そう、旅はいいものだ。
この週末はほとんど外出せずに家にいた。クーラーの効いた部屋で本を読んだりビールを飲んだり、はっきりいって最高だった。もともとアクティブじゃないからというのもあるけど、この暑さのなか喜んで出かけているのは夏休みの子どもたちぐらいなのではないだろうか。
しかしようやくお盆が過ぎ、あと2週間で9月、というところまできた。気温は相変わらず地獄だけれど、日が暮れれば秋の虫の声が聞こえてくるようになった。夏の主役の蝉たちのほうは自分の人生の終わりを感じ取っているのだろうか、鳴き声がどことなくやけっぱちのようになってきた。彼らはある日突然、ジジッ…と地面に落ちて死ぬのだ。例えは良くないが、なんだか特攻隊員のような人生である。急に足元に落ちて死なれると心臓に良くないし、こちらもどう供養していいのかわからない。なんだか蝉の人生って丸ごと狂気だと思うんだけど、蝉自身は何を思っているのだろうか… わからない、彼らは手記を残さないし。きっと神様(仏様?)が「刹那」を人間に教えるために使わしたに違いない、と思わなくもないけど、それにしても死に方はもう少し静かでもいいんじゃないのか。
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今日は家のことをやりつつ、ずっと積読だった村上春樹の『ラオスにいったい何があるというんですか?』を読んで過ごした。ラオスに関する本なのかと思っていたら、アメリカ、イタリア、フィンランド…といろんな場所を訪ねた旅行記をまとめたものだった。奥さんが撮ったのか、ところどころに出てくる旅中の写真も印象的だった。ひとつひとつ読み進めて行くうちに、そうだ旅って素晴らしいよな、と新鮮な感覚が蘇ってきた。タイパ、コスパといわれる時代だけど、無駄な時間を過ごしたり、予想外の出費が多少あってもいいよね、それに無理に旅を総括しなくていい、それが旅なんだから(と村上氏も書いているような気がします)。
来月はソウルへ3泊4日の旅に行くのだけど、中二日のうち一日は何の予定も入れないで自由時間にしておこうと思った。へんな表現になるけど、旅行なのに予定が詰まっていたらもったいないから。適当に街を歩いて適当な時間にマッコリを飲み、適当にホテルに帰って寝ようと思う。まあおそらく、どんな景色だって新鮮で楽しいんじゃないだろうか。タックルされて財布を取られる、みたいなことがなければもう何だっていいような気がする。