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猫の皮膚病学 セミナーレポート

今回も猫の皮膚病学セミナーレポートになります。
講師は、IDEXX Laboratories,inc の関口先生です。
獣医師向けWEBサイトの無料オンラインセミナーからです。

『見た目から入る猫の皮膚病学』

猫は意外とアトピー性皮膚炎が多いそうです。この見た目から入るというのは、炎症があるかないか、痒みがあるかないかを判断することを意味しています。

・炎症があって痒い:アレルギー・感染症
・炎症があって痒くない:稀な疾患(角化・免疫異常、腫瘍)
・炎症がなくて痒くない:脱毛症(遺伝、内分泌異常)
・診断困難:心因性

この中でも猫によく見られる炎症性皮膚疾患がアレルギーと感染症です。猫は、アレルギー>感染症のイメージが強く、犬ほど感染症が多くはないそうです。よく診断される毛包虫症や糸状菌症はあまり痒みは強くありません。

猫のアレルギー
・疥癬
・節足動物
・ノミ
・食物
・アトピー
猫の感染症
・膿皮症
・マラセチア
・糸状菌症
・毛包虫症

アトピーの診断方法として、上記の除外診断が可能な疾患から除外してアトピーと診断していきます。

猫アトピー性皮膚炎には様々な呼称があります。「猫過敏性皮膚炎」「非ノミ/非食物関連性過敏性皮膚炎」「猫アトピー様皮膚炎」など様々です。

〜では、猫アトピーとはどんなものなのか?〜


1、遺伝性素因があるかは明確ではありません
 ー好発品種としてアビシニアンが挙げられています。
 ー若年性で3歳までに発症しやすいです。ただし7歳以上での発症も少なくありません。これは犬よりも多いです。
2、掻痒感が最大の特徴です。
3、特徴的な症状がないのも特徴です。皮膚症状として、①自己誘発性対称性脱毛②顔面頸部のびらん③粟粒性皮膚炎(かさぶたの様なものがプチプチあるタイプ)④好酸球性肉芽腫が基本的な症状です。
4、環境抗原に対するIgEに関連するかは明確でなく、皮膚バリア異常についても不明とされています。

〜猫アトピー性皮膚炎の診断ポイント〜


□臨床的特徴が合致するか?
□抗原特異的アレルギーの除外:疥癬、ノミアレルギーの治療を実施。除去食試験を積極的に実施する。
□続発性感染症の管理と評価:細菌やマラセチアが関与していないか考慮する
□総合的にアトピーと診断する

〜猫アトピー性皮膚炎の治療〜

全身療法として、シクロスポリンステロイドが勧められます。また局所療法としてステロイド外用剤タクロリムス軟膏も有用な様です。

〜まとめ〜

猫の掻痒性皮膚疾患が来院されたら常にアレルギーの可能性を含めて考える思考を持つことが大事です。特に視診が大事と感じました。体幹部側面全体、耳介、前頭部、眼周囲、鼻周囲、口唇、下顎〜頸部腹側、前肢内側、体幹腹側全体、尾根、臀部、後肢後面など顔から尾にかけて皮膚症状の観察(痒み、炎症)を見ることが大事ですね。好酸球性肉芽腫性病変まで至る症例には出会ったことがないため、アレルギーとの関連性は全く頭の中にはありませんでした。これからの診察に活かしていきます!!

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