サスティナブルな素材・葦(ヨシ)
「人間は、自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。 しかしそれは考える葦である」
これは有名なパスカルの言葉ですね。
そんな葦は日本書紀にも登場することから私たちとは長い関わりを持つ植物です。
とはいえ、そんな葦についてよく知ってる人は少ないのではないでしょうか?
かくいう私も葦について多くの情報を持っていませんでした。
すでに9月も終わりに近づき、暑さ対策も必要なくなりつつある中、葦を材料とする「すだれ」や「よしず」の話題は旬でないかもしれません。
一方で、今、とても旬なのがSDGsやサスティナブルな話題ではないでしょうか。
実はこの葦がサスティナブルな素材であるということはあまり知られていないのではないでしょうか?
ここで質問です。
この葦はどこに生息しているかわかりますか?
答えは、「湖沼や河川の水辺」です。
関西であれば琵琶湖のほとりに群生する葦が有名ですね。
葦の群落には水をきれいにする効果があります。
群落により水の流れを弱め、水の汚れを沈め、葦の水中の茎につく微生物や、群落の土中の微生物が水の汚れを分解します。
また、かつての日本では、葦を刈り取り、水田に敷きし、葦から出る黒い汁で雑草の発生を抑止するのに利用しました。
さらには、敷き草にした葦は分解され、稲の肥料にもなりました。
そして、この葦を使った「すだれ」や「よしず」は、遮熱、遮光効果が高く、風をよく通すのが長所です。
窓を開けて過ごす場合、「すだれ」や「よしず」に水を掛けると、気化熱の作用で室内に涼風が吹き込みます。
大量消費社会の発展により、使い捨てがもてはやされ、結果、大気汚染、資源の枯渇など、環境問題に直面してしまいました。
それゆえ、原点に立ち返り、持続可能な足元の素材に目を向けることは大事ですね。
私たちは「考える葦」であるならば、葦からサスティナブルを考えるというのも面白いかもしれません。