見出し画像

農家さんと経営理念

僕が現在、勤務している農場は経営理念を掲げている。

農業関係の営業マンからは

「こちらの農場では経営理念をお持ちなんですね」

と好奇の目で見られる。

また他の農家さんからは

「経営理念って役に立つの?」

と聞かれることがある。

僕が畜産に関わる獣医師として仕事をしていた時も、経営理念を掲げている農家さんはほとんどいなかった。

そこで、今回は僕が農場でスタッフと働きながら気づいた経営理念の2つのメリットについて書こう。

経営理念の意味

1.経営者の求めるものの言語化
2.従業員の忖度の拠り所


1.経営者の求めるものの言語化

現在、社長が経営している事業というのは、実はひとつの手段でしかないということにどれくらいの経営者が気づいているだろうか?

酪農家は、餌などの原材料の調達に始まり、牛の健康や生産工程を管理することで生乳を出荷し、売上げを得ている。
このプロセス(事業)は収益を得るための手段でしかないという話を聞いてピンとくるだろうか。

経営理念とは、その事業を通じてどのような世界(理想)を実現したいかという「目的の言語化」に意味がある。

農場の中にいると、日常業務や日々のトラブルに自分の行動や思考があっという間に埋没してしまい、気づけば収益を得るための手段であるはずの農場運営が目的化してしまう。

そうなると当初は経営者が思い描いていた理想や成し遂げたい目標から、どんどん離れて行き、次第に農場の中のことしか考えられなくなっていく。
「今、うちにそんな余裕はない」
「そんな先のこと今は考えられないなぁ」
このようなマインドに簡単に引き込まれるのが農場という現場なのだ。

あらゆる環境が長期的に大きく変動することがわかってきている現在、農家さんがこの「現場に引き込まれたマインド」でいることは、現状維持を容認し、経営リスクを高める可能性がある。

「現場に引き込まれたマインド」から脱出し、再び広い視野で物事を考えられるようになるための対処法は、長期的な視点で自分が成し遂げたいことを経営理念として「言語化」することである。

僕は、この経営理念の有無こそが農家さんが持続的に農場を経営していくことに大きく影響する要素なのだろうと考えている。

この記事を読んでいる農家さんがいれば、ぜひ一度この機会に自社の経営理念について文字に書き起こして「言語化」をしてみてはいかがでしょう?

ふたつめの「従業員の忖度の拠り所」については、農場スタッフの目線での経営理念のメリットについて書こうと思う。

今回はここまで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?