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ツインレイ?の記録11
2月25日
私は今いる国とは違う異国の大学で働くための面接の時、面接官に健康に問題がないかと聞かれていた。
この時気になったのが、私の足の怪我だ。
それは彼と出会う一か月前のこと。
授業中のゲームで私は左足の人体を損傷する。
余談だが、私は左側ばかり怪我や問題が多い。
以前気功の達人に左の気の流れが悪いと言われたこともある。
ちなみに左は女性性を表すとも言われている。
怪我をして約二か月だったが、私は自分の左足の膝がのびないことに気が付いた。
作業療法士に仕事をしている友人からは靭帯が固まっている恐れがあると告げられる。
さらに私のマッサージの師匠に相談すると、治すのは簡単だけど一人ではできないだろうと言われる。ビデオでやり方教授するから、日本語がわかる日本人の友だちに頼めと言われた。
この異国の小さな田舎では、知っている日本人は彼しかいない。
彼は自分でも毎日ストレッチをしているというし、適任に思えた。
何より、私は彼にマッサージをした時、まるで自分の体の一部のように感じて、相性がいいと思ったのだ。
マッサージにも相性がある。
彼なら私へのマッサージに効果を出せるという確信があった。
そこで私は彼に連絡。
事情を説明し、休日であるその日に何時でもいいから来てもらえないかと頼んだ。助けてほしいと。
午前中のうちに彼から返事が来た。
助けてあげたいが助けられないという返事。
彼も咳の症状がひどくなっているということだった。
外に出て人に会える体調ではないからと丁寧に断られた。
そして会社でも同じ症状の人が多いこと、なので症状が長引いているのだろういう見解が書かれている。
そして私の症状について、靭帯を損傷しているようならばすぐに病院に行くべきだと伝えている。くれぐれも安静にするようにと。ストレッチを無理にしないように、余計に痛める可能性があると、ここで彼ははっきりと書いている。
「お互い回復に努めて早く元気な体調になりましょう」と。
本当に、私と彼は出会う直前からお互い怪我や病気が多い。
彼は慢性的な問題で一時帰国し手術した直後に私と知り合った。
私は何年かぶりかの風邪と発熱で寝込んで彼に助けられた。
それから私は風邪は回復させたが、彼は仕事が忙しくなり、体調不良が長引いて、なぜか彼の家族までコロナやインフルエンザなど体調不良が重なった。
ただでさえ心配性で慎重な彼だ。
私と土日無理して会って以来体調悪化したこともあり、もう無理はしないと心に決めているのだろう。
この人は、自分で決めたことを何としても守ろうという強い意志のようなものがある。融通が利かないし頑固ともいえるが、何より、自分で自分を許さないという強い怒りすら感じる。
私はこの時も彼に私が飲んで治った薬を勧めているが、彼は日本の薬以外は飲まないと決めているようだ。
そしてマッサージは治ってからでもいいからお願いしたいとしつこい。
この時の私は彼の体調不良もすぐに治ると思っている。
しかしまた自分の書きたいことを無駄話も甚だしいほど書いた後に、私はふと気づく。
咳がそこまでひどい状況で、彼は私の面接の準備を手伝ってくれていたのだ。それなのに私は自分のことばかりだったと反省した。煩わせることばかりして申し訳ないと。
「自分のやることなすことすべてが迷惑かけるばかりで、本当にすみませんでした」
また始まった。
逆走だ。
私は白と黒しかない。
近づきすぎるか、離れるか。
ほどよい距離感が難しい。
心を開いて、さらけ出して、もっと親密になりたくても、相手の迷惑を感じたら、すぐに閉じて逃げ出すパターン。
母親のことが関係しているのだろうか。
ある日突然忽然と母は消えた。
その前からも私にとって、母はどこか遠くに行ってしまうと思えるような存在で、寝る前に母の手を握り、「ずっとつないでいてね」と言った自分の言葉を覚えている。
でも朝起きると母はいなくて、いつも探していた気がする。
早くしないと、また母はいなくなる、私の手を放してしまう、待ってくれない、時間がない、私を受け入れてもらわねば、もういなくなる、逃げてしまう。
そんな焦りからなのだろうか。
私はゆっくり時間をかけて、関係を築くということが苦手だ。
友だちは長年の付き合いも多いが、それは意識的に長い時間をかけて友情を育てようとしたからではない。
結果論として、付き合いが長くなったいうだけだ。
それに友だちはまたちがう。
私は恋人や好きな人となると、自分を早く受け入れてもらいたいと焦る反面、拒絶するなら早くしてほしいとも思ってしまう。
期待して裏切られるのはもう嫌だ。
それでも愛を求めていて、誰かを愛したいし、愛されたい。
でも、愛して愛されないのが怖い。
愛さないなら最初から早くそう言ってほしい。
これは、母親に対して抱いた私の感情だろうか。
私にとって母親はこの世で一番信用できない存在だ。
何を考えているかわからないし、私を見ようとはしない。
それでも幼い子どもにとって、母親は自分の世界の中心を占める。
信用できない存在を私は必死に求めていた。
心を開いて気持ちを向けて、これが自分だと開示して、それでもだめなら早く切り捨ててほしい。
愛されることを期待して期待して裏切られるのは耐えられない。
これは私の恋愛パターンにもあって、今すぐ付き合えないのなら、もういいとなるところがあり、自分と同じ勢いと熱量でない限り、どうでもよくなってしまうのだ。
傷つくのをひどく恐れている、愛されなかった小さな子供が私の中に存在する。
しかし、彼はいつも、私が逆走しようとすると、やんわり引き止めるところがある。
この時もすぐ返事がきた。
日本にいる時から喉が弱かったので咳が治りにくい体質だということ、この地の気候は乾燥していて喉が治りにくいということ、生活環境が合わないということ、細かく丁寧に書いてある。
内容がどうということではなく、既読無視により発動する私の逆走パターンへの対応といったところだ。
この夜はもう遅かったので、私は返事をしていない。
2月26日
私も喉が弱いので、やはり同じ体質かと思い、私が効果があった薬を勧めた。日本の薬しか受け入れないと思ったので、日本の薬を紹介した。
「今週末から気温も上がってきます。早く良くなりますように」
返事はこなかった。
彼はきっと日本の薬じゃないから飲まないというのではなく、基本的に自分が納得して決めたことしかしたくない人なのだろう。
人の意見はあくまで人の意見であり、基本は自分で調べて自分で方法を探して自分が最適と思うことをやりたいという人だと思う。
よく言えば意志が強く、悪く言えば柔軟性がない。
私といえば、よく言えば柔軟性があり、悪く言えば浅慮でもある。
この時も、彼の言っていた「安静にして回復に努める」と「ストレッチをやりすぎてはいけない」を守らなかった。
それから私はいつもの焦りで早く足を治したくて、ストレッチをやりすぎて、ますます悪化させてしまう。
そしてこの日からまたしばらく彼の連絡が途絶えた。