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ヴェナル軍曹
2024年11月15日 17:02
平成の半ば頃の話だという。提供者であるAさん。彼が休日の早朝に、目覚ましがてら、自宅の近隣を散歩していると。ふと。頭上から何かが降ってきて。目の前の道路に転がった。小石よりも小さい何か。しかし、何故か妙に目についた。拾い上げてみると。薄茶色に汚れた、妙な形の白いかけらだった。(何だろう、見覚えがあるような……)しばらく観察してから、その正体に気づいて。「……ウワ
2024年10月15日 18:05
会社員のAさんの話である。「……『ワッ!』っておどかすやつが苦手、って言うとさあ。『わかります。ホラー動画とかのそういう演出、嫌ですよね〜』なんて返されるんだよ。まあ、合ってるんだけど……、ちょっと違うんだよねえ。う〜ん、言い方が下手だから仕方ないのかなあ。自分がおどかされるのは全然いいの。他人がおどかされるところを見るのが、無理なんだよ。いやまあ、無理になっちゃったっていうか。そ
2024年9月15日 17:14
提供者であるAさん(女性)が高校生だった頃の体験。当時、同じクラスにBさんという女生徒がいた。絵に描いたような成績優秀な生徒で、それでいて快活な性格で誰とも仲の良い、非の打ち所がないような女の子だった。そのBさんの様子が、ある日を境に、急におかしくなった。顔色が悪く、明らかに疲労が溜まっているように見える。目元にはクマが浮かび、本人曰く食欲が落ちているわけではないとのことだが、以前と
2024年8月14日 18:33
元は葬儀屋だというような物件は、よくない。そういうお話。どこの地方か。なぜ業種が変わったのか。それらについては一切の情報が伏せられているが。元は葬儀屋だった、という老人介護施設があった。そこで夜間警備員のバイトをすることになった男性、Nさんの体験談である。交通費は全額支給。時給も、同じ地域の同じ業種と比較すると数百円は高い。その他諸々の待遇も、かなり良い。そんなバイトだったそ
2024年7月21日 15:28
以前、とある集まりで怖い話が話題となったことがある。突発的だったこともあってタネはすぐに尽き、いわゆるブラック企業の怖い話が主役となってしまった。僕(怪談手帖の収集者、余寒さん)は聞き役に徹していたのだが、座の終わり頃になってお鉢が回ってきた。結局、自分の知るその系統での怖い話。『つ』というひらがな一文字にまつわる怖い話を語ってみたものの、そこは語り慣れない素人の悲しさ。怖がってもらうどころ
2024年7月15日 17:09
『恐ろしい出来事』というものは。曰く因縁の有無に関係なく、突然やってきて、去っていく。そういうものらしい。当時、某地方の大学院生だった男性、Kさんの体験談。条件次第、ではあるが。大学生の夏休みは長くて暇なものだ。院生も、場合によっては、そうなることもある。当時のKさんは、正にそういう学生だった。一年目にしっかり授業もレポートもこなしていたので、後は論文執筆のため、ちゃんとゼミに顔を出
2024年6月14日 19:25
提供者である、鈴木さん(仮名、女性)彼女が、某大学の院生だった頃の話。大学院生ともなると、論文執筆の際に参照する書籍の量が膨大になる。それらを持って大学と自宅を行き来するのも、かなりの重労働である。それ故、ほとんどの大学でそうであるように、鈴木さんは学部から割り振られた自分の部屋、研究室に、書籍や資料を置いていた。鈴木さんの通う大学は、学部生と院生で使用する建物が分かれていた。院生
2024年5月14日 20:45
提供者であるAさん(男性)が、とある大学の院生だった頃の話。Aさんの通っていた学部は理系である。どんな学部でもそうだが、卒業論文を書くために、実験、解析、調査、そこから得られた精密なデータ。それらが必要不可欠となる。卒論審査というのはそもそも厳しいものだが、こうした学部でのそれは、さらに輪をかけて厳しい。卒論審査が通らず、留年する学生も少なくない。Aさんの年下の友人であるBも、そんな学
2024年4月14日 18:02
とあるサバゲーグループの話。あちこちの山野や廃墟でサバゲーを楽しんでいたグループだったそうだ。その時も、彼らは某所の山中にてサバゲーを楽しんでいた。二つのチームに分かれ、フィールドである山谷を駆け回る。その内、一方のチームの形勢が次第に不利になってきた。不利になったチームのリーダーが、メンバーたちに指示を飛ばす。「よし! 一旦分散して、最初の方に見かけた地蔵さんのあたりで集合しよ
2024年3月15日 20:48
某大学のオカルトサークルが取材した当時、サバゲーを趣味としていた社会人、Aさんの話。(※オカルトサークルについては『忌魅恐 序章』を参照)ある時、仲間内で。今度はどこでやろうか。どこかいい場所はないか。と、そんな話をしていたそうだ。サバゲー用の正規のフィールドを使用すればいいのだが、毎回となると料金もバカにならない。それに、彼らの生活圏の近場ではフィールドもそう多くはない。する
2024年2月15日 20:07
Aさんという女性の、小学校の頃の体験。ある年のこと。Aさんのクラスの担任教師が、変な時期に、突然別の人に変わったそうだ。普通、担任が変わる時期といえば、概ね、学年が上がって新学期になった時だ。しかし、その先生は、夏休み前の中途半端なタイミングで、Aさんのクラスへやって来た。もっとも、前任の先生は若い女性だったため、(おめでたか何かで、急に休むことになったのかな?)と、その時の
2024年1月16日 19:14
『自然仏』(じねんぼとけ)……という話をしたのをきっかけに、話者の方から採集できた。『お地蔵さんみたいなもの』についての話。※怪談手帖『自然仏』提供者であるAさんが幼少期を過ごした集落には、鬱蒼と樹々の繁る一帯があり、鎮守の森めいた様相を呈していた。しかし、彼の記憶する限り。緑の奥にあったのは、社ではなく。彼曰く『しし』とか『しし地蔵さん』と呼ばれる。気味の悪い『何か』であ
2024年1月14日 17:29
令和の初め頃。当時、大学生だったAさんの体験。Aさんは、この体験により『二つのこと』が苦手になった。一つ目は『山に入ること』である。旅行、帰省、出張と。誰しも、そのように遠出をすることがある。そうすると、例えば自動車で山道を走ったり、新幹線で地方の山中を通過したり、という機会も少なくないわけである。だが、Aさんはかつての体験から、『自分も、妙なものを見てしまうのでは』と考えるように
2023年12月15日 20:21
Aさんという男性の、幼少期の体験。某大学のオカルトサークルが取材した当時、彼はすでにそれなりの年齢であったという。つまり、現代から見て、少なくとも半世紀以上は前の話。……ということになるだろうか。※オカルトサークルに関しては『忌魅恐 序章』を参照のことAさんの母方の親族に、年齢の近い従兄がいた。(仮に、彼の名を『ケンタくん』とする)Aさんが小学校二年生のある日。そのケンタく