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犬の夜鳴きについて

今回はペットの夜鳴きについて書いていきたいと思います。
高齢で夜鳴きと聞くと”認知症”を思い浮かべる方も多いのではないでしょううか。
ペットの夜鳴きは高齢犬の認知症以外にも色々な原因があり、飼い主様も疲れ果ててしまうことが多く、すごく大変な症状であると感じています。


今回の記事は

  1. ペットが高齢で、今のうちに夜鳴き対策をしておきたいと考えている方

  2. 実際にペットの夜鳴きで悩んでいる方

に向けて作成したものです。


この記事を読むことで

・夜鳴きの原因と対処について

知ることができます。


この記事が少しでも解決の手助けになれば幸いです。


<夜鳴きの原因として考えられること>

①認知機能不全症候群
いわゆる”認知症”です。
認知症は高齢の、特に柴犬などの日本犬がなりやすいと言われていますが、その他の犬種でも認められます。
夜鳴き以外にも以下のような症状を認めることがあります。

  • 同じ場所でぐるぐる回り続ける

  • 今まで出来ていたことが出来なくなる(トイレでの排泄など)

  • 狭いところにハマって、身動きが取れなくなる

  • 呼ばれても反応しなくなる

②何かしらの身体疾患による場合
何かしらの疾患が存在し、
「痛み」「かゆみ」「違和感」などを訴えて鳴いている可能性があります。

  • 高血圧

  • 甲状腺機能亢進症(猫)

  • 副腎皮質機能亢進症(犬)

  • 神経疾患(てんかんを含む)

  • 咳(呼吸器疾患・心疾患など)

  • 頻尿(泌尿器疾患・内分泌疾患・利尿剤の服用など)

  • 睡眠時無呼吸症候群

  • 吐き気や腹痛

  • 痛み(腫瘍性疾患など)

  • かゆみ(皮膚炎など)

夜鳴きが主症状となる病気は少ないですが、高齢でも”認知症”と決めつけて諦めず、一度動物病院で見てもらうことをオススメします。

③不適切な睡眠衛生
人間でも不規則な生活ばかりしていると夜に眠れなかったり、眠りが浅くて変な時間に起きてしまったりしますよね?
これは動物も同じで、以下のような原因で夜に眠れず夜鳴きをしている場合があります。

  • 朝日を全く浴びない

  • 散歩に行かない

  • 昼間寝てばかりいる

  • 食事の時間が不規則

  • 寝ている場所が夜でも明るい

  • 身体的に不快(ベッドが硬い、部屋が暑い/寒い)

④その他

  • 子犬が環境の変化や、寂しさ、不安などから夜鳴きしている場合

  • 発情で鳴いている場合

などが考えられます。

<夜鳴きの改善方法>

夜鳴きに対する対策として、3つのstepがあります。

step1)原因に対しての治療と対策

①認知機能不全症候群
『適度な運動と適度な刺激を与える』
認知症を発症している高齢犬では日中もずっと寝たきりで連れ出すのも大変だと思いますが、
庭先やベランダでも良いので、なるべく外に連れ出して日の光を浴びさせたり、
車椅子や歩行補助用のハーネスなどを使って運動をさせてあげるようにしましょう。

部屋の中で歩かせる際には壁にぶつかってしまったり、狭いところに挟まってしまったりする場合があるので、
円形のサークルや、子供用のビニールプールの中で自由に歩かせてあげるのがオススメです。

日中起きていることや運動することで夜に疲れて眠ってくれたり、生活に刺激を与えることで症状の緩和や進行防止につながります。

『不快感を取り除く』
寝床に不快感を感じたり、お漏らしして寝床が濡れてしまったりで夜鳴きをしている場合があります。
特に人間が感じていなくても、隙間風で寒さを感じていたりすることがあるため、暖かく眠れる環境を作ってあげましょう。
排泄に関しては仕方ない部分もありますが、オムツにしたり、寝る前に排泄を促したりしてみても良いかもしれません。

『食事やサプリメント』
必ずしも効果が期待出来る訳ではありませんが、認知症に良いとされているものには以下のような成分があります。

  • 抗酸化物質:ビタミンE/C/A、コエンザイムQ10、葉酸、ポリフェノール類など

  • 脳機能に良い栄養素:脂肪酸(EPA、DHA)、リン脂質(フォスファチジルセリン)など

これらの成分が含まれている食事やサプリメントが夜鳴きの改善の手伝いをしてくれるかもしれません。

『薬物療法』
認知症の症状緩和効果が報告されている薬剤などもあるので、薬を使わない対策で効果がなければ動物病院に薬の使用について相談してみましょう。
ですが、あまり過度な期待は禁物で、症状が完全に消失したり、若い頃と同じようになるのは難しいのが現状です。

②何かしらの身体疾患による場合
これには様々な原因があり、治療も異なるのでしっかりと病院で診断してもらい治療をする必要があります。
「夜鳴き=認知症でボケている」と考えず、まずは1度何かしら疾患が隠れていないか探すことが重要です。

③不適切な睡眠衛生
こちらはstep2がそのまま対策になるので後述します。

④子犬が寂しさや不安などから夜鳴きしている場合
新しく子犬を迎え入れた時に、夜1匹で寝ていると寂しさや不安などから夜鳴きをすることがあります。
まずは人間と同じ部屋に寝床を設置してあげて、子犬が環境に慣れて安心してきてから別の部屋に移動させてみましょう。
別の部屋でも飼い主様の顔が見れる場所であったり、別の部屋でも扉は開けておいたりと工夫してみるのも良いかもしれません。
また、鳴くたびに人間が反応してしまうと、鳴けば来てくれると思ってしまうことがあるので初めは大変ですが、無視することも重要です。

⑤発情で鳴いている場合
時に改善しない場合もありますが、避妊・去勢手術を考えましょう。

step2)適切な睡眠環境を整える

『朝日を浴びるようにする』
体内時計を整えたり、セロトニンやメラトニンなどのホルモンの増加にもつながります。

『昼間に無理のない範囲で活動を増やす』
日中ずっとおうちで寝ていることは避け、散歩や遊び、犬同士のふれあいなどで体を動かすようにしましょう。

『規則的で適切な食事』
食事時間は規則正しく、抗酸化物質を含んだ栄養バランスの良い食事が理想的です。
何か疾患があればそれに必要な処方食を優先で問題ありません。

『適切な身体のケア』
寝る前に排泄を促したり、体を触られることを嫌がる子でなければマッサージをしてあげるのも効果があります。

『快適な寝床』
温度管理やベッドの硬さなど。
なるべく静かで明るすぎない場所が理想です。

『中枢興奮作用のある薬剤の使用中止』
もしかしたら今現在、他の病気で服用しているお薬の中に、神経興奮作用のあるお薬があるかもしれません。
休薬できるお薬であれば1度休薬してみることで変化を観察できるため、1度かかりつけの獣医師に聞いてみましょう。

step3)睡眠を促す薬やサプリメントの使用

色々試してみたけど改善しない場合、薬に頼るのも1つの方法です。
ただし、必ずできる範囲で前述した非薬物対策も一緒に行うようにしてください。
睡眠を促す薬には様々なものがありますが、それぞれに一定の副作用の可能性もあるので、その子に合ったお薬を選ぶためにも動物病院で相談・処方してもらいましょう。


当たり前に思えるような生活習慣の改善が多かったと思いますが、これは人でもすごく重要で、薬だけに頼るのはあまり良くありません。
普段ずっと家にいるわけではないと思いますし、難しい部分もあるとは思いますが、ご家族で協力して出来る範囲でいいのでチャレンジしてみていただけたらと思います。

<ペットホテルという選択肢>

高齢犬の夜鳴きについて飼い主様とお話ししていると、日が経つにつれて飼い主様が精神的に疲れていってしまう姿を見ることが多くあります。
それもそのはずで、
”夜鳴きがうるさくて寝れない”
”夜に何度もオムツの交換や体位を変えるために起きなければいけない”
”夜鳴きで近所の目が気になる”など、お世話する飼い主様への負担は計り知れません。
人の介護と同じで、すごく大変だと思います。

こんな時、ペットホテルに預けるということも考えてみてください。
確かに根本的な解決にはならないかもしれません。
ですが、今後も長く症状と付き合っていく上で飼い主様が介護のストレスから時折解放されることも重要です。
一度リフレッシュするだけで、結構みなさん顔色も良くなって、元気になります。
また、時折環境の変化で夜鳴きの程度が軽減する子も経験することがあります。

<まとめ>

  1. 夜鳴きをする原因は様々。

  2. 身体の病気が原因であることもあるため、認知症と決めつけない。

  3. 薬以外にもできることはたくさんあり、むしろそちらの方が大事。

  4. 適切な睡眠環境を整えてあげることが重要。

  5. 介護に疲れきってしまう前に、ペットホテルという選択肢を考えて欲しい!

最後まで読んでいただきありがとうございました。
高齢犬の介護は大変ですが、みんな高齢になるまで元気に生きてくれたからこそこういった症状が出てしまう側面もありますし、無理なく付き合っていけることを願っています。

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