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保存版・飲食店開業の完全ガイド:成功に向けた15のステップ

飲食店を開業したい!でも、「何から始めたらいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか?

ボクは旅館時代、たくさんの旅館やホテルの飲食部の立ち上げを担当してきました。その度にいつも思うこと。

飲食店の開業は、準備が命

ということ。しっかりとした計画を立てることが、あなたの夢を鮮明に叶え、一緒に歩んでくれるスタッフさんたちの不安を取り除き、いらしたお客さまに心から喜んでいただき、長く愛されるお店を作るための第一歩だと思うのです。

この記事は、開業準備から運営までの重要なポイントを15のステップに分けてご紹介します。

飲食店オーナーの夢を実現するための道程のご一助になれば嬉しいです。

step1:コンセプトの設定

お店の核となるコンセプトを決めることは、開業準備の中で最も早く決め、最も楽しく、最も重要な作業です。

どんな雰囲気で、どんな料理を提供し、どのようなお客さまにたくさん来ていただきたいのかを出来るだけ細かく明確にしましょう。

とにかく夢を書き出す。

テーマやジャンルの決定

和食やイタリアン、カフェなど、どのジャンルにするかを決めます。
例えば、落ち着いた和食店や気軽に立ち寄れるカフェなど、イメージを出来るだけ具体的にしていきましょう。

来ていただきたいお客さまの明確化

よく「ターゲット」という言葉で「想定顧客=来ていただきたいお客さま」を表現しますが、「ターゲット」って的(まと)って意味でしょ?

え?お客さまを射るの?って思っちゃう。似た言葉に「ペルソナ」っていうのもあるけど、どうして顔が見えるお客さまをイメージしないんだろうってボクはいつも思う…。

いつもあなたのお料理やサービスを喜んでくれるお客さまってどんな方ですか?

要するに「こんなお客さまで賑わってほしい」をイメージします。若者や家族連れ、ビジネスマンなどはもちろん、疲れたビジネスマン、バリバリのビジネスマンの接待に使ってほしいなど、より細かく考えてイメージを鮮明化させることが大切だと思っています。

提供するメニューの特徴

スペシャリテやオリジナルメニューはもちろん、地元の食材を活かす、有機野菜のみを扱うなど、他店にはない特徴を盛り込むことが、お客さまの心を掴む結果につながります。step7:メニューの開発と価格設定のところでもう少し詳しく書きますね。

step2:市場調査と立地選定

市場調査や立地を決める時「競合と差別化できる立地を選ぶことが成功の鍵」と言われますが、あなたがお客さまだったらどうでしょう?
行きたい店があったとしたら何としてでも行ける方法を考えないでしょうか?

「誰にでも来てもらいたい」は誰にも来てもらえない。

数多ある飲食店から「あなたのお店に来る理由」は何でしょうか?
一度お客さまの立場になって考えてみてください。

そこに市場調査と立地の選定が必要なら考える必要はありますが、ボクとしては

コンセプトに沿っているのか?
家賃や光熱費などランニングコストはどうか?
などを加味した方が有用だと思っています。

ただ業態によっては検討が必要な場合もあるので書いておきますね。

市場調査

来ていただきたいお客さまがどのエリアに多くいるか、同じジャンルのお店がどのくらいあるかを調査します。

そこからまだ”ない”分野、”足りない”分野にあなたのお店が当てはまるかを検討します。

また、スペインからフランスにまたがる「バスク地方」サンセバスチャンのように、ひしめき合うお店同士がレシピやイベントを共有して文化を作り上げているように、協力してくれる仲間がいる場所というのも検討する材料になっていきます。

立地の選定

人通りの多さや交通の便、周辺施設(学校やオフィスなど)の存在も考慮し、来ていただきたいお客さまが来やすい場所を選びましょう。

ランチやカフェ利用などがある場合は近隣の駐車場なども調べておきましょう。来ていただきたいお客さまが、あなたのお店に来たい時に来れるようにする。立地調査に必要な要素です。

step3:資金計画と融資の確保

飲食店の開業には、初期投資や運転資金が必要です。予算をしっかり立て、足りない場合は融資や補助金の検討も行いましょう。

初期費用の算出

物件費用、内装費、厨房機器購入費など、必要な費用を細かく計算します。

物件費用や内装費などは業者さんと打ち合わせを繰り返し見積もりをしてもらいます。

その他厨房機器や備品、消耗品などはあらかじめ必要数を書き出し、取引業者さんと打ち合わせを重ねて見積もり依頼をし、費用を算出します。

ここで必要になるのは、飲食店での経験値です。
前職などで培った経験から必要なモノや数量などの検討と取引業者さんの選定も行います。

・席数に合わせた調理器具や食器(皿やグラス)やカトラリー
・キッチン、ホール、レジ周り、衛生に関する備品
・消耗品
・制服やクリーニング、掃除用具などの衛生品など

経験がない方は経験者などにお願いすると余計な初期費用を抑えることが出来ると思います。

実際にボクも「飲食店をやりたいのだけど、ホールの経験がないので力を貸してほしい」というご依頼は多いです。

夢の燃料計画

運転資金の準備

開業後は安定収入が見込めるまで時間がかかるため、半年分の運転資金を確保することをおすすめします。

運転資金=店舗の日常的な運営に必要な資金
固定費+変動費です。

融資や補助金の検討

銀行や自治体の補助金制度を利用し、必要な資金を確保します。
この辺りも社労士さんや行政書士、税理士さんなどプロがたくさんいますのでプロに相談することが大切だと思います。

ただ有資格者でも助成金や補助金などの知見があるとは限らないので、事前の確認が必要です。

step4:物件の契約と内装等デザイン

物件の契約後、内装デザインを進めてお店の雰囲気を作り上げます。
あなたのテンションが上がり、お客さまが心地よく過ごせる空間を目指しましょう。

物件探し

step1や2で選んだことを元に理想の物件を探します。

一番ポピュラーなのは「紹介してもらう」というパターンです。

知り合いの飲食店オーナーさんや不動産屋さんから情報を得ることが大切です。紹介してもらうことで、紹介者やあなたにもメリットがある場合があるのでまずは情報収集を。

インターネットなどでも物件は探せます。知人から得られない情報を得ることも大切ですし、たくさんの物件を取り扱っている不動産屋さんを見つけられれば選択肢も増えます。

良い物件があるからやる、というパターンもありますが、そういう方はそこを所有している不動産屋さんとの相談になります。こちらが求めている場合は、提示された条件を全て飲む場合が多いので覚悟は必要です。

何にせよ、お客さまに喜んでもらうために妥協しない根気が必要なフェーズだと思います。

内装デザイン

レイアウトや照明など、お店の雰囲気作りを専門業者さんと共に行います。

壁紙や床材を選ぶ場合もあるし、テーブルや椅子も雰囲気に合わせて選んだりする。夢が段々近づいてくるフェーズです。
好きなものを飾ったりもしたいですね。

最近はDIYもOKというところも多いので、自分で出来るところは自分でやった方が初期投資を軽減できる要因にもなりますので、予算に合わせていろいろ検討することが必要です。

「内装変更は最低限にしたい」という場合でも「ここだけは気にしてほしい!」というポイントが照明、ライティングです。
来てくださったお客さまがスマホでお料理や店内の雰囲気の写真を撮ったりすることが増えた昨今には重大検討事項と言っても過言ではないとボクは思っています。

アイディアを膨らませる

看板デザイン(店舗看板)

お店の名前を書いただけのものやロゴだけを書いたものが多いのが看板。でも実は看板は奥が深いんです。
看板は24時間文句も言わずお店の前を通る人に、お店の存在や価値を届けてくれる媒体なんです。めちゃくちゃ考えてほしい重要な要素だなと思っています。看板作成で押さえておきたいポイントを書いておきます。

1:コンセプトや来ていただきたいお客さまの明確化
来ていただきたいお客さまに合わせたデザインや情報を選択し、看板デザインを通じて店舗の雰囲気やコンセプトを伝えられるものにする

2:視認性の確保
遠くからでも見やすい大きさやコントラストを意識する

3:「行きたい!」と思った人に最低限連絡を取れるようにする
(電話番号や連絡の取れるQRコードなど)

4:法規制への対応
屋外広告物法などの関連法規を遵守する

規制などもいろいろありますし、なかなか簡単に変えられない看板だからこそしっかり検討してほしい事項です。情報媒体としての機能を持つのが看板ということを忘れずにデザインしてみてください。

厨房と動線の計画

スムーズな作業動線を意識して厨房の配置を決めたり、色々な動線が被らないように計画します。

これが意外と軽視されがちなポイントです。

・使いたい機材やインテリアは入口から入るのか?
・働く人たちがどういう動きになるのか?
・出来るだけ少人数で運営するにはどうしたらいいか?

動線の確保は作業効率やホスピタリティ、人件費やES(従業員満足度)などにもつながることを忘れてはいけないと思います。

居抜き物件などは現状に合わせて決めるしかないのですが、備品の配置などで効率をカバーできる部分もありますので検討してみると良いと思います。

特に新築物件などに多いのですが、サービス動線や収納動線計画が行われていなかったり、洗い場の動線が考えられていなかったり、収納スペースが足りず完成後に追加投資が必要になる場合が非常に多いです。

冬場にはコートやダウンなど厚着になる場合が多く、大きめのクロークや簡易ハンガーのスペースの計画なども考慮しなければなりません。

建築士さんやデザイナーさんはもちろんプロですが、キッチンの作業動線やサービス動線はシェフやサービスマンの方がプロ。

設計の段階で働く人(経験者)の意見を取り入れることで、オペレーションを決める時に効率よくスムーズにサービスできるようになります。
その結果、ランニングコストや追加投資を抑え、経営の負担にならずに済むことにつながるんです。

経験が想像力を豊かにさせ、経営にも影響を与える。

step5:必要機材・備品の購入準備から設置まで

営業に必要な機材やインテリアを購入し、店舗を整えていきます。
あなたの想像力や感性をフルに使ってとびきりの空間にしてください。

厨房機材の準備、購入前の注意事項

冷蔵庫や調理器具、食器など、必要な機材を揃えます。

事前に専門業者さんとの入念な打ち合わせも必要ですが、実際の場所に配置されるとイメージと違うことの方が多いと思います。

よくあるのが冷蔵庫やワインセラーなどの扉の向きがよろしくない、本体の置く場所はあるけど、付属物の置き場所がない(ビールサーバーの置き場所はあるが、樽やガスボンベの置き場所がないなど)、通常備品の置き場所がないなど実際に現場に入ると「え〜!!プロだと思って任せたのに!」なんてことは多々あります。

細かい部分は現場での修正が必要ですが、その数が少ない方がスムーズに開店準備を進められるので、事前のチェックに細かすぎることはないと思います。しっかりと平面図とにらめっこしながら準備していただけたら良いなと思います。

客席備品の準備

テーブルや椅子、装飾品を配置し、お店のテーマに合った空間を整えます。

どんな空間にしたいのか?
どんなモノや画に囲まれていたいのか?
お客さまにとって居心地のいい空間なのか?
どうしたら安心感を持って満足していただける時間を過ごしていただけるのか?

はじめに計画した初期費用から漏れているものもたくさん出てくると思います。近くに調達する場所があれば良いですが、市街地から離れている場合は買い出しにも時間を要するので、想像力を働かせて何度も出かける必要がないようにリストアップしたいですね。

コツは、イメージを膨らませて店舗の平面図のコピーに色々書き込んでいくと良いと思います。

設置と備品搬入

大型備品の設置
備品の設置はプロにお任せするに限ります。搬入時はスタッフさんが決まっていない時もありますので、しっくり来る位置や角度になるまで業者さんにお願いしながら大型備品を設置します。

食器や備品の搬入
食器や備品の搬入は一度に来るものもあれば、1つの業者さんに頼んでもバラバラに到着する場合があります。ですので発注書や見積書などを用意しておき、届いたものはしっかり色や形、個数などを検品しましょう。

特にオープン時には食材やワインなどの飲材、備品など色々なものが一気に届きます。管理に支障をきたさないように検品とその後の保管場所の管理はしっかりしたいところです。

検品と届いた荷物のゾーニングが大切

step6:営業許可申請の準備

営業を開始するには、保健所での手続きや食品衛生責任者の資格が必要です。

保健所での手続き

営業許可申請に必要な書類を準備します。必要な書類は、次のとおりです。

  • 営業許可申請書

  • 営業設備の配置図

  • 営業設備の大要

  • 登記事項証明書(法人の場合のみ)

  • 水質検査結果通知書(水道が直結でない場合は必要)

  • 食品衛生責任者の資格を証明する書類(食品衛生責任者手帳)

申請書の様式は、管轄する保健所の窓口や、各自治体のホームページから入手できます。地域によって若干異なるので、事前に保健所に確認してみてくださいね。

札幌の保健所許可申請はこちらから
https://www.city.sapporo.jp/hokenjo/shoku/eigyo/index.html

食品衛生責任者講習

資格を未取得の場合、開業前に講習を受けましょう。

講習時間は6時間。インターネットで申し込みが出来、費用は1万円(プレートが必要な方は別途料金がかかります。)
決められた日時がありますので最寄りの食品衛生協会のホームページなどを確認してください。

札幌の食品衛生責任者講習はこちら
https://www.satsusyoku.jp/hotnews/detail/00000101.html

最近は会場に行かずに取得できるようです。便利な世の中ですね。

オープン日から逆算しましょう

step7:メニューの開発と価格設定

コンセプトに合わせたメニューの開発と、適正な価格設定をします。

メニュー開発

試作を重ねて理想のお店のテーマに合ったメニューを完成させますが、以下のことも考慮して検討すると新しいアイディアの発見やメニューの全体のバランスが図れます。

①お店のコンセプトとの整合性のあるメニュー
②食べる理由のあるお料理やお客さまの好みを把握したメニュー
③原価と利益率を考慮したメニュー
④調理工程や提供の効率性を考えたメニュー
⑤オリジナル、スペシャル要素のあるメニュー
⑥季節性や限定感があるメニュー
⑦食材ロスを削減できるようなメニュー
⑧ペアリングの提案
⑨ネーミングや見た目の工夫(SNS)を意識したメニュー
⑩健康志向や特定ニーズへ対応したメニュー

①お店のコンセプトとの整合性のあるメニュー
新規メニューがあなたのお店のコンセプトや雰囲気と合致していますか?
オープンしてからの新メニューの開発においても、コンセプトを無視したメニューは常連客離れを招く原因にもなります。

②食べる理由のあるお料理やお客さまの好みを把握したメニュー
来ていただきたいお客さまに「これいいね!」とか「都合がいい」と思ってもらうような食べる理由がわかりやすいメニューはありますか?

例えば、旬のお料理や地元食材のお料理は他方から来る方には喜ばれますし、「すぐ出てくる一品」などをまとめておいたりするのも食べる理由がわかりやすいですよね。

さらに常連のお客さまが出来たら、そのお客さまの好みを十分に理解し、それに応えるメニューを開発するといいと思います。

③原価と利益率を考慮したメニュー
原価を計算し、適切な利益率を確保できるよう価格設定を考えます。
原価率の低いメニューと高いメニューのバランスを考えることもとても大切なことです。

この場合3種類に分けてバランスを考えると良いと思います。
・フロントエンド商品:お得感のあるような目玉商品(原価率高め)
・バックエンド商品:コンセプトに合った通常商品(原価率通常)
・コンセプト商品:お店のブランドを保つための商品

④調理工程や提供の効率性を考えたメニュー
現在の設備や人員で効率的に調理や提供ができるメニュー。提供時間や調理の手間も考慮する必要があります。

⑤オリジナル、スペシャル要素のあるメニュー
「ここに来たらこれ食べなきゃ!」「またあれが食べたい!」と思ってもらえる独自性のあるメニューは必須の条件だと思います。
これは何も特別な新しい料理じゃなきゃダメだというわけでもなく、どこにでもある料理だけど、ここのは飛び抜けて美味しいというシンプルに美味しさを追求したものでも良いと思います。そういったものが売上を安定的に作り出しますし、できれば一年中出せたら尚のこと良いかもしれないですね。

⑥季節性や限定感があるメニュー
一年を通じて季節に合わせたメニューや期間限定メニューを取り入れることで、何度も来ていただいているお客さまにも飽きられることなく喜んでいただけ、リピート率の向上につながります。

⑦食材ロスを削減できるようなメニュー
使用する食材の種類を限定したり、食材を無駄なく使い切れるメニューを考案することで、食材ロスを抑制し原価率を下げることができます。
「ロスが少ししか出ないから安定供給できない」という場合は「限定食」としてお出ししても良いと思います。

⑧ペアリングの提案
お料理とワインや日本酒などのドリンクとのペアリングを考慮し、相性の良い組み合わせをお客さまに提案することで、お客さまには新しい体験を、お店側は客単価の向上につながります。

⑨ネーミングや見た目の工夫(SNS)を意識したメニュー
魅力的なネーミングや視覚的に訴求力のある盛り付けは、お客さまの注文意欲が高まります。
最近はお客さまがグルメサイトにクチコミを書き込むだけでなく、自身のSNSで発信することも多くなりました。知らない人のクチコミのおすすめより、知人友人のおすすめの方が信頼性は上がるものです。「SNSに上げたい!」と思われるような一品を作ることは今の時代に必要な完成かもしれませんね。
”映え”に徹して味が付いてきていないものもたまに見かけ残念に思いますが、そういうことをイメージして調理法や盛り付けを工夫してみることはすごく大切なことだと思います。

⑩健康志向や特定ニーズへ対応したメニュー
アレルギー対応やベジタリアン向けメニューなど、多様で多彩なお客さまもおもてなしする必要があるコンセプトのお店には必要で重要なメニューです。
最近は観光地でも海外のお客さまが増え、そのリクエストは高単価になればなるほど多種多様です。インバウンド需要が見込めるお店にとっては検討しなければならない重要な要素だと思います。

上記の要素を総合的に考慮し、あなたのお店の強みを活かしたメニュー開発を行うことで、お客さまの満足度の向上と、売上の増加をもたらすことにつながります。経験者の方は過去の販売データやお客さまの感想などを活用するといいですね。

あの人の笑顔が見たいから

価格設定

仕入れコストや人件費などを考慮して、利益が出る価格を設定します。飲食店の原価率の一般的な目安は30%前後とされています。ただし、業態や提供するメニューによって適切な原価率は異なります。

業態別の原価率の目安は以下のようになっています。

・ラーメン店: 30%程度
・カフェ・喫茶店: コーヒーの原価率は約10%
・レストラン: 30%を超える店が多い
・居酒屋: 30〜35%
・寿司店: 40〜45%
・高級レストラン: 35〜40%

・原価率を考える際のポイント
1. FLコスト(フード:食材原価+レイバー:人件費)を考慮します。
  目標は55〜60%ぐらいです。
2.フードとドリンクの比率を考えます。
  ドリンクは一般的に原価率は低めに設定します。
3.メニューごとにメリハリをつけます。
  看板メニューは食材にこだわり、他のメニューで調整しましょう。
4.原価率の低い商品と高い商品を組み合わせてバランスを取りましょう。
5.仕入れの見直しや価格設定の変更、商品構成などで原価率を調整しましょう。

原価率は重要な指標ですが、それだけで考えるのではなく、人件費や固定費なども考慮して総合的に判断することが大切です。また、品質維持や顧客満足度とのバランスも重要です。

定期的(まずはオープンして半年ぐらい)に原価率を計算・確認し、必要に応じて調整することで、安定した経営につながります。

メニューブック

メニューブックはお店の顔やお客さまとコミュニケーションしてくれるツールです。最近は様々なものがあります。

・毎日ペーパーや黒板で手書き、または印刷する
・メニューブックカバーを購入して店舗で印刷し、変更があれば差し替える
・印刷屋さんに発注して作成してもらう
 ①データを入稿して印刷だけお願いする
 ②情報を渡してデザインから校正までお願いする
 (どこまでやってもらうかで価格が変わります)
・タブレット端末やQRコードで注文まで完結する

などなどこの他にもあり、メニューブックは多岐にわたります。

最近はCANVAなどで簡単におしゃれで自由度の高いものも作れますし、外部のデザイン担当と同じシートを共有することもできます。変更点があれば電話やLINEで伝え、担当が変更をし返信、店舗で印刷して差し替える。ボクは最近このパターンでクライアントとメニュー作りのやり取りをしています。

タブレットやQRコードの注文はレジまでの一括の流れも簡単になりますので、回転率の高いお店やアルバイトさんの入れ替わりが多いところはすごく便利に活用できると思います。

どれを選択するかは、自店舗の作業量、コスト、スキル、設備、そして何よりお店の雰囲気を最大限考慮してあなたのお店にあったものを選択すると良いと思います。

また、アレルギー表示や食品表示などは法律に則った表記をし、お客さまに安心して楽しんでもらえるよう準備をしましょう。

売れるメニューブックのヒント

「当店にメニューはございません。お客さまに合わせて決めさせていただきます。」というようなお店以外、基本メニューブックはあって当たり前です。ですが、メニューひとつ、もっと言うと言葉ひとつ、作り方ひとつで売上は変わるのです。

ボクが過去に手がけたドリンクメニューでお客さまの反応がよかったのはお客さまのシーン別におすすめをまとめたものです。選びやすいし、選ぶのが楽しいという感想をいただきました。
個人的に好きだったのは巻物タイプのメニュー。メニューはお客さまとのコミュニケーションの基点になるものでもあります。だから遊び心も必要だと思うんです。

とはいえ、売れるメニューブックを作るために絶対に押さえておきたいポイントをまとめます。

  1. 読みやすいデザイン
    ・読みやすいフォントを読みやすい大きさで使用し、適切な色を選ぶ
     (1ページに3色まで)
    ・適度な余白を設ける

  2. 効果的な配置
    ・食べてほしい、飲んでほしい商品を目立つ位置に配置する
     (おすすめはわかりやすい位置に枠線や色を使って注目を集める)
    ・カテゴリー分けを明確にし、選びやすい順序で並べる
    ・価格はわかりやすく表示し、出来るだけ商品のそばに書く

  3. 商品説明
    ・食欲をそそる形容詞を使う
    ・商品の特徴は熱をもって伝える

  4. 写真
    ・高画質な写真を使用する
    ・商品の外観写真は実物に近いものを選ぶ

  5. 定期的な更新
    ・季節メニューや期間限定メニューは別のシートに設ける
    ・売れ筋や不振商品の分析と入れ替え

これらのポイントを押さえつつ、自店の個性やコンセプトや想いを反映したメニューブックを作成します。また、スタッフさんの意見も取り入れながら、実際の運用を通じて継続的に改善していくことが大切です。

メニューは接客サービスをするのと同じことだと考えてみる

step8:採用

お店を運営するためには、信頼できるスタッフさんの採用とトレーニングが欠かせません。ボクのところに一番ご相談が多いのもこの採用とトレーニングです。トレーニングは後の章で詳しく書きますが、採用は飲食業界の(だけではありませんが)大切な根幹でもあるので国策として取り組んでいただきたいぐらいです。
でも国が動くのを待っていても仕方がないので出来ることを粛々とやりましょう。

求人募集

必要な人材を確保するため、求人サイトを活用する方が多いと思いますので、より良い人材を確保するためのポイントをお伝えいたします。
基本的な考え方はメニューブックと同じです。
どうやったら一緒に働いてもらえるでしょうか?
逆にあなたが働くとしたら、会社名と条件と時給だけを表記してあったら働きたくなりますか?

・効率よく求人サイトを活用するためのコツ

適切な求人サイトの選択
①大手求人検索エンジンを活用する
大手求人サイトは求職者が多く、無料で掲載開始できるため、「大手求人サイト+他の求人サイト」の組み合わせが一般的なようです。
②飲食業界に特化した求人サイトを併用する
「飲食店 求人」で検索すると飲食専門サイトがたくさん出てきます。飲食業界で仕事をしたい!と希望する働き手にアプローチできます。
③調理サービス系の学校求人を活用する

魅力的な求人票の作成
①オーナーやリーダーの想いを伝える
少子化や働き方の多様化で飲食業で働く人がいないと言われている中、働き手も雇用条件より
・働く場所がどんなところなのか?
・オーナーやリーダーの考え方はどうなのか?
・人間関係はうまく構築できそうか?
など”働きがい”に注目している人が多いような気がします。
ですので、あなたのお店の業態でどんなことをしていきたいのか、あなたや一緒に働く人はどういう人柄なのか、そういうことが求人の時点で知りたい働き手が多くなってきています。
②具体的な職務内容を記載する
「イタリアレストランの調理補助」など、店舗ジャンルと職種を明確に示します。そして仕込み、洗い物、清掃、ホール補助など、発生する作業内容を出来るだけ細かく記載すると採用後のトラブルになりにくいです。
③店舗の強みや特徴をアピールする
どんな店舗で、採用されたらどんな良いことがあるのか(まかないや社保などの条件も必要ですが、ワインの取り扱いが多いのでワインのスキルが身に付くとか、色々な層のお客さまと交流して社会勉強ができる、など)を書くこと。すでに採用して働いているメンバーにあなたのお店の良さを聞いてみるのも良いと思います。

誰でもいいわけでもない。でもその誰かすら来ない。

その他の効果的な運用
①定期的に情報を更新する
求人情報を最新の状態に保ち、検索結果の上位に表示されやすくします。
②応募プロセスを簡素化する
応募書類は必要最低限の情報に絞り、求職者の負担を軽減します。
③スピーディーな選考とフィードバック
迅速な対応で、優秀な人材を逃さないようにしましょう。
④採用目的を明確にする
単なる人手不足解消なのか、特定のスキルを持つ人材が必要なのかを明確にし、それに合わせた求人を出します。
SNSと連携する
InstagramやTwitterなどのSNSで求人情報を拡散し、より多くの潜在的応募者にリーチします。

とここまでは従来のコツをお伝えしましたが、ボクが本当に伝えたいこれからの採用は上記の⑤に通じますが、SNSでの採用です。

SNSでの採用活動

・SNSでの採用のメリット

広範囲な情報発信
SNSを活用することで、求人情報や採用情報を広範囲に発信できます。特に若年層やSNSを積極的に利用する人、Uターン、Iターン、Jターンなどを考えている人たちに届く可能性があります。

リアルな職場イメージの伝達
写真や動画を活用することで、あなたのお店の雰囲気や業務内容を見てもらい、働き手に職場のリアルなイメージをお伝えすることができます。そうすることでミスマッチを減らし、あなたのお店の文化や職場に適性の高い人材の応募が増えることにつながります。

ブランドイメージの向上
定期的な情報発信は、あなたのお店の魅力や特徴だけが伝わるのではありません。日常的な投稿やスタッフさんの声、お客さまの感想などをシェアすることで、信用性と好感度を高めることも可能になり、働き手にも魅力的に伝わることになります。

コストの削減
従来の求人広告に比べて、SNSでの情報発信は低コストで実施できます。特に、アカウントの作成や投稿には基本的に費用がかからないため、予算の制約がある飲食店でも活用しやすいものです。
時間コストはかかるかもしれませんが、その分十分にあなたのお店を知ってもらってから働くので、採用後のトラブルを減らすことにもつながります。

・SNSでの採用のデメリット

運用の手間
SNSの効果的な運用には、定期的な投稿、お客さまやフォロワーとのコミュニケーションなど、一定の労力が必要です。特に小規模な飲食店では、日々の業務に加えてSNS運用を行うことが負担になる可能性はあります。

即効性の低さ
SNSでの採用活動は、即座に効果が現れるとは限りません。フォロワーの獲得や信頼関係の構築には時間がかかるのはご存知の通りです。

上記をふまえて何を選択するかはあなたが決めることですが、採用は大企業、中小個人問わず抱えている大きな問題です。冒頭でもお伝えしましたが、人材確保が困難な時代です。ロボットやAIなどテクノロジーの発展で解消できる問題もたくさんありますがまだまだ高額で、一部の飲食店の業態でしか採用できない手段です。
そうじゃない飲食店にあなたのお店が当てはまるとしたら、目の前の出来ることを粛々とコツコツと続けることで理想の採用を叶えられるとボクは思っています。

SNSが無かった世界にはもう戻らない

step9:SNSアカウントの運営

SNSでの事前の情報発信は採用だけではなく、開業前からお店を知っていただける手段としても有効です。ここではざっくりと飲食店におすすめするSNSと、運営方法に関して書きますね。

1. Instagram

  • 料理やお酒、店内の写真を定期的に投稿する
    (毎日、無理だったら週1〜3回程度)

  • ハッシュタグを効果的に活用する(3〜5個)

  • ストーリーズ機能を使って日々の様子を共有する
    (仕事以外のことを毎日)

  • リールは動画コンテンツを作成する
    (旬の食材やメニューが変わるタイミングで顔出しがベスト)

  • 定期的にライブをする

  • 飲食店として専門的なことを投稿する(ストーリーズ以外)

2. Facebook

  • 個人投稿は日々のことを発信する

  • ビジネスアカウント(お店のページ)を作成し、広告機能やアクセス解析を活用する→インスタグラムの「場所(地図検索機能)」を登録する

  • ワイン会などのイベント告知や新メニューの紹介(インスタと同じでOK)を行う

  • 地域のコミュニティグループに参加し、地元客へアプローチする

3. LINE公式アカウント

SNSとは違うけどお客さまへお得な情報を直接届けることができるので活用したい。直接的なコミュニケーションに適しています。

  • クーポンやポイントサービスを提供する

  • 予約受付機能を活用する

  • タイムラインで定番季節メニューや限定情報を発信する

  • リピーターさんへの季節のご挨拶など

4. X(Twitter)

リアルタイムの情報発信に適していて、即時性が求められる情報やその情報を拡散するのに効果的です。

  • 新メニューやイベントの告知をタイムリーに行う

  • お客さまからの質問やフィードバックに迅速に対応する(エゴサーチ)

  • トレンドに乗った投稿で話題性を創出する

全体的にSNS活用に必要なこと

  1. 季節メニューやおすすめメニューの投稿は必須

  2. イベントの告知も必須

  3. 投稿の頻度は毎日が理想的
    (オープンする前とクローズした後などタイミングを決める)

  4. 個人や個性を出していくSNSと、様々な情報を投稿するSNS、専門的なことだけを投稿するSNSを区別して使い分けることがポイント

  5. 広告や宣伝が目的ではなく、お客さまとのコミュニケーションをするためのツールだと言うことを忘れない

  6. 店内には「フォローしてね」とQRコードなどを表示し、リアルとSNSを融合させる意図を持つ

あなたが発信する情報も有用ですが、お客さまが発信してくださる投稿もUGC(User Generated Contentの略で、企業ではなく一般のユーザーが作成したコンテンツ=生活者のリアルな声)としてあなたのお店を応援してくれるものです。

どうしたらお客さまに発信してもらえるか?
その発信であなたのお店だとわかるようにしてもらえるか?

そういったことを考えることも大切なマーケティングの要素です。

あなたのお店はインターネットの世界の中にどれだけ存在しますか?

step10:Googleビジネスプロフィールの設定

皆さんがGoogleで飲食店を検索したとき、店名やジャンルでヒットしたとします。まずそこに情報として出てくるのがGoogleビジネスプロフィールです。

パソコンだと右にスマホだと一番上に出ます

電話、チャット、経路案内、ウェブサイトなどのアイコンがあったり、メニューやレビューなども見れますし、住所や営業時間なども出ています。
経験ある方もいらっしゃるかもしれませんが、ここに出てくる情報が実際の情報と違った時の残念感と言ったら…。

ということで、あなたのお店を検索して行こうかな?と思って下さった見込み客の方に同じ想いをさせないように、オープンしたらGoogleビジネスプロフィールに店舗情報をしっかりと登録してくださいね。

Googleビジネスの登録と変更

Googleビジネスプロフィールの変更はGoogleアカウントがあれば、オーナー確認をし、それが認められれば後は随時情報の変更が可能です。

Googleで「マイビジネス」と検索してみてください。直接ビジネスも追加できますし、オーナー確認などもできます。

営業時間を設定したり、SNSに使ったメニュー写真などをアップし、情報を充実させ、来てほしいお客さまに来ていただきましょう。もちろんクチコミ対応は必須です。

こちらもSNSと同じで、店内やメニューなどにレビューやクチコミを投稿してもらえるようお願いすることは必須です。このレビューやクチコミが次のお客さまの参考意見となるのはグルメサイトやSNSと同じです。そして、ここがGoogleが運営しているというのがポイントです。

みなさんが何かを検索するときにGoogleやSafariで検索するようにお客さまも同じ方法で検索します。
その時に、Googleがおすすめしてくれるのはレビューが高かったり、クチコミが活発に動いているお店になるのはGoogleの立場に立つとわかりますよね?信頼できる新しい情報を提供するのがGoogleのミッションなんですから。Googleにそういう判断をしてもらえるようにGoogleビジネスプロフィールをうまく活用していきましょう。

Googleさんと仲良くなりましょう

step11:ホームページの作成

ホームページを作成し、SEO対策をすることでGoogleなどの検索エンジンの検索結果の上位表示を狙うということがありますが、今のホームページには別の価値が感じられてきているとボクは思っています。

最近では「ホームページはいらない」という意見も聞こえてきたりもしますが、ホームページを持つメリットはたくさんあります。

ホームページを持つメリット

  1. 店舗の信頼性向上やブランドイメージの構築
    ホームページがあることで、お店の公式情報を発信でき、お客さまに安心とブランド感を与えられます。
    あなたのお店が目指す雰囲気や料理の写真、メニュー情報などを掲載することで、来店前にお店のイメージを持ってもらえます。

  2. 具体的なイメージ形成
    店舗の雰囲気や料理の写真、メニュー情報などを掲載することで、来店前にお店のイメージを持ってもらえます。「こんな時に使いたい」「あの人と行きたいな」そういうイメージを持ってもらえます。SNSの断片的な情報というよりは統一されたイメージを表現できるのがホームページのメリットです。

  3. あなたのお店の独自の価値が伝わりやすくなる
    独自のコンセプトやこだわり、お店の歴史、ストーリーや世界観などを伝えることで、そこに共感してくださったお客さまの来店動機につながり、集客につながります。

  4. 予約や注文の増加
    お店が直接オンライン予約機能を持つことで、お店と直接コンタクトが出来、お客さまの利便性が向上します。さらに予約ポータルサイトなどの手数料を削減できますし、あなたのお店の入店状況を自店でコントロールできるようになります。
    また、お店のお料理やおせち料理など独自で商品化したものを販売する場合に外部サイトに頼ることなく素早く展開できるのも自社ページの魅力ではないでしょうか?

  5. キーワードで検索される
    SEO対策などを行うことで、地域名や料理ジャンルなどのキーワードで検索されるようになります。ホームページにSNSのアカウントを紐づけることで検索結果からSNSのフォロワーアップにもつながります。

以上ホームページを作成するメリットは多大にありますが、作成後の運用や更新にも労力がかかるため、自社の状況や目的に合わせて検討することが大切だと思います。

無料のリンクまとめサイトなどもあるので、無理して作る必要はありませんが、長期的な視点で見ると、ホームページを持つことで得られるメリットは大きいと言えます。

SNSだけに依存するのではなく、自社で管理できるホームページを持つことで、安定した情報発信や集客が可能になります。

あなたのお店の状況に合わせて、無理のない範囲でホームページ作成を検討してみることをおすすめします。

あなたの世界観は?

step12:集客

SNSは無料だし、時間さえ確保できれば予想だにしなかった人にも届くメディアですが、SNSをやっていない方に届く方法もたくさんありますのでご紹介します。

リアル広告(店前看板、サイネージ、交通広告、店外広告など)

看板デザインのところでもお伝えしましたが、看板は24時間文句も言わずその前を通る人々にお店の存在や価値を届けてくれる媒体です。シンプルで分かりやすく伝わる言葉を使ったデザインやレイアウトにしたいですね。
以下の7つのポイントは、リアル広告だけではなく後述する手法でも押さえておきたいポイントにもなりますのでチェックしてみてください。

伝わるリアル広告にするために意識したい7つのポイント

  1. 伝えたい情報を厳選し、簡潔に表現する

  2. 魅力的なキャッチコピーや料理写真などで注目を集める

  3. ブランディングの一貫性と独自の強みを表現する

  4. アイキャッチの活用 季節感やトレンドの反映

  5. 立地や通行人の動線、設置場所や向きを考慮したデザインにする

  6. 定期的に内容を更新し、鮮度を保つ

  7. SNSやWebサイトなど他の販促手段と連動させる

綺麗で整ったデザインはブランド価値として必要な時があります。ただその中でもキャッチコピーやアイキャッチは伝わる言葉にしたいです。

その看板やチラシ、記事を見てくださった方に何を伝えるのか?
その看板やチラシ、記事を見てくださった方に何をしてほしいのか?
どんないいことがあるのか?

「誰に」「何を伝えて」「どうしてほしいのか?」

これはメニュー開発の時の参照ブログの中に記述したエクスペリエンス・マーケティングの基本のシナリオです。シンプルに来ていただきたいお客さまへの想いを伝えましょう。

紙媒体

1:チラシ配布
・近隣地域へのポスティングが効果的。プリントパックなどの低コストで印刷できるサービスなどを利用する。近隣の人たちに情報を届ける
・クーポンを付けることで来店動機を高める
・定期的な配布が重要

2:新聞折込広告
・地域を絞って配布できる
・比較的低コストで広範囲に情報を届けられる

3:フリーペーパー広告
・カフェや美容院などに置かれることが多く、地域住民へのアプローチに効果的
・見込み客が無料で手に取りやすいメリットがある

4:雑誌広告
・ターゲット層に合わせた掲載が可能
・特集などに合わせた広告出稿で興味のある人にアピールできる

5:店頭ポスター、フライヤー
・通行人の目に留まりやすい
・店舗の存在をアピールしやすい

6:DM(ダイレクトメール)やニュースレター
・特定の見込み客に向けて情報発信できる
・内容を工夫することで特別感を演出できる

7:パブリシティ活用
・市役所の広報誌など、無料で掲載してもらえる可能性がある
・信頼性が高く、効果的な宣伝になる

住所などのリストが必要なものに関しては、過去の経験を活かして過去にいただいた名刺などの整理をして、お送りさせていただきましょう。

マスメディア

1:マスメディア出演
2:プレスリリース

インターネット媒体

1:メルマガ
2:オウンドメディア(自社メディアやSNSなど)
・ブログ
・音声メディア
3:インバウンド対策(トリップアドバイザー、旅行ガイドなど)
4:WEB広告(グルメサイト、SNS広告、リスティング広告など)

この他SNSインフルエンサーを使った案件などもありますが、ボクはおすすめしません。
集客の瞬間最大風速は上がるかもしれませんが、コンセプトが理解されていなかったりするお客さまが来られても、あなたのお店に対してファンになってくれるのでしょうか?次にインフルエンサーが行ったお店に移っていくだけではないでしょうか?
初回割引などで来るお客さまにも同じことが言えると思うのはボクだけでしょうか?

家族、友人知人

一番の応援者と言っても過言ではないのが家族や友人・知人です。過去の経験を活かして過去にいただいた名刺などの整理をして、DMなどをお送りさせていただくことが大切なのは紙媒体のところでもお伝えしましたが、今つながっている方々へのアプローチも必要だと思います。

1:勉強会・セミナー・交流会・食事会
2:他店とのコラボ(友人のお店、ブランド、その他リソースなど)
3:仲間のお店との相互紹介
4:外部リソース(顧問、コンサルタントからの紹介など)

これらの手段を組み合わせて使用することで、より効果的な宣伝が可能になります。また、来ていただきたいお客さまや、あなたのお店の特性に合わせて適切な手段を選択することが重要です。

お客さまはあなたのところでなくてもいい
食事の時間を良い時間にしたいだけなのだ
それによって良い思い出作りや豊かな未来を手に入れたいのだ

step13:マニュアルの作成とロールプレイング

飲食店におけるマニュアルは、サービスの品質維持や業務の効率化、スタッフ教育などに非常に重要な役割を果たします。

マニュアルの必要性

  1. サービス品質の統一と業務効率の向上

    • 全スタッフ誰がやっても同じ基準で同じサービスを提供できる

    • 作業手順が明確になり、無駄な動きを減らせる

    • 複数店舗の場合は店舗間での品質のばらつきを防ぐ

  2. リスク管理

    • 衛生管理や安全対策の徹底ができる

    • クレーム対応の標準化ができる

  3. スタッフ教育の効率化

    • 新人スタッフの教育時間を短縮できる

    • OJTの質を向上させられる

    • 自主学習の教材として活用できる

  4. 店舗運営の改善

    • マニュアル作成過程で業務の見直しができる

    • 定期的な更新で継続的な改善が可能

効果的なマニュアルの形式

  1. 視覚的な要素を取り入れる

    • 写真や図解を使い、理解しやすくする

    • 動画を活用し、具体的な動きを伝える

  2. 簡潔で具体的な記述

    • 曖昧な表現は避け、具体的な数値や手順を示す

    • 重要なポイントは太字やハイライトで強調する

  3. 階層構造の採用

    • 大項目から小項目へと段階的に情報を整理する

    • 目次や索引を付けて、必要な情報にアクセスしやすくする

  4. デジタル化

    • タブレットやスマートフォンで閲覧できるようにする

    • 検索機能を付けて、素早く情報を見つけられるようにする

  5. 更新しやすい形式

    • 紙ベースの場合は差し替え可能な形式を採用する

    • デジタルマニュアルはクラウド上で管理し、リアルタイムで更新できるようにする

  6. 部門別・業務別の分冊化

    • ホール、キッチン、管理など部門ごとにマニュアルを分ける

    • 必要な情報だけを携帯できるようにする

マニュアルを効果的に活用するためには、定期的な見直しと更新、そしてスタッフへの周知徹底が重要です。また、マニュアルは基本的なガイドラインだけど、それが完璧にこなせても業務としては6割の状態だということを認識してもらい、状況に応じた柔軟な対応ができるよう、スタッフの養成をすることが大切です。

基本マニュアル

  1. 基本衛生管理
    ・適切な手洗いと消毒の実践
    ・食材の取り扱いと保管
    ・調理場とホールの清掃
    ・テーブルセット

  2. お客さまの出迎えと案内
    ・アレルギーや食事制限のあるお客さまへの対応

  3. メニューの説明と注文受け
    ・待ち時間の説明と対応
    ・効率的なオーダー取りと配膳

  4. 料理の提供とフォローアップ
    ・スタッフ間の連携と情報共有
    ・忙しい同僚のサポート
    ・シフト交代時の引き継ぎ

  5. クレーム対応
    ・料理の遅延に対する苦情
    ・料理の味や温度に関する不満
    ・接客態度への苦情

  6. 緊急時の対応
    ・火災や地震などの災害時の避難誘導
    ・急病人が出た場合の対応
    ・食中毒の疑いが生じた場合の対応

  7. 会計処理とお見送り
    ・レジの取り扱い
    ・カードや電子マネーの対応
    ・領収書の書き方
    ・クローク対応
    ・忘れ物などの管理

  8. 予約対応
    ・電話予約の受付
    ・予約変更やキャンセルの対応
    ・特別リクエストへの対応(誕生日祝いなど)

    ※特殊な状況への対応など
    ・外国人観光客への対応
    ・大人数グループの対応
    ・パーティーや宴会の進行
    ・お料理や食材のプレゼンテーションや演出の補助

基本マニュアルの形式は最低限のものです。あなたのお店の形に合わせて変化させてください。

ロールプレイング

基本マニュアルのシナリオを想定し、実際の状況に近い形でロールプレイングを行うことで、スタッフの対応力を向上させ、オープン後のスムーズな運営につながります。
また、ロールプレイングを通じて発見された課題や改善点を、マニュアルやトレーニングプログラムに反映させることも重要です。

マニュアルは6割

step14:接客サービストレーニング

接客サービスの向上は、リピーター獲得に繋がります。お客さまが心地よく感じられるように、トレーニングを行いましょう。

行動トレーニング

接客マナーや業務フローをマニュアル化し、スタッフ教育を徹底します。

トレーニング期間

一般的な飲食店での接客トレーニングの期間は、試用期間と同じ約1〜3ヶ月程度が目安です。ただし、お店の規模や業態、個人の習熟度によって前後すはします。

ボクの経験としては、客単価5千円以上の飲食店で、すべての作業や準備を覚え、それをミスなくこなし、ホスピタリティを学び、自分に自信がつき、しっかりと胸を張ってお客さまに満足してもらえるようになるまでの期間は4〜6ヶ月程度と思っています。(もちろん前述したように人や環境によって左右します。)根気が必要で、あなたのお店に馴染むには時間と経験が必要だということを理解されることをおすすめします。

トレーニングカリキュラム

1. オリエンテーション(1日)
・店舗のコンセプトや理念の説明
・就業規則や基本的なルールの確認
・誓約書などの提出

2. 基礎知識の習得 (1週間程度)
・接客マナーの基本
・メニューや商品知識
・衛生管理や安全対策

3. 実践的なスキルトレーニングと
OJT(On ~the-Job Training=先輩社員の補助として実際の接客を体験)
(2〜3週間)
・清掃やテーブルセッティング
・挨拶や言葉遣いの練習
・オーダーの取り方
・料理やドリンクの提供
・レジ操作の習得

段階的に担当業務を増やしていきます。

4. フォローアップ研修(1日)
・習得状況の確認
・追加のスキルアップトレーニング(適時)

トレーニングの実施方法

  1. OFF-JT(座学など)とOJT(現場研修)を組み合わせて実施

  2. マニュアルやマニュアル動画などの活用で効率的に基礎知識を習得

  3. 教育担当者を設置し、実際の業務を通じての教育のバックアップ体制で遂行する

注意点として
・トレーニングの目的や目標を明確に伝える
・研修カリキュラムと目標を明確にし、教育担当者による指導内容に差異がないようにマニュアルを整備する
・定期的にマニュアルの内容を見直し、常にブラッシュアップをする
・個々の習熟度に応じて柔軟に調整を行い、継続的な教育を心がける

トレーニングは楽しめるように。楽しいことは続くから。

ホスピタリティトレーニング

行動トレーニングができるようになったらホスピタリティを学び、質の高いサービスを身につけます。ホスピタリテはテクニックというよりマインドの方が大切な分野です。

1:ホスピタリティマインドの醸成
・お客さま第一の姿勢を育む
・共感力と思いやりの心を養う
・チームワークの重要性を理解させる

2:基本的なスキルトレーニング
・適切な挨拶と言葉遣い
・非言語コミュニケーション(表情、姿勢、アイコンタクトなど)
・積極的傾聴スキル
・状況察知力の向上

3:実践的なロールプレイング
・様々な接客シーンを想定した演習
・クレーム対応のシミュレーション
・多忙時の効率的な接客練習

4:食品や飲料に関する知識の習得
・メニューの詳細な理解
・食材や調理法についての説明力向上
・アレルギー対応の徹底

5:店舗オペレーションの理解
・効率的な動線の習得
・衛生管理の徹底
・安全対策の理解

6:お客さま満足度の向上
・お客様の期待を超えるサービスの提供方法
・パーソナライズされたサービスの実践
・文化的多様性への対応

7:文化の多様性への対応
・外国人観光客への対応スキル
・異文化理解と尊重の姿勢

8:フィードバックとセルフ評価
・定期的な振り返りと改善点の特定
・自己評価能力の向上

9:チームビルディング活動
・スタッフ間のコミュニケーション向上
・協力体制の強化

10:継続的な学習環境の整備
・動画の活用(スマホやタブレットなどで確認するため)
・定期的な研修会の実施

上記をあなたのお店の特性や課題に合わせてカスタマイズすることで、効果的なホスピタリティトレーニングを実施できます。
また、実際の業務の中でOJTを行い、学んだスキルを実践的に磨いていくことも重要です。

マインドが仕事を作る

step15:オープン

正式なオープン前に、プレオープン(ソフトオープン)期間を設けて実際の営業の流れを確認します。

内覧会やプレオープン

友人や関係者を招き、お料理やサービスなどフィードバックをもらうのがプレオープンですが、この機会にどんどん失敗してもらうことが大切です。お越しになる方にはその旨を伝えてご参加いただく。

備品や消耗品が足りなかったり、事前準備はたくさんして来たつもりでも、至らない点は出てくるもの。

その中で経験値を少しでも向上させ、自身は元より、スタッフさんにグランドオープンに向けて自信をつけていただく期間です。

キッチンとホールの状況の両方がわかるわけではないので、食べて飲んでもらうだけではなく、お客さまからアンケートなどをいただき活用したいところです。

プレオープンで重要なのは、予約以外取らないこと。そして初日から予約で満席にしないこと。
スタッフさんはもちろんあなた自身も経験値はあれど、新しいお店でのオペレーションは不慣れなはずです。仕込みや準備で体力は削られています。その中で様々なトラブルや振り返らなければならない案件なども出てくるでしょう。
そういう状況の中で初めから満席にして、心身共に疲れ果ててしまってはフィードバックや改善に向かう余裕がなくなる。だから初めから満席にしてはいけないのです。
改善しながら徐々に予約席数を増やしたり、予約時間をコントロールしながら繁忙状態にしていきましょう。

お祝い品など

オープン時はお祝い品が届くこともあるでしょう。お花やシャンパン、ビールがケースで届いたり、その形は様々です。
オープンの準備で忙しく、受け入れの余裕もないかもしれませんがご厚意はしっかりと受け取りましょう。
お名前や何が届いたかなどを書き込むリストなどを作成し、少し落ち着いたらお礼のハガキを送ったり、直接お礼に伺ったりするために漏れのないように管理しましょう。時間がなければスマホで写真を撮るだけでも後でまとめやすいと思います。

大丈夫。きっとうまくいきます。

グランドオープン

そしていよいよ待ちに待った開業日!
グランドオープンは宣伝広告やSNSで情報を得た方々が待ちに待って予約して来てくださる日です。今できる最高のお料理とサービスでリピーター獲得に繋げましょう。

ここまであなたもスタッフさんも頑張りました。十分な準備もできました。それでも予想を上回る出来事もあるかもしれませんが、今持っているものを全て惜しみなく提供してください。大丈夫です。積み重ねた努力はあなたを裏切りません。

正式オープン
SNSやその他の媒体で1ヶ月前にはオープンの告知を行い、来店を促進します。

オープニングイベント
集客に時間が取れず自信がない時は限定メニューや割引キャンペーンなどで、新規顧客を呼び込みましょう。

まとめ

生馬の目を抜く飲食業界、転じて新規参入が多く開業から3年以内に70%5年で80%10年では90%以上が廃業してしまうという飲食業。
だからこそ、夢と誇りをもって挑むオーナーやシェフ、店長やソムリエへ、かなりの文章量になりましたが、新規オープンのステップをしっかりと実行してもらって、お客さまに長く愛されるお店の土台の一助になったら嬉しいです。

長い準備期間を経て迎える開業は、達成感もひとしおだと思います。
あなたのお店が多くのお客さまに愛され、地域に根付き、たくさんの笑顔と口福を作り出す存在になり、あなたとあなたの大切な人が圧倒的に輝けるように祈っています。

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