数学は役に立たないし、思考力も他教科で鍛えられるだろ
「数学って何の役に立つんですか?」
こういう疑問は1回くらい思っただろうし、高校生からよく聞かれる。ネットで検索すると「役に立たないことは無い、こういう風に役に立つ」と書かれている記事を多く見る。
果たしてそれは本当だろうか?
私はそうは思わない。そこらで書かれている「役に立つ」例はせいぜい中学数学で十分だし、なんなら算数の応用でもいける。それに上のような質問は「数学」じゃなくて「“今やってる”数学」だろうし、しかもそれが直接役に立つかどうか聞いてるのであって別に問題を解くときの考え方とかの話をしてるんじゃない。
三角関数を勉強していて、「これ役に立つんかな?」って思ったなら “三角関数が” 役に立つものを考えなくてはいけない。もちろんそういうことを言っている人もいる。測量は三角関数のオンパレードだとか、三角関数は自然現象を記述するのに〜とか。
そして上の質問をする人はこういう。
「でもそれって私は分からなくても良いですよね 」と。
全くそのとおりである。三角関数なんか分からなくても現代なら機械に入力すれば結果が出てくるし、普通に生活する上で自然現象が三角関数で記述できるとか心底どうでもいい。
他の分野でもそうだ。別にそれら自身を覚える必要なんてないし、使う機会があったとてその場しのぎでなんとかなる。だから数学は役に立たない。
「いやいや、数学は思考力を鍛えるのに有効なんだよ」こう言う人もいる。
じゃあ逆に聞きたいが、思考力は数学でしか鍛えられないのか?というかそもそも思考力ってなんだよ、とまで思う。
マジレスすると数学が役に立たないなんてことはない。私は今、大学の物理学科で物理学を専攻しているがいわゆる理系なら数学を使わない日なんてない。
でも実際、高校数学までの知識なら程度が低すぎて使い物にならないのも事実。だから高校数学は「直接は」役に立ってない。全ての数学の基礎とも言えるけど、基礎すぎるがゆえに役に立つ場面が見えない。
結局、「数学って役に立たないよね」「三角関数なんか人生で使ったことない」なんて言ってる人は数学が役に立たないような人生、三角関数を使わなくてもいい人生に逃げただけなんだなって思う。
これは別に数学じゃなくても言えること。
私は古典がすこぶる苦手だった。最低偏差値は28だった。
実際古典なんか知らなくても生きていれるけど、それは古典を知らなくて、使わなくても良い人生を歩んでるだけなのだ。
だから数学は役に立たない!と思って数学を勉強しなくてもいいと思うし、理科だって社会だって英語も国語も役に立たないと思って勉強したくないならしなくてもいいと思う。
ただ、それと同時にしなかったときのリスクをちゃんと考えて取捨選択すべきだとも思う。
ある勉強をしないという選択肢は、自分の人生からそれらが関係するものを捨てるという選択肢なのだから。