隙あらばカナディアンカヌーの秋
11月に入り、登山ツアー・パドルツアーがバランスよく開催されています。7月から9月のトップシーズンは、ぐるぐる回すパドルスポーツ体験モノのガイドばかりなので、春や秋の今のように落ち着いて多様なアウトドアの仕事を受けられるシーズンは、幸せなのです。
ここ最近、パドルガイドのお仕事(私の場合はSUP)のあと、カナディアンカヌーを引っ張り出して漕いだり、浮かんだりしています。ミーティングの依頼も「カヌー一緒にいかがです?」と私の欲求に付き合ってもらって水のうえで会話。長靴で入ればまったく濡れないのがカヌーの心強いところだし、そんな遊びは気軽に誘える…のも魅力です。そこで、今回は改めて、カヌー(カナディアンカヌー)について深めてみます。
ボートとカヌーとカヤックと?
私の会社では、パドルスポーツはSUPとシットオンタイプのカヤックをつかったガイドツアー・プログラムを提供しています。カヤックのガイドをして多くもらう質問は「カヌーとカヤックって違うんですか?」というもの。そして、私たちのフィールドはレガッタの練習場としても使われ、レガッタのコーチは、レガッタをボートと総称します。
整理してみます。
オールをつかって後ろ向きに進む「ボート」に対し(レガッタもボートですね)、
パドルをつかって前向きに進む艇を総称して「カヌー」と呼びます。
カヌーをパドルの形状を分けて、シングルブレードパドルで漕ぐ艇を「カヌー」、ダブルブレードパドルで漕ぐ艇を「カヤック」と呼びます。
船首のことを「バウ」、船尾を「スターン」といいます。そのため、2人乗り「タンデム」のときは、前の人を「バウマン」、後ろの人を「スターンマン」といいます。
ボトムは特徴により、「Vシェイプ」(キールによって水面を切り裂くように進むので直進性がよい。操作性・安定性のバランスがとれた艇で湖などフラットで広いフィールドに適している。私の会社もこの艇をもっています)と「アーチシェイプ」(船底中央部がなだらかなアーチ状のため回転性に優れ川下りに向いています)と呼ばれます。素材には、ウッド製、FRP製、ポリエチレン製・アルミ製が現在は主流で、軽さと丈夫さを備えもつロイヤレックス製のカヌーは現在製造中止となり、中古市場(新品と同じくらいの価格です)でしか買えない希少品です。
カヌーをプログラムとしてつくっていこうとするときに、大きなハードルは「売っていない」ということ。業者さんと会話すると、今は日本中のカヌー艇数は増えずに中古品をグルグルまわしている、なんてことも言っていました。
優雅なソロパドリング
パドリングをテキストで表現するのはたいへん難しく、今回は私の記憶整理のため漕ぎの名称はメモとして。
■静水での直進:J-ストローク/ラダーストローク/カナディアンストローク/インディアンストローク
■カヌーの向きを変える:横から引く漕ぎをドロー/テコのような動きをプライ/スウィープストロープ
■平行移動する:ドローサイドスリップ/プライサイドスリップ/スカーリング
SUPのテール(後ろ)にはフィンがあるため、同じシングルパドルでもSUPとカヌーでは動きが若干違います。SUPでドローをするとフィンを起点に動いてしまうため、どうしてもノーズ(前)が先行して動きます。カヌーのサイドスリップで興味深かったのは、ドローだけでで横動きができる、ということ。また、ボトムの形状にもよるかもしれませんが、あんな大きな艇を大きく傾けながら、パドル1本で動かすってすごいですよね。そして、カヌーが上手な人は、とても優雅に艇を動かすんです。私もこの秋冬は、カヌーで優雅にあそべるようになるため、隙あらばカヌーであそんでます! あぁ、山トレーニングもしたい…このオフも忙しくなりそうです。。
【紹介】
フリースタイルカヌーという漕ぎ方があるそうです。釘付けになったMarc Omsteinの動画。「優雅」の一言です。
https://www.youtube.com/watch?v=Ofq_nl366VM