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通関奮闘記2024 (スイスでワイン造ってるの#74)

これまで折りに触れてワインの輸入通関の流れ等を綴ってきました。
今回(2024年10月)の輸入ではびっくりする様なやりとりを検疫所と続けたので、これは何としても記事にしなければ!と思ったので綴ります。

聞くも涙、語るも涙の通関奮闘記やで〜
最後まで読んでな〜

タイトル写真は輸入許可が下り、ワインショップBI.TO.WAの天満さんと港にワインを引き取りに行った時の様子

輸入許可通知書~今回はこれに嬉し涙

それは1通の照会事項から始まった

娘ちゃんたち(ワインのこと)が、神戸港に到着し、最初の関門は検疫所の書類審査です。(なんか、ミスなんとかコンテストみたいやな)

最初に来たのが「スパークリングワインのガス圧を確認できる資料を提出してください」との照会事項。

はい、はい、これは想定の範囲内。
親元(ワイナリーのこと)に連絡して、すぐに対応してもらいました。

この時にはこれから続く照会事項の嵐を知る由もないぼくは気楽に構えていました〜

だから〜

次に来たのが、「提出されている分析表の発行元は厚労省掲載の『公的検査機関リスト』に載ってません」。

だから〜、検査機関の名前が変わったんやて、なんべんも説明したやんか。(過去の記事参照
もう何年も経ってるんやからちゃんと検疫所の中で情報共有して〜な〜
しゃーない、検査機関の名前が変わった旨の公式レター送ったろ。

これくらいやったら、まあええわ。

びっくり!

次に来たのが、「リザーブワインの製造工程表と原材料表を出せ

びっくり〜!

スパークリングワインを造るときにワインの糖度を調整するため、リザーブワインを添加するステップ(ドサージュといいます)があるのですが、このリザーブワインの製造工程表と原材料表を出せってなんやねん。
そんなん聞いたことないわ!
イタリアの高級スパークリングワインを専門に輸入しているインポーター仲間にきいたら、「そんなん聞いたことありまへんわ。」

こんなこと言うんやたっら、ワイン造りに関わるもの全てローマテリアル(素材)まで遡って製造工程表を出さなアカンやーん、と心の中で呟くものの、サラリーマン時代に厚生労働省とのやりとりに携わる部門に席を置いていたことのあるぼくは素直に対応したのでした。

フランス語の書類を日本語に翻訳して提出

はぁ〜っ?

ワインが港に到着してから既に1週間を過ぎ、なんか、「嫌がらせちゃうか〜」と思わせる照会事項。いや〜な空気がヘルベティカ本社ビル(笑)に漂い始めました。

次に来たのが「原材料表に示された酵素の種類を追記すること

はぁ〜っ?

あんたにワイン醸造工程のレクチャーしてるのとちゃうで。
それ、検疫検査になんの関係あるの?
検疫の目的って

  • 日本で認められていない添加物が入っていないか

  • 添加物の残留濃度が日本で認められている範囲か

  • など、など

を検査することとちゃうの?

日本でその使用が認められている酵素使こてて何が悪いねん!
その酵素の種類を問い合わせすることで、検疫の目的をどう達成すんの?

原材料表の酵素名欄にペクチナーゼって書いてあるやろ!
それで種類わからんのかい!

ペクチン分解酵素じゃ〜!

言うた通りにしたやん!

次の照会事項がこれまたひどいねん。

酵母と水とリン酸塩で発酵種を仕込んでるねんけど、

リン酸塩については正しい物質名を記載ください。(例:リン酸アンモニウムやリン酸カリウム等)

と言う例示付きの照会事項が来たので、例示に従って「リン酸アンモニウム」と記載整備しました。

その2日後、「リン酸アンモニウムはリン酸水素2アンモニウム(分子式 : (NH4)2HPO4) もしくはリン酸2水素アンモニウム(分子式 : NH4H2PO4) のどちらか

言うた通りしたやん!
それやったらそうと最初から言うてくれよ〜

嫌がらせ?

極め付けの照会事項が
原産地証明書が白黒です。カラーで送付せよ

は、はい〜?
白黒でアカンの?カラーでないと読まれへんの?
スイスの税関のハンコがつかれた正真正銘の原産地証明書のコピーやで。
もう、嫌がらせとしか思われへん!
この時点でもうかなりはらわたが煮えくりかえってたんやけど、受け付けてもらえんと輸入関税が免除にならへんので、出すよ、出しますよ。

というような不毛な照会事項がなんと合計34も!
17日間にもわたり続いたのです。

スパークリングワインだけで合計42枚の書類を再提出

ぼくの可愛い、可愛い、娘ちゃん達が港の保税倉庫で寂しくお父ちゃんのお迎えを待ってたかと思うともう不憫で不憫で…
お父ちゃんは泣きながら輸入許可を待ったのでした。

そんな苦労を乗り越えて、晴れてうっとこに来た娘ちゃん達をぜひお嫁にもらいたい!
というかたはこちらから〜

P.S.
この異常ともいえる検疫官とのやり取りを経て、スパークリングの醸造工程についての知識はもう専門家も同然!
今、日本でぼくの右に出るインポーターはいないと確信してます。

無事に全商品の入庫完了!(これは一部です)

Beyond the Glass
ワインを通じてスイス文化を日本のみなさまへ

www.vinumhelvetica.com/


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