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動物病院での犬と猫の病気:下痢(17) 『ご自宅でできる下痢の対処方法』

千葉市で働く臨床経験17年目の獣医師です。

前回のnoteでは

食物アレルギー

についてお話をしました。


今回は

『ご自宅でできる下痢の対処方法』

についてお話をします。


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以前もお話ししましたが、私はほぼ毎日下痢の診察をしています。

そしてその下痢は毎回同じということはなく、

下痢につながる様々な病気があり、その病気に合ったそれぞれの治療方法があります。

そんな下痢の診察において、これまでこのnoteでお話ししてきませんでしたが、ご家族に共通してお伝えしていることがあります。


それは診察後のフードの与え方についてです。


その子の状態や病気によって多少異なることもありますが、主に以下のようなことをお伝えするようにしています。↓


➀下痢した後は、次の一食を抜いてもらう。

➁その次の食事はいつもの1/3~1/4量から始めてもらう。
(普段ドライフードで与えているご家庭の方には、一番初めの食事はなるべくふやかしてもらう。)

➂下痢の程度にもよりますが、2~3日くらいかけて元の食事量に戻すように一回の食事量を少しずつ増やしていく。



単純な下痢であれば薬などを使わなくても上記のフードの与え方で治ることもあります。

このような説明をする理由としては、

特に血便や粘膜便が出てきている場合は、通常新たな腸の粘膜ができるまで4、5日かかる

と言われています。

そのため、下痢が続いているときにいつも通りの量のフードを与えてしまうと、

粘膜の回復前に多くのフードが腸にやってくるので

その通過の刺激でまた下痢を繰り返してしまう可能性があるからです。



ただこのフードのアドバイスには例外があります。

それは

子犬、子猫と老犬、老猫

についてです。

子犬、子猫については月齢にもよりますが、体にまだエネルギーの蓄えがほとんどありません。

そんな子犬、子猫が、下痢が続いているときにさらに絶食にしてしまうと、低血糖になり場合によっては命にかかわる可能性があります。

また老犬、老猫も痩せてしまっている子や、持病があり闘病中の子に関しても少し食べないだけでも、体の中のちょっとしたバランスが崩れ、命にかかわる状態になっていくこともあります。

そのため子犬、子猫や老犬、老猫が下痢した際は、主治医の先生に病気の説明とともに食事のアドバイスもしっかり受けるようにしてください。

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またよくご家族より、

『人間は下痢の時、下痢でなるべく悪いものを出し切ったほうが良いので、下痢止めの薬は使わない方が良いのではないですか?』

という質問もよく受けます。

最後にこの質問についてお伝えしようと思います。

医療関係者の方に話を聞くと、医療では下痢の時整腸剤は処方することはあるが、特殊な病気でない限り下痢止めの薬は処方することはあまりないそうです。

実際私は下痢の治療の際、原因の病気は何であれ、整腸剤と下痢止めの薬を処方することがあります。

その理由としては

犬や猫は下痢が続くと粘膜がはがれて血便となり、その程度が時間とともに悪化していきます。

そのさらなる悪化を防ぐために、私としては初期から下痢止めの薬を使用するようにしています。



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いままで下痢について多くを語ってきましたが、今回でこの『動物病院での犬と猫の病気:下痢』シリーズは終了とさせていただきます。


この下痢シリーズでnoteを書きはじめて約4か月

気づけばフォロワーさんも700人を超えました!

本当にありがたいことです。

そしてとても励みになります。

これからもより多くの方に読まれるnoteにしていきたいです。
今後とも応援よろしくお願いいたします。


次回からはまた新たなトピックをお話ししたいと思っています。


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