今日、近畿地区居合道連盟主催の初抜大会に初参戦した。
去年はコロナを理由に中止されたが、今回は無事に開催、とはいかず、やはりコロナ感染者の急拡大により例年より欠席者が多い中での開催となったようだ。
試合は、低段の者から高段の者へと流れる。
私は初段なので、無段の次。
この日、初段で大会にエントリーしていた者は17名だったか。
その中の数名は欠席だった。
4人ずつ程に分かれて演武する形だった。
その1発目にターンがきた。
ゼッケン番号と流派名を大声で言い放つ。
そして、国旗と武神に対して拝礼、審査員に礼をする。
「位置について、よぉい、始め」の合図とともに、試合開始。
1本目は、刀法『前切り』。
緊張していた中でも、ミスはなかったと思う。
斬り下し時の、「えいっ」の発声も出ていただろう。
2本目は正座の業『八重垣』。
どうだったか、あまり覚えていないが、業が少し急ぎ気味だった気もする。落ち着いて、ゆとりを持って行いたかった。
脛囲いは、可もなく不可もなくだったか。
3本目は立膝の業『稲妻』。
立膝自体が、まだ稽古し始めて間がないのだが、何とか形が作れるところまではきた。
だが、まだ他の業と比べると、一番ぎこちなく見えただろう。
4本目は抜刀法『順当其の二』。
いつも口を酸っぱくして言われている「歩幅を広く」する意識が完全に抜け落ちていた。
体を大きく魅せる、という意識も一向に定着しない。
意識が低い分、覚えも遅い。
斬り付け時の姿勢、胸を張る、鞘をしっかり引く、背筋を伸ばす。
刀を振りかぶるときの右手の動き、刀の角度45度、頭の高さは常に同じで、左足は右足踵に寄せる。
右足を前に大きく踏み込んで斬り下す、猫背にならない、腕を深く落として肩を下げる、視線は床下2メーター。
横血ぶり、納刀、残心。
後ろに5歩下がって白線の位置へ戻る。
これは、基本中の基本の業で、一番最初に習った業でもある。
にも関わらず、未だに課題が多い。
最後の5本目は正座の業『抜打ち』。
納刀時に鞘を後ろへ引いた時、鞘打ちをして「コツっ」と床を打った音が聞こえた。
「演武やめ。起立。」で終了。
開始の時と逆順で、審査員に礼をし、国旗と武神に拝礼をして下がる。
たった10分程の短い時間だが、これまでの稽古のお披露目が済んだ。
そして、高段者たちの演武が続々と披露されていった。
5段の演武が終わったところで昼休憩をとり、1時間ほどして、午後から6段の演武が始まった。
そして3時くらいから、試合と関係なく、各道場の先生方による演武が行われた。
高段へ移れば移るほど年齢層が高くなることもあり、残念ながら「えっ、この技でこの段位なの?」と目を疑うような演武もある。
先輩が言うには、居合のような経験と年数がモノを言う世界では、多少目を瞑らなければならない部分もあるらしい。
それで、お偉い方の演武を見る際には、正座が強要される。
これまでに経験したことのない時間を正座させられ、さすがに足がパンパンになって頭もクラクラきたので、途中で足を崩したところをある先輩に見られ、「先生方が演武されてる間はしきたりだから我慢して」と言われ、だいぶ我慢した後だっただけにかなり辛かった。
限界を越えて何十分も正座させられ、ようやくお偉い方の演武が終了した。
そして、いよいよ表彰式。
段別に1位から6位までの入賞者が名前を呼ばれる。
初段の部の表彰が始まった。
5位まできたが名前が呼ばれない…
今回は縁がなかったんだ、と諦めていた矢先、聞き覚えのある名前が耳に入った。
先輩に「呼ばれたんちゃう?」と言われて、「はい!」と返事。
そう、躊躇してしまったのは、名前を間違えて呼ばれたためだ。
多分、俺かな、とは思ったのだが。
それで、遅れて前に出ることになったのだが、あるお偉い方が「走れ!」「はよ行け!」と怒鳴る。
「ふざけんな!名前を間違えとるやんけ!」
と心の中で苛立ちながら前に出ると、別のお偉い方が「前(着物)がはだけてる!きちんとせえ!」とまた偉そうに罵る。
「別にはだけてないし。腹が出てるだけやし!」と心の中で。
「うう、うちの道場の師匠はこんな偉そうにものを言わないのに、どうして他のお偉い方はこうなんだ…」と、またも心の中で。
結果的には、6位入賞。
それでも、なんか複雑な心境。
いや、喜ぶべきなのかもしれないが、無段や2段などで同じ道場の低段の者が上位に入っていた中、自分は6位って…なんか微妙。
嬉しさよりも悔しさが勝ってしまった。
本当は、もっと上位をイメージしていた。
それだけ、稽古に汗を流してきた。
家でも一人稽古の時間を設けてやってきた。
なのに、この結果。
帰りに先輩から「勝敗の勝ち負けを競うのが居合の真の目的じゃない。人を妬む自分に打ち勝つのが居合だ。」というようなお言葉をかけられ、やはり自分は心の鍛錬がまだまだ不足している、次回からまた心を改めて稽古に励もうと思ったのである。
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