マガジンのカバー画像

動物病院での犬と猫の病気:下痢

17
動物病院では毎日のように下痢の診察が行われています。病気の話はもちろんですが、ご家族が自宅で愛犬愛猫の下痢を発見したとき実際にどうすればよいのか? そのあたりを詳しくお話ししてい…
運営しているクリエイター

#動物

動物病院での犬と猫の病気:下痢(1) 犬と猫はどちらが下痢しやすい?

千葉市で働く臨床経験17年目の獣医師です。 それでは今回より動物病院で診察されることが多い犬と猫の病気についてお話ししていきます。 まずは動物病院の毎日の診察でもっとも多いと言ってもよい病気、 それは 犬の下痢 です。 私の働いている動物病院の場合をお伝えすると、毎日犬の下痢の診察は何件かは必ずあります。 そして多い日は一日の診察の50%近くが下痢の診察 という場合もあります。 とにかく犬は猫と比べてとてもお腹が崩しやすいんです! 愛犬の下痢のため診察に来

動物病院での犬と猫の病気:下痢(6) 小腸性下痢と大腸性下痢

千葉市で働く臨床経験17年目の獣医師です。 前回のnoteでは 下痢とはどのような状態なのか? について解説をしました。 今回は下痢の治療をしていく上でとても大事なポイントである 小腸性下痢 と 大腸性下痢 の違いについてお話ししようと思っています。 そもそもですが、動物は口から食べ物を食べて胃や腸を通り、お尻から便を排泄します。 主に小腸では食べ物に含まれる栄養素(三大栄養素といわれるタンパク質、糖質、脂質)の消化と吸収を、大腸では主に水分の吸収と便の排泄を

動物病院での犬と猫の病気:下痢(7) 小腸性下痢と大腸性下痢の原因について

千葉市で働く臨床経験17年目の獣医師です。 前回のnoteでは 小腸性下痢と大腸性下痢の違い について解説をしました。 今回は 小腸性下痢と大腸性下痢の原因 についてお話をしたいと思います。 前回のNOTEでお話しした小腸性と大腸性の下痢の違いによって、大まかな部位の特定ができます。 そして実はもう一つ下痢の原因を特定するうえで大切なことがあります。 それは 急性な症状か、慢性な症状か ということです。 急性の下痢とは、突然下痢が始まりその症状も強く出

動物病院での犬と猫の病気:下痢(15) 便の色を見るだけで分かる病気!?

千葉市で働く臨床経験17年目の獣医師です。 前回のnoteでは 蛋白漏出性腸症 についてお話をしました。 今回は 便の色を見るだけで病名が分かる!? 可能性がある下痢につながる病気のお話をしようと思っています。 突然ですが、 皆さんの愛犬愛猫の便は普段何色の便をしていますか? 何でこんな分かり切った質問を? と思っている方も多いと思います。 便の色は濃さの違いはあるものの、通常 茶色 ではないかと思います。 今回お話しする病気の子は 典型的には