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日本のインバウンドビジネスの今 <VERSUSイベントレポート>
2019年4月から、エンタメ・スタートアップスタジオ VERSUSの 超実践!起業ワークショップ が始まりました。今回はそんなワークショップ初回の様子をレポートします。
■そもそも「超実践!起業ワークショップ」とは?
3ヶ月にわたって、スタートアップ・ビジネスプランを磨き上げるという長期ワークショップです。
起業に必要な知識を効率的に得たうえで、実際にビジネスを立ち上げることを前提にして全7回のワークショップを行なっています。
※途中参加も歓迎です。 興味がある方はDMにてお早めにご連絡ください。また、詳細はこちらから。
■インバウンドの現状
ワークショップ初回となる今回は、観光庁の太田雄也氏にインバウンドの実情について話していただきました。
太田氏によると、まず訪日外国人は増加の一途をたどっており、2016年には2000万人を突破しました。
こうした増加の背景には、いくつかの理由がありますが、特に「ビザの緩和」「円安」などの影響が大きいのではないかということです。
また、同じくご登壇いただいた弁護士・齋藤貴弘氏からは「世界的にどの都市でもインバウンド観光が増えており、都市間での争いになっている」という指摘がされていました。
また、訪日外国人数の増加を受けて年間消費額も増えており、2018年にはおよそ4.5兆円にもなっています。
2015年の「爆買いブーム」が落ち着いたこともあり、1人あたりの消費額はやや減少していますが「外国人旅行者が8人来てくれれば、日本人1人分と同じぐらいの消費活動になる」とのことで、市場規模・経済効果ともに目が離せないテーマとなっています。
また、国別に訪日数を見てみると、最も多いのは上から
1位 中国
2位 韓国
3位 台湾
4位 香港
とのことで、こちらのアジア4国だけで全体の75%を占めるとのこと。特に中国は消費額でも最も大きい国だそうです。
また、太田氏によると「国別に滞在日数に違いがある」とのことで、ドイツ・フランス・スペインなど欧州の国が長期滞在を好む一方、アジア諸国の観光客は短い日数での滞在を好むとのことでした。
さらに、訪日形式としては、団体ツアーではなく個人ツアーで来るケースが8割を超えており、スマートフォンで行きたい場所を検索して来る場合が多いそうです。
また、特に面白いのが地方への波及効果で、現在外国人の割合としては
三大都市圏(東京・大阪・名古屋):その他 = 6:4
となっており、地方の訪日数の伸び率は都市部を上回っているとのこと。
その背景にはリピーターの増加があり、リピート回数が多ければ多いほど地方訪問が増えるため、都市部以外の訪日外国人が増えてきているということでした。
また、地方の中でも特に訪日数が伸びているのは
・瀬戸内トリエンナーレなどで知られる香川
・タイで映画のロケ地として知られている佐賀
・ねぶた祭りなどで知られる青森
などで、いずれも2012年から去年にかけて、6〜10倍の伸びを見せているそうです。
■国としての取り組み
こういった背景を受けて、国がどういったインバウンド施策を行っているのか、いくつかの事例を太田氏よりご説明いただきました。
まず目標としては2030年までに、現在の2000万人から6000万人に訪日外国人を増やすこと。
その一環として、現在の訪日外国人数増加にも効果のあったビザの緩和や免税制度の整備に大きく力を入れているほか、通訳案内士などに関する国内の規制緩和、キャッシュレス対応などを進めているとのことでした。
またその他に、海外では王宮をレセプション会場にしたり、王宮見学ツアーが観光客に人気になっていることを受けて、赤坂迎賓館の開放を実施。
あわせて文化財についても、寺社仏閣など文化財の美装化プロジェクトも進めているそうです。
その他、国立公園内に宿泊施設を作る、観光客が撮影した写真をすぐに拡散できるようにWifiを整備する、などの施策も進められているとのことでした。
■インバウンドのビジネスチャンスとは?
では、こういったインバウンドの増加について、スタートアップにはどんなビジネスチャンスがあるのでしょうか?
まず、日本のインバウンドの課題としては「1人あたりの消費額が少ない」という点が挙げられます。
現在の1人あたりの消費額は15万円となっており、ここに伸ばす余地があるのではないかということ。
特に欧州では、観光者は予算のうち5~10%を娯楽サービスに使っているのに対し、日本では2.5%しか使われていないとのこと。そのため「観光客向けの娯楽サービスが不足している」との指摘がありました。
また、特に夜間のエンターテインメントの分野は極めて少なく「今からインバウンド・ビジネスをやるのであれば、夜間をねらった方が競合が少なく、需要もある」との話が大変印象的でした。
また、これについては、同じく登壇者の弁護士・齋藤氏も同様の指摘をしており、日本のインバウンドの課題を
1. 団体旅行から個人旅行への旅行形態の変化
2. ゴールデンルートにとどまらない地方への誘客
3. 訪日外国人一人当たりの旅行消費額の拡大(富裕層対応、「モノ消費」から「コト消費」への対応)
の3点だとしたうえで、今後伸ばせる可能性のある夜型エンターテインメントとして
・デジタルダーツ
・シミュレーションゴルフ
などの具体的な例を挙げていただきました。
また、本イベントの最後には登壇者のお二人に加えて、VERSUS代表取締役・山口哲一氏を含めたパネルディスカッションを実施。
パネルの中では、現状で見えている観光客のニーズとして
いま、欧米系の観光客には「キャラクターになりきれるカート走行」、アジア系観光客には「和食の料理教室」が定番になっている
アジア系観光客の中には、日本のヘアサロンに行きたいという人も多い
中国では日本の錦鯉の所有権売買が人気になっている
鎌倉・江ノ島電鉄の踏切が、アニメ「スラムダンク」の聖地として外国人に大人気になっているが、現状ではマネタイズ方法がなく見逃されている
といった、ビジネスアイデアに直接役立てられる、具体的なトピックなどが話されました。
その他、夜型エンターテインメントを含めたインバウンドのビジネスを行う際は
1.いつでも空いていること
2.外国人が簡単に予約ができること
3.言語対応していること
の3点が必須との話もあり、こういったインバウンドという視点で成功している/注目されている企業としては
・星野リゾート
・Airbnb
・おまつりジャパン
・MATCHA
などの企業名が会場から挙がっていました。
■まとめ
今後、確実に伸びていくことが予想される数少ない市場であるインバウンド。
その中には、夜型エンターテインメントをはじめ、エンターテインメントの分野からアプローチできることも多数あるはずです。
VERSUSでは「エンターテイメントに関連した事業を、テクノロジーを使ってやりたい」と考えている人を求めています。
こちらの記事を読んで、少しでもエンタメ・スタートアップに興味を持っていただけた方、一緒にやってみたいと思っていただいた方は、ぜひこちらからお気軽にご連絡ください。