Victoria Okada

パリ在住音楽ジャーナリスト、翻訳家  ソルボンヌ大学音楽学博士  白水社『ふらんす』アート&スペクタクル担当  美術翻訳多  執筆・翻訳🇫🇷↔️🇯🇵 仏演劇音楽ダンス評論家協会理事、国際音楽評論家協会理事  猫Lotus 7歳 https://vivace-cantabile.com

Victoria Okada

パリ在住音楽ジャーナリスト、翻訳家  ソルボンヌ大学音楽学博士  白水社『ふらんす』アート&スペクタクル担当  美術翻訳多  執筆・翻訳🇫🇷↔️🇯🇵 仏演劇音楽ダンス評論家協会理事、国際音楽評論家協会理事  猫Lotus 7歳 https://vivace-cantabile.com

マガジン

  • 2022年 ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭 レポート

    2022年のラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭をレポートします。 「ピアノのメッカ」とも呼ばれる同音楽祭は、世界でも最大規模のピアノ音楽祭。 数百本のセコイヤとプラタナスが生い茂る大自然の中に特設された野外舞台をメインに、世界中のベテラン、中堅、若手演奏家が次々と登場し、常連には「ラ・ロック」の愛称で親しまれています。 日本の読者の方に向けた特別レポートです。

  • 2023年本場ナントのラ・フォル・ジュルネ レポート

    本場ナントのラ・フォル・ジュルネ、2023年版のレポートを5回に分けてお伝えします。

最近の記事

電車の中でバロックのコンサート

10月4日、パリ発トゥール行きの電車の中で、17世紀の音楽を中心とするバロックアンサンブル I Gemelli が15分ほどのミニコンサートを2回にわたって行いました。 I Gemelli は、毎年トゥールで開催されている音楽祭 Concerts d'Automne で、14日にモンテヴェルディの『ウリッセの祖国への帰還』をコンサート形式で上演します。 コンサートの詳細はこちらからどうぞ。 写真 © Remi Angeli (無断転載を禁じます)

    • 俊英指揮者クロエ・デュフレーヌにインタビュー

      2021年東京オリンピックの閉会式で、パリへの引き継ぎセレモニーで流れたビデオでラ・マルセイエーズを指揮し、一躍日本でも知られるようになったクロエ・デュフレーヌ。 この10月に東京フィルハーモニーの演奏会で日本にデビューします。 東京フィルのサイトに執筆した記事はこちら。 昨6月、パリのフィルハーモニーでアマチュアオーケストラのコンサートを指揮したクロエさん。コンサートの前にお話を伺いました。 インタビューの全内容を仏語でアップしていますので、興味のある方(仏語で読みこと

      • 亀井聖矢リサイタル@ラ・ロック・ダンテロン

        昨年秋にロン・ティボー国際音楽コンクールで同位1位となった亀井聖矢が、ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭に登場。フランスデビューとなるリサイタルは会場が総立ちになるほどの大成功でした。 久しぶりにサイトの日本語の方に批評をアップしましたのでお読みください。 https://vivace-cantabile.com/ja/masaya-kamei-recital-a-la-roque-danthdron/ サイトの方も、こちらに出した記事なども含めて徐々に整理していき

        • 2023年 ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭レポート その3

          みなさんこんにちわ。パリ在住の音楽ジャーナリスト、Victoria Okadaです。今年のラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭のレポートの第3回です。今回は音楽祭を離れて、ラ・ロック・ダンテロンの街についてレポートします。 宿泊はゲストハウスでラ・ロック・ダンテロン唯一のホテルは Le Mas de Jossyl といいます。音楽祭の期間中は演奏家や関係者が多く宿泊していることもあり、ここに部屋を予約するのは至難の技です。 しかし、市内のフロラン公園から遠くない場所に、ゲ

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        • 2022年 ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭 レポート
          5本
        • 2023年本場ナントのラ・フォル・ジュルネ レポート
          5本

        記事

          2023年 ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭レポート その2

          みなさんこんにちわ。パリ在住音楽ジャーナリスト・翻訳家のVictoria Okadaです。パリは過ごしやすい日が続いていますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。 前回に引き続き、今年2023年のラ・ロック・ダンテロン音楽祭 Festival international de piano La Roque d'Anthéron をレポートしていきます。 名物ピアノ運送トラクターラ・ロック・ダンテロンの名物は何と言ってもピアノを運送するトラクター。恒例のアトラクションとし

          2023年 ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭レポート その2

          2023年 ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭レポート その1

          毎年必ずやってくる南仏のラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭。 今年は2度滞在しました。1回目は7月28、29日で、29日午前中には亀井聖矢君が初登場。フランスデビューがいきなりラ・ロックという快挙です。 2回目の滞在は8月2、3日で、メインのコンサートは、2日がアレクサンドル・カントロフ Alexandre Kantorow の「カルト・ブランシュcarte blanche」(主催者の提案によるプログラムではなく、演奏家が好きな曲を自由に組めます)、3日が藤田真央君のリ

          2023年 ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭レポート その1

          コルマール国際音楽祭で、ミシュラン星付きシェフの料理で『展覧会の絵』を聴く

          7月5日に始まったフランス東部、コルマールの「コルマール国際音楽祭」。 パンデミックで中断を余儀なくされていましたが、今年からブリュッセル・モネ歌劇場の指揮者アラン・アルティノグリュを音楽監督に迎え、一新して開催されています。 ミシュラン星付きシェフのイマジネーションによる『展覧会の絵』この日のコンサートでは、第二部で全く新しい試みがなされました。 いつもより短い休憩の後、皆が席に着いた時点で、客席に一口料理が入ったボックスが配られました。オーケストラの演奏中、特定の楽曲(

          コルマール国際音楽祭で、ミシュラン星付きシェフの料理で『展覧会の絵』を聴く

          ミッドサマー音楽祭

          英仏海峡に近い街のエリザベス様式の劇場で今週土曜日まで行われている「ミッドサマー音楽祭」。 フランスのクラシック音楽専門雑誌『クラシカ』にリポートを書きました。(仏語) 近日中に日本語版も出したいと思います。 (ただし、以前から予告している記事も含めて、ちょっと時間がかかるかもしれません。) ***** ちなみに同じ音楽祭で2021年に行ったインタビューなどはこちら (仏語) トマ・ダンフォール (ダンフォード、リュート) & テオティム・ラングロワ=ド=スワルト

          ミッドサマー音楽祭

          レザールフロリサン 春の音楽祭レポート

          この秋に来日が予定されているレザールフロリサン。久方ぶりの日本公演なので、期待している人も多いはず。今回はバッハと発表された時、「なぜフランスものではないのか」という問いも多く見られました。実はレザールフロリサンは今、数年かけてバッハサイクルを続行中なのです。バッハだけではなく、その周辺も含めてバッハを浮き立たせようというプロジェクトです。日本でフランスものが聴けないのは確かに残念ですが、フランスでのバッハ解釈を知るよい機会になると思います。 ティレの春の音楽祭昨夏、ウィリ

          レザールフロリサン 春の音楽祭レポート

          ガーシュウィンの『ラプソディ・イン・ブルー』パーカッション版

          以前にラヴェルのピアノコンチェルトのオケパートをパーカッションヴァージョンで演奏されたコンサートを紹介した。(記事はここ)なんと今回はガーシュウィンの『ラプソディ・イン・ブルー』パーカッション版! 場所は前回と同じラ・スカラ・パリ。ピアニスト、ヴァンサン・ミュサ Vincent Mussat の初ソロアルバムリリース記念コンサートの第二部で披露された。 ラヴェルとデュティユー第一部はアルバムの中からモーリス・ラヴェル Maurice Ravel の『水の戯れ』と『夜のガス

          ガーシュウィンの『ラプソディ・イン・ブルー』パーカッション版

          オッフェンバックの『月世界旅行』をめぐって その1

          娯楽性が高いオッフェンバックのオペラと上演の難しさジュール・ヴェルヌの小説を題材にしたオッフェンバックの『月世界旅行 Le Voyage dans la Lune』は、初演当時、その大掛かりな舞台装置で大変な人気を博しました。その演出は、特撮を駆使した現在のハリウッド映画に匹敵する興行性・娯楽性があるもので、人々を驚かせたのです。 しかし、壮大かつ奇想天外な要素を舞台にかける難しさと、オッフェンバックは時代遅れという根強い認識がはびこっていたことから、20世紀半ば以降、ほと

          オッフェンバックの『月世界旅行』をめぐって その1

          フランスでダウンロード形式のプログラムが広がっている件

          コンサートに行くもう一つの楽しみは、プログラムかもしれません。その日に聴いた演奏家や音楽の思い出をあとあとまで残しておくには絶好のアイテム。感想を記して、あとで思い返すのも良いでしょう。 ところが、コロナ禍以降、この習慣が変わってきています。フランスでは、小さなコンサートでプログラムがないことは時々ありました。しかし最近は、大きな劇場でもプログラムを印刷しない場合が増えています。 上はシャンゼリゼ劇場での、コンサート形式のオペラのプログラム。同劇場では、複数回にわたって公

          フランスでダウンロード形式のプログラムが広がっている件

          ベフゾド・アブドゥライモフ ピアノリサイタル at ルーヴル美術館オーディトリアム

          NHK交響楽団の6月定期公演Aプログラムの出演者変更でプロコフィエフの協奏曲2番を演奏するウズベキスタン出身のピアノスト、ベフゾド・アブドゥライモフ。初来日は2014年という。しかしヨーロッパではすでに広く活躍しており、毎回、ピアノファンをうならせている。 2月22日にルーヴル美術館のオーディトリアムで彼のリサイタルが開かれた。これは、3月6日まで同美術館で開催されていた『ウズベキスタン オアシスの秘宝 Splendeurs des oasis d'Ouzbekistan

          ベフゾド・アブドゥライモフ ピアノリサイタル at ルーヴル美術館オーディトリアム

          ラ・フォル・ジュルネ、 本場ナント レポート その5

          ナントのラ・フォルジュルネのレポートも今回で最後になりました。最終日は5つのコンサートを聴きました。 トリオ・ネベルメールこれまでにエリオス、パスカル、ゼリアの3つのピアノトリオを紹介しました。どれも素晴らしい団体ですが、また一つ、トリオ・ネベルメール Trio Nebelmeerという新しいトリオが加わりました。2019年春結成。名前は、ロマン主義を象徴する、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの有名な絵画『雲海の上の旅人』の「雲海 Nebermeer」の仏語読みです。仏語

          ラ・フォル・ジュルネ、 本場ナント レポート その5

          ラ・フォル・ジュルネ、 本場ナント レポート その4

          今回は2月4日土曜日の様子を一気に書きます! この日は朝7時半からのコンサートが二つあったのですが、前の晩に真夜中コンサートがあったこともあり、初めからパス。ちなみに朝7時半のコンサートは金曜日から日曜日まで合計4つあり、そのうちの3つがクープランの『ルソン・デ・テネーブル』でした。 東京にも登場、トリオ・ゼリアこの日は11時半のトリオ・ゼリア Trio Zeliha からスタート。5月の東京でのフォルジュルネにも登場します。ヴァイオリンのマノン・ガリー Manon Ga

          ラ・フォル・ジュルネ、 本場ナント レポート その4

          ラ・フォル・ジュルネ、 本場ナント レポート その3

          ナントのレポートの3回目は、3日金曜日の夜のコンサートです。 ガイスター・デュオに注目!ガイスター・デュオ Geister Duoのメンバーはダヴィッド・サルモン David Salmon とマニュエル・ヴィエイヤール Manuel Vieillard で、4手連弾も2台ピアノもこなします。昨年はじめに初CDをリリースしています。 4手連弾の時は、プリモとセコンドの受け持ちを固定しています。それは、オーケストラなどで一つ一つの楽器に特化された役割があるのと同じように、連弾で

          ラ・フォル・ジュルネ、 本場ナント レポート その3