第六十六回短歌研究新人賞 最終選考通過作 銀河の渦
ウクライナカフェの人たちの瑠璃色の瞳を覗けばそこは湖畔
「緊張で眠れなかった」日本人にはじめて作る祖国の味を
キーウからきたおばあさんにХарашоу(ハラショー)と言いかけやめる それはロシア語
スロバキア語でDobre(ドブレ)と言って民族と
祖語が辿った道をみつめる
マスクの下の口を閉ざして目で話すほほえみは世界共通だろう
「私の名はミミ」を聴いてる間にも名もなき民は悲鳴をあげる
ブチャの壊れた街をテレビは発光し流す CMに切り替わりゆく
ともだちの国が今日会った人たちを殺めるなんて銀河の渦だ