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『劇団四季!お前もか!』コロナ禍の衝撃~クラウドファンディング

ただ事ではない。3歳頃からバレエ等を始めて国内外、最高峰の芸術大学、専門学校をでた猛者たちが天文学的な倍率を突破して形成している劇団、劇団四季。

私に観劇の楽しさを最初に教えてくれた劇団がかつてない窮地に陥っている。少なくとも年間1/3の公演が白紙となり、ファンから1億円のクラウドファンディングを募るという。私は、トータル10年少々のあいだに3桁を超える回数は観劇しているので、そこそこのオタクであった。最近は、西日本豪雨をきっかけに足が少し遠のいていたものの。

劇団四季とならんでミュージカル公演で有名な宝塚や東宝との違いを比較してみる。経営形態も今回の事態に多少影響があるのでは?という、考察も見受けられた。

【宝塚歌劇団】阪急電鉄の一部 / チケット販売:スター制

【東宝ミュージカル】映画演劇、配給・興業、不動産業等 / チケット販売:スター制

【劇団四季】演劇企画・興業 / チケット販売:作品主義

かつては、レーガン・中曽根のロンヤス会談を演出した故人 浅利慶太氏の創設した劇団。長野五輪の演出も。劇団内でパワハラが噂されたのをきっかけに、浅利氏の後継として演出振り付けを率いていた加藤敬二氏も退団。新作『アナと雪の女王』の海外演出指導チームも昨今の事情で来日が叶わず開演延期。浜松町の劇場の解体新築工事完了するも、オープン叶わず運が悪い。

さて、作品主義というのは、突出したスターの名前で売り出すことをヨシとしない。どの演者が演じてもすべての公演に同じクオリティーを提供することとしている。そこに演者もスタッフもない。それに伴いいくつかのタブーもある。現役の正規劇団員はSNSの使用及びファンとの交流、出待ち交流が禁じられている。今回のクラウドファンディングの拡散に必死になっているのは、劇団を退団したメンバーとコアなファン層とみえる。すでに退団した団員だって報酬、資金繰りは難しいはず。残酷だが、テレビドラマにも出演するような成功者は限られる。現役のファン層に訴えるならば、現役の団員が有料オンライン配信などでパフォーマンスをすれば相当な収益の強化に繋がりはしないか。それこそプロパフォーマンス集団の腕の見せ所ではないだろうか。声をあげるべき時を逃せば劇団存亡の危機ともいうのに。元オタクながら、じれったく思う。

浅利氏の理念を踏襲するが故のジレンマがあるのだろうか。浅利氏の功罪として自身の他に演出脚本家の存在を許さなかったこと、後継を育てていなかったことが仇となった。良くも悪くもワンマン体質。日本でオンラインチケット販売を最初に始めた劇団がここで旧態依然としたカタチに委縮するのか。

この緊急事態に如何に迅速に柔軟に対応できるかが勝負の分かれ目か?

コロナ禍の前から仏 パリのオペラ座のダンサーたちはストライキというかたちで待遇改善の声をあげていた。

また英国ロンドンの名門ウエストエンドは劇場がコロナ禍のせいで閉まるや2週間やそこらでカンパを募るためのYouTube配信をはじめた。定期的に様々な演目の歌唱を披露してくれている。

また、劇団四季を退団して自身初の主催公演の開演カウントダウンに入っていた彼の対応は早かった。イベント自粛要請がでるや、すぐさま仲間と共にオンライン有料配信 #うちでMusicalday  小劇場をゆうに一杯にするほどの集客力であった。ステイホーム期間中にそれはテーマを変えて1弾、2弾と開催された。


高橋氏がそれを立ち上げるに至った経緯を記したnoteもあるのでリンクを貼らせて頂きます。


日本の文化芸術の灯を消すまいと、#WeNeedCulture というハッシュタグも作られている。そのうち #SaveTheCinema  ミニシアターを救おうというクラウドファウンディング ミニシアター・エイド基金は先行して3億円を超える額を集めた。

劇場に入って幕が上がるまでの時間、現実を忘れ、束の間夢の時間に浸る。そこでまた明日を生きる活力をもらえる。一期一会の空間そのものが芸術作品。焼け野原になる前になんとか全ての小劇場、映画館、ライブハウスにも十分な支援が行き届きますように。

先日2000.6.12山添拓議員の国会質疑を書き起こしてみて、この国の対応がいかに文化芸術に冷たいか、痛感したところである。

※タイトルは「ブルータス、お前もか!」をもじりました。

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