じわリスト〜その一言が秀逸すぎる〜(6)
こんにちは!安江水無です。
今回は、ある営業マンのお話です。彼は人懐っこいキャラでクライアントから可愛がられていましたが、ときどき物事の「芯」を突くような発言をします。それが営業マンとしての心得の1つだったのかもしれません。
出版社の編集部にいた私は、営業部(主に広告掲載をクライアントに提案する部署)の人と連携を取り、一緒に行動することも多かった。5歳年下の営業マン「Aくん」は、ちょっと残念な部分もありつつも(笑)、私が仕事でイライラしているとすかさずご飯に誘ってくれたり、目的地まで自腹でタクシーに乗せたりしてくれる、なかなか気の利く青年だった。
ある日の午後、彼が私のデスクのすぐ横に立ち、「安江さん!」とわりと大きめの声で呼ぶので「ん?なに?」と言ったら、「安江さん、鶏の唐揚げはモモ肉じゃなきゃダメです。胸肉はあきまへん!」と力強く言い放った。
……なんのこっちゃ、である。Aくんは無類の唐揚げ好きだからな……と思いつつも、やっぱり、なんのこっちゃ、である。
そんなお茶目なAくんであったが、営業にかけてはするどい考えをちゃんと持っていた。見積もりを出すときも、クライアントとの折衝時も、彼は結構、頼りがいがあった。そういうことが元来、苦手な私はAくんのおかげで記事をつくることに専念できた。
よく一緒にランチにも行っていたのだが、ランチからの帰り道にふと、Aくんが私に問題を出してきた。
「安江さん、世界でいちばん面白くない話って、なんだと思いますか?」
私は答えに窮した。年上なのにパッと答えが思い浮かばない。んー、なんだろう?と困っていると、Aくんは一言、こう言った。
たしかに!!である。人の自慢話くらい聞くに堪えない話はない。Aくんはさすがの感性の持ち主だなと改めて思った。
ただし、自慢話といっても聞くメリットがあれば話は変わってくる。例えば、『別荘を持ってる』はただの自慢話だが、『今度の週末、空いてるからうちの別荘に来ない?手ぶらでおいでよ』となったら、少しはその話に耳を傾けられるだろう。
私はそれ以来、自分にまったくメリットのないただの自慢話を我慢して聞いたり、うなずいたりするのを止めた。そんな努力は馬鹿げている。聞かなきゃいいのだ。
自慢話ばかりを繰り返す人は、だいたい嫌われている。
今回の学び「他人の自慢話は聞かなくてよし。なんの意味もない」
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