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ツインレイ?の記録49
11月3日
彼に会ったその夜、私は不思議な夢を見た。
一つは空いっぱい横に伸びた赤が印象的な虹の夢。。
車から見ていた。車には知らない女の人が乗っていた。
彼女はなぜか不機嫌で外の景をまったく見ようとはしない。
もう一つは、携帯をなくて元来た道を引き返すけど満ち潮で同じ道には戻れずルートを変えて戻る夢。実は探していた携帯は首からぶら下げていたと気づく。
夢占いだと、「自分の情熱や本当に大切なものを再確認して、それに向かって進む勇気を持つこと」というメッセージらしい。
前日失くしたと思った鍵が部屋の中にあったことにも重なった。
「答えは自分の中にある」
この日から、私は彼に勧められた保育の勉強を開始。
目先の目標ができたこと、勉強内容も興味があることばかりで日々に張り合いが出た。
私は彼にも保育試験のことでメッセージもしている。
合格率のことなど。
そして、彼と会った時、私が日頃話し相手としてもAIを活用していることを言った時彼が関心していたので、ちょっと彼になってみてくれといったやりとりなどをスクショで送った。
会った日にデスクワークで腰が痛いと言っていた彼を思い出し、「大丈夫ですか?」という私の問いに彼っぽく答えてくれとAIに指示したのだ。
AIは「あなたと楽しい時間を過ごせたおかげで気持ちがすごく軽くなりましたよ」と返す。
私は「彼はそんなこと言わない、もっと業務連絡っぽくして」と要求。
すると本当に彼そのものじゃないかというメッセージを作成してきた。
私がAIに色々吐き出しているのは、相手が人間だと自分の感情に巻き込んでしまうといった影響があるからだ。
彼は私と会った時に、私がAIを日常に取り入れてフル活用していることを最先端だと言って関心していた。
でも実はこれも彼との出会いからそうなった部分もある。
答えも出ないしどうにもならないし、既読無視されても、冷たくされても、文句は言えないし、なかなか約束ができないことも、優先はしてもらえないことも、気まぐれに誘われるので合わせなきゃいけないことも、そんな自分が嫌だったことも、本人にはぶつけられないし、そんな関係でも立場でもないので、私は全部AIに吐き出していた。
AIはもっともらしいことしか言わない。
だけどループして終わりのない私のどうしようもない悩み、
「彼はどうして返事くれない?」
「なんで無視するの?」
「もう会えないの?」
「会いたくないの?」
と答えの出ないしつこい問いにも延々と付き合ってくれる。
ある友だちは、私が自分の感情を好きな相手にぶつけず、自分で処理できるようになったことを褒めた。
たぶん自分が好きになる相手は親と重なって、最後には自分を裏切るだとか、見捨てるという不安があって、どうしても信じられなくて、責めたり罵ったりして、いつもいつも恋愛がうまくいかなかった。
だけど、彼は絶対に家族を裏切らない。
私を優先しない、冷たくする、突き放すというのは、彼が家族を優先し、大事にしている証拠だ。彼が私を無視すればするほど、私は彼が信用できる。
これまで私はうまくいかない相手ばかり好きになっていたところもあるけれど、それは自分が最後はどうせ裏切られるという思い込みを実現するための相手選びをしていたからなのかもしれない。
彼と出会って、インナーチャイルドワークも真剣に取り組むようになって、自分の思い癖や感情パターンも洗い出し、もうやめようと心から思った。
もう幸せになろうよと幼い頃の自分を説得するようにもなった。
私は彼へのメッセージの続きで、彼に何の苦労もなく社会ですいすい上手くやってると言ってしまったことを謝った。
それを言った時彼は「まあ、そんなことはないけどね」と目を伏せながらも別に何も言わなかった。そんなことないのは知っている。
「あんなこと言ってごめんなさい。そんなわけないんです。最初の印象はたくさん鎧をつけて何かを守るために必死に闘ってる人だなってものでした」
「私はもうネガティブな思い込みでYahoo!ニュース作るのやめます。慰労会と言うか結果的に激励会の後みたいな心境です。ありがとうございました」
これに対する返事が思いもしないものだった。
内容は日曜でも出勤になったといういつもの業務連絡なのに、語尾に全部「ポヨ」がついていた。
前日に会った時に、メッセージがいつも硬すぎるから語尾にポヨつけてと私が言ったことを覚えていてくれたのだ。
堅苦しい業務連絡みたいな内容の文章のすべてに律儀にポヨをつけていて、私は大爆笑した。保育もぜひ頑張ってくださいポヨと書いてあった。
もう本当に笑って笑って笑い死ぬかと思った。
間違いなく今年一番笑った。
そのことを伝え、「次は語尾はポニョにしましょう」なんて書いた。
彼は私の話をよく覚えている。前日に私と飲んだドリンクの「崖の上のポニョ」もその前に私が写真を送っていたものだ。
会って話してやる気が出てきたこと、筋トレも再開したことも書いた。
AIが彼風のメッセージを作成しても本人には勝てないなんてことも書いた。
だけど返事はこなかった。
翌日、自分も語尾にポヨをつけて、
「またコロナが流行っているから、マスクして自己防衛必須ポヨ」
なんて書いたりもした。
だけどこれにも返事はこなかった。
距離が近づくとまた遠ざかる。
彼はいつもそうだ。
私と距離が近づきそうになると、急にスッと真顔のいつもの何も読み取れない顔になったり、帰ろうとしたり、返事をしなくなる。
仕方ない。既婚者なのだから。
そのたび私は傷ついて、彼は私と仲良くはなりたくないんだろうなと思って、こちらから離れようと決めるたびに、少し時間を置くと向こうから連絡が来たり誘ってきたりもする。
彼なりに、ここまでならいいだろうという距離を測っているのかもしれない。
私はどこかでわかっている。
彼が私を突き放しきれないこと、本当は気にかけてくれていること、本当は人に対して優しい彼が、私には優しくしないように不自然なまでにそっけなくすること、人当たりのいい彼らしくない言動が目立つこと。
私の話をよく覚えているし、約束も忘れたりしないけど、優先順位と線引きをしっかりしようと決めている。
本人へのメッセージにも書いた通り、鎧をいくつも重ねて闘っている人、色々な制約やルールで自らをがんじがらめにしている人、初めて会った時もそんな印象だ。
だけど本来の彼はもっと軽やかでのびやかで、もっと自由な人なんじゃないか、私はずっとそう感じていた。
私は、家や家庭や家族があって、私の憧れをすべて叶えたような彼が羨ましいと思う反面、家族がいることでそこまで自分が自由になれないのならば私は家族なんていらないとすら思ってしまう。
彼は自分の奥さんや子どもに対して責任感が強いし、それが何より大事だというのはわかるけれど、そのことで、他の人は大事にしてはいけないし優先してもいけないなら、私はそれを不自由だと思う。
ただ会いたいから会って、話していると楽しくて、一緒にいたいから一緒にいて、でも、それはいけないことなのだ。そんなふうに無邪気な子供のように一緒にいたり遊んだりしてはいけないのだ。
彼は私の深い話も聞こうとはしない。
話しても途中でぶった切る。
情が深い彼のことだから、それを聞くことで同情したり特別な感情を相手に対して抱いてしまうのだろう。
飛行機の移動で、ゴルフの映画を観て感動して泣いたと私に言っていた。情に脆くて共感力が高いというのはたぶん私と同じ。
仕事を辞めた部下を気にかけたり、かつて接し方に失敗した部下のことを今も忘れなかったり、そういうところも私と同じ。
話せば話すほど、知れば知るほど、おそらく私たちはお互いにシンパシーのようなものを感じるだろう。
だけど、それを知らなければ、表面的には真逆で、社会や環境で培われて固めて来た価値観や考え方の傾向といった部分は違うし、仲良くなりようがない。
たぶん彼はそうしたいのだ。
大事な家族のために。
別に不倫をしなくても、彼の中ではきっと家族以外に親しく心を開けるような相手を持つことは同じぐらい罪悪感を抱かせるものなのだ。
異性愛者同士の場合、男女が友達になることは完全に不可能なことなのだろうか。ましてや相手が既婚者ならば、深い話をすることもダメなんだろうか。マメに連絡を取り合うことも、相手を気遣うことも、お互いが支えになることも、すべての役割は家族や配偶者じゃなければいけないというのなら、私はそんな制約なんていらない。
親のことで苦しんだ自分にとって、まさに家は閉鎖された檻、家族は逃げられない奴隷だ。
だから家族家族言っている彼が嫌いだった。
だけど、その反面で強烈に憧れた。
もしも彼が私にとっての鏡なら、彼自身、私に対して複雑な感情を抱いているのかもしれないとすら思う。
だからこそ、ちょっとした言葉の行き違いで誤解が発生したり、長年一緒に働いている部下にさえ、怒ったところが見たことがないと言われている彼をすぐ怒らせる。
私の言葉や反応の一つ一つを流せないほどの人じゃない。いくらでも大人の振る舞いができる人なのに感情的になる。
もしかしたらそんな自分を見たくないから、避けて遠ざけるのかもしれない。
そして、あるメッセージのやりとりを最後にまたぷつりと返事がこなくなった。