真サバ女Friendsのジャニス最強説「A Man Called Otto(オットーという男)」映画感想
*多少ネタバレも含みますので、了承した上でお読みください。
はじめに
「A Man Called Otto」(オットーという男)。
トム・ハンクス主演の映画です。
2012年のFredrik Backmanによる小説が元になっており、2015年にスウェーデンで映画化(「A Man Called Ove」)。
今回の作品は、そのアメリカ版リメイクでもあります。
ピッツバーグに住むオットー(トム・ハンクス)という男。
ホームセンターでロープを買うところから物語は始まります。
毎日のルーティンを大事にし、曲がったことが嫌い。
愛する妻ソーニャに先立たれ、職も早期定年になり、生きる理由がなくなり、自殺しようと考えている。
そんな時、彼の家の向かいに、マリソル&トミーという夫婦と、その二人の娘が越してくることから、彼の人生は思わぬ方向に…というお話。
主な登場人物
オットー(60代の白人男性)
ソーニャ(オットーの妻 半年前に亡くなる)
マリソル(メキシコ移民・妊婦)
トミー(途中で怪我人になる)
アビー&ルナ(マリソル&トミーの娘 未就学児)
アニータ(黒人女性 パーキンソン病を患っているが隠してる)
ルーベン(黒人男性 脳卒中で殆ど動けなくなっている)
マルコム(オットーの妻ソーニャの元教え子 トランスジェンダー 未成年?)
ジミー(白人男性 いつも足上げウォーキングをしているフレンドリーな人)
ジャニス的女性最強説
で、私がこの映画でやっぱり一番印象に残ったのは、マリソルです!!
マリアナ・トレビーニョさんという女優さんが演じてます(トレビ~ノ~って浄水器のCM思い出しちゃうwww)。
彼女がスペイン語交じりで早口でまくし立てるとこ、さらに見た目的にも、私が大好きな米シットコム「フレンズ」に出てくるジャニスを彷彿とさせるんですよね~(ジャニスはユダヤ系ニューヨーカーですのでスペイン語は混ざりませんけどね)。
私、ジャニス大好きなんです!!
フレンズ・ファンからも絶大な人気を誇るジャニス。レギュラーじゃないのに毎シーズンゲストで出てきては、ひと騒動起こしていくフレンズのトリックスターwww
この映画でマリソルが車の運転でパニックになるシーンは、
過呼吸になって紙袋で空気吸いながら話すジャニスを思い出してしまったwww(失礼(;^_^A)
フレンズでは、もうとにかくウザいキャラという設定のジャニスでしたが、あの自己肯定感の強さ、強引に突っ走る自己中さ、何においてもパワーを感じざるを得ないところ、ガッツリ肉食系だけど、それでも可愛げもある。
関わると多少疲れる部分もあるだろうけど、でも吞まれてみると、案外幸せになれそうな気もするんですよね。
NHKの夜ドラでやっていた「私ってサバサバしてるから」の網浜さんにもちょっと通ずる所もあるような?無いような?(;^_^A
ジャニスこそ真のサバサバ系女子、真サバ女ではないかとwww
この映画でのマリソルも、ズカズカとオットーの世界に入ってくる。お節介に。でもすごく愛情深くて、オットーのこともよく見ていて心配してる。
結局、最後は彼女のおかげでオットーの心の氷が割れ、幸せな時間を過ごすことが出来る。ジャニスタイプ女性、真サバ女がやはり世界最強だな…と思わせてくれましたw
真サバ女はサバサバしてるだけではなく、基本頭が良い。頭が良いから無駄なウジウジ、ネチネチを排除した結果がサバサバ。つまり合理主義なんだと思うわけです。
どんな人にもガンガン行くけど、決して人の悪口言ったり、ネチネチしてないんですよね。マリソルもジャニスも。そこがウザいけど憎まれない所。
合理主義でサバサバしてるけど、ちゃんと情はある。頭がいいので状況把握も的確。その分析力と情をもって、大事な人はサバサバッと助けることが出来る、出来る女。それが真サバ女!
オットーを取り巻く”元?”弱者属性
オットーはヨーロッパ系の白人男性アメリカ人。
まさに人種的にも、家父長制的にも、上位ポジションな人物が主人公なわけです。
(マリソルの夫のトミーは、エルパソ(テキサス)出身みたいに言っていたから、メキシコ系だけどアメリカ人(設定だったと思う)。
そして足上げウォーキングしているジミーも一応白人男性。でもそこはあまり強調されてはいない)
そこに、黒人やメキシコ系移民、妊婦、病人、子供、性的マイノリティと、社会的弱者ポジションの人たちをこれでもかと散りばめた構図になっているんですよね。
そこがこの映画のなかなか興味深いところなんですが、実際差別されてるのはトランスジェンダーのマルコムぐらいで(父親から拒否されてる)、それ以外の人々は、その属性で差別されてる描写は特にないです。(マルコムもオットー周辺にいる時には差別されてる描写はない)
この辺りは、アメリカにおける人種構成の変化と、差別撤廃運動の結果が徐々に浸透してきているということ。そしてフェニミズム運動によって、家父長制自体も随分変化、崩壊してきているということを表している気がしました。
一方、これだけ社会的弱者を周りに配しているのは、こういうのがスタンダードだと、ある意味、映画によるプロパガンダ的部分もあるのかもしれないですね。コレが”当たり前”と魅せられ続けることで、”当たり前”になって行くという。人間なんて所詮影響されやすい生き物ですから。
悪いことに使う洗脳はダメだと思うけど、いい意味での人々の意識を変えていく時、プロパガンダによる洗脳はやはり効果的だと思う。
少子化対策なんかも、子供を育てることが”素敵なこと”と意識改革しない限り、変化は起こらないでしょうね。数々の精神的、経済的負担を凌ぐ良さを示さない限り増加するとは思えません。子育ての素晴らしさを謳う映画やドラマが大ヒットしたりするだけで、数パーセント、案外出生率上がったりするんじゃないかと思ったり。←そんな単純なもんじゃない?スイマセン(;^ω^)
昔は社会的強者だったはずの男性(オットー)が、
過去の数々の不幸から怒りに満ちた男になるも、愛にあふれた妻の存在がなんとか彼を正気に保っていた。
しかし妻の死により、すべての自分の不幸の数々、周りの人々もバカで自分に不幸をもたらす存在とみなし、絶望して死ぬことを選ぼうとするわけです。
そこに、彼が、そんな社会的弱者(オットーは彼らの属性でバカにしたり、見下してたりはしていない)と言われる(言われてきた)人たちとの触れ合いの中で、生きる意味を見出していく…。
白人だから、男だからなどという自分の属性によって幸せになれる訳でもない。
人が幸せになるには、人と人との心の通ったインタラクティブな交流、お互いを思いやる心が大事なんだと教えてくれている、ある種の寓話の様な物語。
(まあそう言ったら、あまりにもクリシェで、ベタなメッセージなんですけども(;^_^A、やはりコレが一番難しかったりするわけで…)
オットーは気難しい老人だけど、隣人たちは彼の事情もある程度知っているし、悪い人じゃないのはなんとなくわかってる。マリソルも、交流する中で、なんだかんだ文句を言いながらも助けてくれるオットーの優しさに気付いている。
そんな彼が「Big Heart」で笑うシーンはジョークが効いてて、マリソルに釣られて微笑んでしまうシーンでした。
「アメリカの父」トム・ハンクスの息子たち
この映画では、日本が悪者っぽい立ち位置だったのがちょっと残念だったかな。
オットーとルーベンの車の買い替え合戦で、ルーベンがトヨタ車買って失望したり、
ルーベンの息子が日本に住んでて、10年以上親のことをホッタラカシにしてるとか、なにかとネガティブに描かれていた。
う~ん、トム・ハンクスって日本にあんまりいい印象ないのかな?とちょっと思ってしまった。監督はしてないけど、妻のリタ・ウィルソンと共に、この映画のプロデューサーをしてるんですよね。トムは。
「America's Sweet Heart」全米の恋人と言われるジュリア・ロバーツと、度々共演して仲がいいと言われるトム・ハンクス。
トム・ハンクスは「America's Dad」全米の理想の父親像と呼ばれている。
ジュリアは滅多に来日しないことで”日本嫌い”の噂もあったりするから、トムも!?とちょっと考えたりしないでもない。でもトム・ハンクスはよく来日していたイメージあるんだけどなぁ。
そんな「アメリカの父親」トム・ハンクスの息子が、この映画で若いオットーを演じています。
トルーマン・ハンクス。リタ・ウィルソンともうけた2児の弟の方。トムにとって一番若い息子。目がクリッとしていて、人のイイ坊ちゃんタイプ。私的にはあんまり似てないかな~。言われてみれば…という感じ。
トムは若い時、「スプラッシュ」とかの頃から観てますけど、目つきはちょっと悪め、鋭めなんですよね。でもお父さんと一緒でキレイな青い瞳が印象的。
確か前妻との息子も役者やってたはずだけど…と調べてみたら、
前妻との間の長男コリン・ハンクスも1996年にトムの監督作でデビューしてました。そう、なんかボーイ・バンド?ボーイ・グループ?の映画だったのを観たような記憶があります。その後もずーっと活躍はしているようで、ジュマンジのリメイクなんかにも出てるようです。
そして、トルーマンの兄、リタ・ウィルソンとのもう一人の息子チェット・ハンクスも俳優やラッパーとして活躍しているらしい。
気になったので写真とか見てみると、スキンヘッドでタトゥーだらけの、かなりヤバめの風貌でビックリ(;^_^A
「シェイムレス」なんかにも出ていたらしい。シェイムレス観てたけど気付かなんだ。
なんか問題発言&行動、元彼女へのDV?接近禁止令、「Black lives matter」をジョークにした「White boy summer」を発表したり、両親がコロナに感染してニュースになってワクチン接種を推奨していたのに、ワクチン接種に否定的な発言したりして、ハンクス家の問題児な模様。
「アメリカの父」の息子がこうなるとは…一時期「日本の母」的立ち位置にあった三田佳子とその次男が頭に浮かびましたよ(;^_^A。
まあ親が悪い、子供が悪い、それは部外者はわからないですし、複合的要因もありますしね。
この映画の主人公オットーは子供を持てませんでしたが、持っていたからと言って幸せになれていたかはわからない。まあ持てなかったことが彼の怒りの原因ではあるんだけど…。
親だから、子供だから、男だから、女だから、そういう属性に固執し過ぎるとひずみが生じる。人対人でちゃんと向き合える適度な関係、これが大事なんでしょうけど、やっぱり引っ張られるし、そこが難しいんですよね。
トルーマンは役者志望ではなくて撮影監督とか裏方志望らしいので、今後、映画界でどう活躍するか?楽しみにしたいと思います。でも役者としても良かったと思う。変ないやらしさがない。誠実そうな所が好感持てました。お父さんの様なキャラは無理だろうけど、彼独自の路線で活躍して欲しいと思いました。
「人間愛」的なテーマの作品が観たい時におススメの作品だと思います。
一時期は太っていたトム・ハンクスが、若い頃の輪郭を彷彿とさせるぐらい痩せていたのが印象的(←ソコが見所?w)
私の評価は8/10ぐらいでしょうか?ありがちっぽい話ですけど、満足度は高かったです。
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