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新選組と言霊

ドイツ時代、日本のTV番組のビデオやDVDを「回し見」することが多々ありました。

「回し見」ですので、好みは度外視。
とにかく日本語に触れたいと思っていた当時の私は、日本語の作品というだけでも満足し、日本にいたら絶対に見ないであろう作品も鑑賞することで視野が広がったものでした。

中でも特に印象に残っているのは、2004年のNHK大河ドラマ「新選組!」です。

この「新撰組!」では、元SMAPの香取慎吾さんが近藤勇を、山本耕史さんか土方歳三を、そしていまではすっかり政治家となった山本太郎さんが原田左之助を演じていました。

それまで私は新撰組はもとより、時代劇にはまったくといっていいほど興味がありませんでした。

ところが、この「新選組!」全49話を視聴後、私はすっかり土方歳三の生き様に魅了され、もっと土方歳三や幕末について知りたい!と思うようになり、そこで、司馬遼太郎さんの「燃えよ剣」の存在を知ったものでした。

とはいえ、当時私はドイツ在住です。
日本の本はすぐには手に入れることはできません。

私は当時私が住む田舎町から電車で1時間ほど離れた町にある日本の書店に電話を入れ、「燃えよ剣」の在庫確認をしたところ、幸運にも扱っていることがわかりました。

その書店には、日本の文庫本や単行本はもとより、参考書やファッション誌、芸能誌など幅広く取り揃えられ、書店に一歩入ると、多数の日本文化に触れることができました。

そんな有難き書店の唯一の難点は価格です。
それらは日本の定価の約3倍!

よって、いつもはただただ背表紙を眺めるだけで帰宅していた私でしたが、そのときばかりは「なんとしても読みたい!」と美味しい日本食が2回は食べられるほどのユーロ紙幣を支払い、その日のうちに完読!

そしてモンスター化し始めた私の土方熱は、さらなる情報を求めるべく、アジアンショップで展開される中古本コーナーへと向かいました。

するとそこで私は2つ目の運命の本と出会ったのです。
それは、早乙女貢さんの「会津士魂」いう本でした。

尊王攘夷の嵐が吹き荒れる中、会津藩主松平容保が京都守護職を拝命し、京都の秩序回復と禁裏の守護にあたるべく藩士を率いて上洛し、天皇には忠を、幕府には孝を尽くしたにもかかわらず、会津藩は朝敵の汚名を被ることになってしまったことへの不条理・・・

福島をルーツに持つ私は、京都の地に散った会津藩士の無念に心を寄せ、日本に帰国の際にはぜひとも京都で手を合わせたいと思ったものでした。

それからほどなくして、我が家は私の実家のある福島に本帰国することになりました。

日本への本帰国は7年ぶり。
バタバタと月日は流れ、京都への思いも忘れかけていた2011年、あの大震災が発生したのです。

我が家は震災に伴う原発事故により西への避難を強いられ、辿り着いたのはなんと京都でした。

避難当初は、生活を立て直すのに精一杯でしたので、土方歳三や会津藩士のことが頭によぎる余裕すらありませんでしたが、未曾有の大震災と原発事故をきっかけに、政治に関心を持つようになり、そこで再び、幕末の彼らを思い起こすようになったのです。

あれほど出向きたかった場所に、避難移住という形で居住することになるとはだれが予想できるでしょうか。

さらに驚いたことには、避難先から目と鼻の先に、会津藩の駐屯地であった「伏見御堂」があったのです。

そこで思い出されるのは「言霊」です。
発せられた言葉は、その言葉どおりの状態を実現する力があると言われています。

私は、「京都に行きたい。京都の地で亡くなった会津藩士の魂に手を合わせたい」と願っていました。

まさかそれが未曾有の大震災により成就するとは皮肉なものですが・・・
こうした経験から、私はネガティブな思いは極力持たないようになりました。

思いは言葉となり、その言葉は波動となります。

歌や音楽で感動するのも言葉や音が持つ波動に共鳴するからですよね。
であるならば、ネガティブな思いや言葉ではなく、美しい思いや言葉、ポジティブな思いや言葉を発することで、そうした未来に繋がっていくと感じます。

そんな私は週末に映画「燃えよ剣」を鑑賞しました。
16年ぶりに目にする土方さんと幕末の出来事はとても感慨深いものがありました。(欲を言えば、香取さんの近藤勇、山本耕史さんの土方歳三、山本太郎さんの原田左之助を観たかったですが・・・)

新しい時代の幕開けには常に動乱がつきものです。
それはまさに今、その渦中にあると感じます。

だからこそ、美しい思いや言葉、ポジティブな思いや言葉を口にし、次の良き時代を創造していきたいと心から願う昨今。

31日は選挙ですね。
願わくば、美しい言葉でポジティブな考えと行動力を持った人が多数選出されますように・・・💛


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