【読書note_001】サードドア アレックス・バナヤン
本書は、成功への最短ルートである「サードドア」の開け方について記した本です。
著者が名の知れた数々の成功者達にインタビューを行い、彼らから成功のための秘訣を教わる過程そのものが、著者にとっての「サードドア」につながる道程になっています。
「サードドア」とは?
では、「サードドア」とは何なのでしょうか。本書の導入部に、その説明があります。
ファーストドアが、正面入り口。
99%の人がそこに並ぶ、正攻法。
セカンドドアは、VIP専用入り口。
億万長者やセレブなど、出生に恵まれた人だけに許された生き方。
そして、誰も教えてくれないというサードドア。
『行列から飛び出し、裏道を駆け抜け、何百回もノックして窓を乗り越え、キッチンをこっそり通り抜けたその先にある』成功への扉。
「サードドア」の正体を読み解くうえで参考になったのは、Amazonが9億ドルで買収した世界的企業、ザッポスCEOであるトニー・シェイ氏とのやり取り(P190)です。
著者は、パーティーで一緒になったトニーに対し、1日付き人体験をさせてほしいと唐突に願い出ます。
その付き人体験の最中に、多くの社員から羨望の眼差しを向けられました。
そこで、トニーに聞きます。
「なぜ他の社員に付き人をやらせてあげないのですか?」
すると、トニーは答えます。
「喜んでやらせたいけど、誰も頼んでこないんだ」
私は、「サードドア」とは、やりたいことを一直線に、その実現可能性を無視してトライすることだと捉えました。
さらに言えば、何度失敗しても、諦めないでトライし続けることも重要です。
本書において著者も、何回も、何十回も失敗し続けています。それでも、諦めずに何度も何度もトライし続ける姿勢が、成功を手繰り寄せるのです。
なぜ、「サードドア」を見つけることが困難なのか?
では、最短ルートである「サードドア」に手をかけることさえできない人が多いのはなぜなのでしょうか。換言すれば、最短の成功ルートを歩むにあたって、障害になるものは何なのでしょうか。
1つ目は、前例です。
社会規範や常識、ルールといったものと置き換えてもよいかもしれません。
本書の4章で、大学のイベントでスティーブン・スピルバーグへのインタビューが実現しそうになった瞬間に、大学の映画学部長から妨害されるという話があります。
学部長は言います。
『ここでは、こんなことは許されないわ。ルールというものがあるのよ』
この場面では、学部長という他者を介して理由のよく分からないルールを提示され、実現しかけたインタビューを妨害されてしまいます。
ただ、これは自分自身の内面でもよく起こることです。過去にやったことがない、周りでやっている人がいないという理由で、チャレンジしてみることさえできないことは多いのではないでしょうか。
2つ目は、周囲の家族や友人です。
本書の第10章で、1人目のメンターであるエリオット・ビズノー氏からロンドンに行こうと誘われた際に、母親から猛反対されるというエピソードがあります。
母親の常識においては、会ったばかりの他人との無計画な海外渡航はあり得ないことであり、著者が決めたことだと言っても、取り合いません。
家族や友人からのアドバイスや忠告がやっかいなのは、本人達は相手のことを思って言っているという点です。真摯に心配してくれていればいるほど、その阻害力は強くなります。
3つ目は、不安という感情です。
本書の20章と21章では、ウォーレン・バフェットへのインタビューアポイントをトライし続けた結果、断られ続け、あげくにアポなしで居住するオマハを訪れた結果、「僕には何もない」とまで絶望するエピソードが語られています。
最終的に、あらゆることを決めて行動する主体は自分です。そういった意味で、この3つ目の障害が一番大きいと言えるでしょう。自分の気持ちさえ折れなければ、前例がなかろうが、周りに反対されようが関係ないからです。
「サードドア」のこじ開け方
サードドアを開けるためにすべきことは、ただ決めて、ただ行動し続けることです。
悩みながら、苦しみながらも著者はそれをしてきました。
そして、サードドアの見つけ方や開け方をインタビューしているうちに、自身がサードドアをこじ開けたのです。
最終章に出てくるハリーポッターシリーズの言葉がとても心に響きました。
『君が何者であるかは、君の持っている能力ではなく、君の選択によって決まる』(P434)
私達の人生は、他でもない私達自身のものなのだと、改めて感じさせてもらいました。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!
Happy Reading!