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「ピアノのメッカ」ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭 写真レポート その3

皆さんこんにちは。パリ在住クラシック音楽もの書き屋で翻訳家のVictoria Okada です。

前回から少々日が経ってしまいましたが、ラ・ロック・ダンテロンのピアノ音楽祭のレポート3日目です。

この日は朝に小林愛実さん、夜に藤田真央さんが出演しました。その間夕方のバロックコンサートは、クラヴサン(チェンバロ)界の大御所、ピエール・アンタイ氏が登場。充実した1日となりました。

朝のコンサートのマルセル・パニョル スポーツ文化センターです。今日もとても良いお天気です。

愛実さんのリサイタルのプログラムはシューマン(アラベスク)、シューベルト(ソナタ ハ短調D958)、ショパン(スケルツォ3、4番)と言うロマン派の作品を集めたもの。この日のピアノもベヒシュタインでした。

前日のジェニューシェネさんもそうでしたが、個性があって一筋縄ではいかないピアノのような印象を受けました。この日はシューベルトが素晴らしい演奏でした。

終了後、舞台裏で音楽監督のルネ・マルタン氏らとしばし笑談。

その後サイン会が行われました。サイン会の最後に中学生くらいの女の子が感激して話しかけている、ほのぼのしい風景です。

さてそのあと、日本からお仕事も兼ねてやって来た、昔からの知り合いでクラシック音楽業界の方と、フロラン公園で落ち合いました。

公園内の一風景。外から入ってきて、チケット売場等のある小さな広場に至る前にの眺めです。ここでコンサートのある夜は、中央やや右の、箱のような所にプレス担当者が陣取って、ジャーナリストたちを迎えます。
プラタナスの並木道の向こうにトラクターが見えます。このトラクターでピアノを運びます。


調律師のオフィスの前には、よくトラクターが止まっています。とくに朝には、夜のコンサートで弾くピアニストが、ピアノ選びとリハーサルをするので、すぐに楽器を運べる体制を整えて待機しています。下の写真のトラクターは上の写真のものとは別のものです。

この写真のずっと奥が、公園の入り口です。

さて、昼食は、昨日と同じル・ボカージュでした。今日は写真を撮りました。
この日は軽めに、イタリアのブッラータチーズに、オリーブオイルと芽トマトとハーブをあしらっただけの簡単なお料理 (でもとてもおいしい!) をいただきました。

デザートも簡単に、メレンゲに赤い果物とホイップクリーム添え。(ブルーベリーは赤くないですがなんとなく「赤い果物」に分類されることが多いです。)

この夏ヨーロッパはとても暑く、この日も気温が40度近くに上がっていたので、一旦ホテルに帰って、夕方のコンサートから出直すことにしました。

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夕方になりました。

再びシルヴァカン旧修道院にやって来ました。
楽器は、昨日の真夜中の夕食で同席させていただいたフィリップ・ユモーさんが、ドイツの18世紀の楽器をもとに制作されたものです。
楽器の蓋はまだ閉まっています。

アンタイさんが出てきて蓋を開け、リサイタルが始まります。いつものごとく、演奏家ご本人から作品解説があります。

この日のプログラムは「グスタフ、レオンハルトへのオマージュ」と言うテーマで、逝去して10年になるオランダの大演奏家を偲ぶもの。バッハの解釈に特に長けていたレオンハルトにちなんで、通常は他の楽器で演奏されるバッハの曲で、レオンハルト自身が編曲して演奏していたもの数曲と、バッハのオリジナル曲をうまく組んだプログラムとなっています。

夜は藤田真央君がラ・ロック・ダンテロンに初登場しました。
実は去年も招待されていたのですが、モーツァルトのソナタ全曲演奏のCDの録音と重なってしまい、来ることが出来ませんでした。

ドイツやイギリスではすでに名がよく知れている真央君ですが、フランスでは一般的にはまだいまいち知名度が上がっていません。
その大きな原因の1つに、真央君が2位だったチャイコフスキーコンクールで優勝したのが、フランスのアレクサンドル・カントロフだったことがあります。
国民的英雄になったカントロフに、人気を奪われているような形です。

この日は同じ時間にエクサンプロバンスのグラン・テアトルで、なんと巨匠ソコロフのリサイタルが開かれていました(これもラロックダンテロン音楽祭のコンサートです)。そちらを選んだピアノファンも多く、フロラン公園のメイン会場には空席も目立ちました。

しかし真央君のリサイタルは終始、個人のサロンで、ピアノを囲んだ数人ほどの心の解けた友人に、語りかけるように弾く雰囲気で進みました。大きな会場で響きの良いピアノを十分に鳴らすリサイタルに慣れている人々(つまり聴衆の大部分)には、まったくの驚きだったようです。

アンコールは4曲。終了後のサイン会には人だかりが。CDコーナー担当の人が「ヨーロッパの流通ルートで唯一仕入れることができた」と言っていた、ナクソスから出ているショパンのCDが、瞬く間に完売。

サイン会終了後、関係者とのカクテルに出席。

その後、楽屋担当のマリーレーヌさんとパチリ。彼女は音楽祭2年目からずっと楽屋を担当しており、毎年彼女に会えるのが楽しい、と心待ちにしている大ピアニストもたくさんいます。

続いてディナーへ。同じ車でした。

ディナーで色々とお話を伺いましたが、面白すぎて写真を撮るのをすっかり忘れてしまいました。(すみませんすみません)
そのかわり、と言ってはなんですが、ピエール・アンタイさん(右)と、クラヴサン制作のフィリップ・ユモーさん(左)のがありますのでのっけときます。

エクスのソコロフ組がディナーにドッキングしたのはデザートも終わる頃。小林愛実さんはリサイタル終了後、憧れの巨匠に会って写真を撮ってもらったということで、Instagramにもアップしてました。愛実さんおめでとう㊗️!


さて、ディナーが終了したのは夜中の1時半。この日も、ラ・ロック・ダンテロンの基準ではわりと早めのお開きとなりました。

写真 ©️ Victoria Okada 禁無断転載

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