出す源氏が一番悪んだけどね。

でもでも、源氏は何か企んでいますね。

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