腕まくりして、ヨッコラセ
「 明日も、初日の出見に行く?」
「行く! ... ったいけど、私、登れるかな?」
山とは名ばかりの標高100mもないお散歩コースである。しかしながら、放射線治療の副作用で目眩がひどくてウォーキングなんか出来ない日々。
ましてや山道なんかに入ったら、真っすぐ歩けないんだから、 ヨタヨタ どこへ迷い込むかわかりゃしないので、もう、半年以上、登っていない。体調のいい日は、近辺をぐるーっと歩いて筋力が戻って、また、上まで登れますようにと願っていた。
「たぶん、去年より時間かかるから、余裕もって、出発ね。」
「わかった。じゃ、5時に起こすからね。6時15分には、出発。」 「は..はい。」
それでも、長男Sの予測を上回る遅さ、亀の歩みだったらしく、腕時計と空の色見ながら、ヤキモキしてる。
ご来光ポイント目前に、 「もうちょっとだから、頑張って。こっちの坂がいい?階段がいい?」
「最短距離!」「どっちも、最短だよ。もう、日が登っちゃうよー」
「これ、重い。持って。」 さっき買ったホットティーすら重くて、それを渡して、階段を上がる。ぜーぜー。。。あぁ~、しんどっ!
ご来光ポイント。すでに、ご来光を拝みに人々が集まっている。
「もうちょっとで上がるから、そこのベンチに座って、ひと休みしてな。」とホットティーのペットボトルを返されて、ベンチまで数歩…
バタ〜ン!!
足ガクガクだったとこに、落ち葉🍂で滑って、派手に転んだ。落ち葉がいいクッションになって、全く痛くなかったけど、 Sの白ぉーい眼が・・・イタイ。
「大丈夫? もう、登っちゃうよ。」とシャッターチャンスを逃したくないSは、
私の膝の落ち葉を払って、サッサっと ポイントへ。
その辺の溜まってる落ち葉かき集めて、私に被せて、行ってしまわない息子に感謝。
ご来光は、そんなにすぐ逃げませんよー と私は、ベンチに座って、ホットティー飲んで、
さてとー。ヨッコラショ!!パンパンと。
携帯取り出して。
これが転んでた間に第1弾の方々が拝んで、写真撮って、ちょうど立ち去って行く頃合いで、タイミングばっちりじゃん。
かくして、無事、本年もご来光を拝むことが出来ました。
元旦に転んじゃったけど と 写真付きのLineを送ったら、気をつけてねと皆に言われて、 気づいた。
あれは、手にペットボトルを持ってたから、いけないんだ。とっさに手をつかずにボトルを手放せないのは、吞んべえの習性?本能? ーーー単にお前が運動神経が鈍いだけだろ!
そして、ふと思い出した。
数年前のことだが、酔っ払いあるある。
もう酔ってるのに、もうちょい飲みたい。そこで、まだ付き合ってくれそうな友達にLine
家に赤ワインを持って来い。白ワインとつまみはあるからと言う優しいお言葉に、わーい!と言って、赤ワインをゲットして、向かった。
ところが、いつもの入口から入れない。電話すると 「あっ、ごめん。今、入口んとこ、工事中だった。セキュリティのお兄ちゃんに今から言うから、駐車場の方から上がってきて。」「ハーイ!」
エントランスのセキュリティのお兄さん、インターホンの返事の後、ニコニコと 案内してくれて、〝この先のエレベーターで上がれますヨ。Selamat Malam こんばんは ”
” Terima kasih "ありがとう
とお礼 を言って、薄暗い所を歩み出した時に何かに躓いた。
アッ!
片手に赤ワイン。片手に携帯。 両方とも手放せない!!
ピンポーン♪ こんばんは~
「いらっしゃ~・・・どしたの!? 血だらけご来店!?」
「取り急ぎ、消毒液と冷やすもの。ってか、早くコレ、ワイン受け取って。開けて。空気に触れさせといて。」と我が身を呈して守ったワインを差し出した。
ワインボトルを転んでも手放せないのは、飲兵衛さんなら、きっと分かって頂けると思う。
っが、しかし、元旦に私が持っていたのは、年代物のワインでもなく、初絞りの無濾過生原酒でもない。ただのペットボトル...
もう、以前のように飲んでないのに、身についた飲兵衛の習性は直らないらしい。
ーーーまぁ、そこでペットボトルを手放したからと言って、カッコよく手をついて、転ばずに済んだか?というと、これまた大きな疑問だが。
いいのだ。ネット上には、「元旦に転んだら、福が転がり込む」と嬉しいこと書いてあるし、友達Sは、「やっぱりお茶目ね。」なーんて言ってくれる。ーーーそらぁ、ドジだとは言えねぇもんなぁ。
「元旦に転んだら、もう、後は転びません。」と言ってくれる人もいるけど、きっとそんなこたぁないと思う。私は、また、きっと、また、転んでしまうけど、ヨイショっと起き上がればいいじゃない。ただ起き上がるだけなのに、こんなに気合い入れないと起き上がれない今の自分が情け無いけど、でも、きっとほんのちょっぴり強くなってるんだ。前向きに倒れれば、きっとすこーしだけ前に進んでるんだもん。
実際には転けなくても、この数年、心は転びまくりだ。それでも、おばちゃんあるあるの腕まくりして、ヨッコラセと掛け声入りで立ち上がるのだ。
さーって、よいっしょ!