東京五輪報道にみる彼我の差(1500字)
東京五輪はいまの日本社会の縮図だと思う。いま海外の目がなければ、もっと醜態を晒していただろう。海外の抗議によってしぶしぶ土壇場になって数々の辞任、解任劇は起こったわけであるから、喉元すぎれば...。五輪を率いる中枢部が真に何が問題であったのか自覚しているとは到底思えない。そう簡単に腐敗しきった国を立て直すことは容易ではないと思う。
開会式まであと数時間。私は最後まで反対したという日本人としての意地をここに記録しておく。
【Drサンジェイ・グプタ来日リポート】
CNNはいま3人の特派員(のちに+1人)をおいたうえで脳外科医師Drサンジェイ・グプタを「311」以来、来日させたというから力の入れようが見て取れる。以下、世界科学の一般常識レベルから彼は指摘する。
◆東京五輪の欠陥その1
来日初仕事の中で、東京五輪プレイブックの決定的な欠陥が指摘された。
①「空気感染」対策が全く講じられていない
②マスク着用必須とあれど、どのレベルのマスクが必要が指定がない
③日本のワクチン接種率の低迷
①「飛沫感染」「濃厚接触」で時が止まっている本邦のアクリル板対策は、大勢が集まる選手村の食堂やトレーニングジムでは全くの役に立たない。/②さらに、ウレタンマスクや布マスクなどデルタ変異株を前にしては何の役にも立たない。そういった配慮がない。まさに「やってる感」。/③そしていまだに20%未満にとどまる日本国内の低迷するワクチン接種率はデルタ変異株がひとたび感染爆発すればひとたまりもない。
※なおインタビューに最初に登場するIOCコロナ対策責任者が何やら聞き覚えのある言葉を...「SAFE&SECURE」これをそのまま政府は訳して呪文のように何度も言っているのが「安心安全」なのかと初めて気がついた。
◆東京五輪の欠陥その2
Drサンジェイ・グプタの指摘。
「オリンピック関係者に毎日精度の低い抗原検査を受けさせて、そこで陽性とでたときにやっとPCR検査を受けされるというのは如何に」
私でも抗原検査とPCR検査の違いくらいわかる。空港検疫でも抗原検査を取り入れ、水際対策もカオス…。
上記の指摘を受けていることを、Twitter上でちょうど議論をされていた国立遺伝学研究所・川上教授のスレッドに失礼を承知でお知らせにあがった。
川上:「>抗原検査→陽性→PCR検査で確認、はおかしい」科学の知識が多少あって常識的な考えがあれば誰でも気づきます。我が国で、抗原検査→陽性→PCR検査で確認、というプロトコールを考えた人、採用した人は、はっきり言って、...
川上先生の切り返しに便乗して私もDr.グプタに御礼を。
''Facebook is killing people". バイデン大統領はSNSに出回るワクチン忌避を煽る偽情報に対して毅然とした態度を記者の前で見せた。そのフレーズを拝借して。
◆東京五輪の欠陥その3
Drサンジェイ・グプタの指摘。
BUBBLE IS "BROKEN".
選手村で次々と陽性者が見つかるような惨状とあっては、もはやバブルなど存在しないことは誰の目にも明らか。いや、始まる前からみんな知っていた。
日本側は異国から黒船がやってくるイメージが強いようだが、海外メディアからは「こんなにcleanに検査してきたのに(日本で感染した)」という印象を受ける。米国体操選手団しかり。
この同日、本邦某局の放送では「バブル方式に穴はないか」と与党政治家などとりとめもない議論をしていた。そして「濃厚接触」の定義をフリップにだして…まだやってる。検査抑制論に固執する奇妙な極東の島国は到底このパンデミックから抜け出せそうにはない。