激安パワーサプライを買う際の心得
Amazonはじめ各通販サイトでは様々なエフェクター用パワーサプライが販売されています。
かつてはちょっとした贅沢、もしくは高嶺の花だったパワーサプライも今や2000円くらいから買えるようになった。技術の進歩ってすごい。
しかし嬉しいことばかりではありません。激安パワーサプライはそれ相応の問題をはらんでいることがあるんです。
「アイソレート」かどうか
パワーサプライの仕様書や商品説明で「アイソレート」という言葉を目にしたことがありませんか?
isolateとは「分離」「区分け」という意味の英単語。電気分野においては信号を遮断したり絶縁する機能や行為を指します。
すご~くざっくり説明すると。
回路が複雑になったり複数の機器を同じ電源につないだりすると、各回路のグランド(アース)の値がズレてノイズの原因になることがあります。この状態を「グランドループ」、それによって発生するノイズを「グランドループノイズ」といいます。
(ざっくりしすぎじゃないか?)
(でも殆どの人はアースすら知らなかったりするし…)
(ならええか…)
回路がぐるぐるしてノイズの原因になるのなら、ところどころ区切って(アイソレートして)やればいい。
その機能、機構こそが「アイソレーター」「アイソレート回路」と呼ばれるものであり、これを採用した電源は「アイソレート電源」などと呼ばれます。
エフェクターの場合、消費電力が大きく異なるエフェクターをひとつのパワーサプライに混在させたり、たくさんのデジタルを繋いで許容電力ギリギリを攻めたりするとノイズが発生しやすくなります。
安価なパワーサプライはアイソレート電源ではない物が多いため、デジタルエフェクターをボードに組み込んでいる人は注意する必要があります。
一方、アナログエフェクターだけのボードなら非アイソレート電源でも特にノイジーにはならないことが多いです。
実際、僕の寝室用ボード(TUx1、ODx1、DISTx1、Delayx1)は非アイソレート電源でも余計なノイズが乗ったりしていません。
(↑そのボードで使ってるヤツ。メーカーが非アイソレートと明記してくれている。結構気に入ってます)
安いからといって安易に飛びつかず、自分のボード環境に応じた電源を買うのが大切です。
激安家電に潜む罠
ここで残念なおしらせがあります。
激安日用家電がそうであるのと同じく、パワーサプライも安価なものや海外ブランドの製品は商品説明通りの仕様ではないことがあります。
そんなバナナって?いやいや、あるんですよ。ホントに。
パソコン周辺機器だってさ、商品説明もパッケージにもUSB3.0って書いてあるのに買ってみたらUSB2.0だったなんてパターンは珍しくないんです。そりゃギター用機材だってそういうことあるよねっていう。
それが意図的なものなのか?売り手の誤解によるものなのか?翻訳ミスなのか?ロット差なのか?
原因は不明ですが事実としてそういうものが販売されています。先輩方の「電源はちゃんとしたのを買え」というアドバイスの理由はコレです。
(原因不明ゆえ)流石に商品名は出せませんが、うちにいくつかある「激安アイソレート電源」のうち2つは「非アイソレート」でした。
そんなわけなのでこれからパワーサプライを導入しようと検討している人は
可能な限り大手メーカーのきちんとした製品を選ぶ。
激安パワーサプライを買うなら評判をよく調べる。
仕様通りじゃなかった場合は返品するor別のボードで活用する。
ことを心得ておいて下さい。
定番もそんなに高くない
この不景気時代、激安品にばかり目がいきがちではありますが実は定番品もそんなに高いものではないんです。
VITAL AUDIO POWER CARRIER VA-08 Mk-II
超定番アイソレート電源の最新バージョン。やや値上げされたもののポート数が増えコスパの良さに衰えはナシ。
9Vポート全部500mAというパワフルさが魅力。フロアマルチにだって給電できます。
「最初のいっこ」に最適な価格でありながら「メインのいっこ」に据えられる性能と信頼性です。
Fender Engine Room LVL5 Power Supply
2021年発売のフェンダー製アイソレート電源。
ポート少なめ、デカい、重い、レイアウトしにくいというアーダンのようなヤツですがその分ボディの堅牢さ、ノイズの少なさ、優秀な排熱による安定性はお値段以上のスグレモノ。ボードがスカスカな人はこれをドンと置くと絵が締まります。
CUSTOM AUDIO JAPAN DC/DC Station II
バランスのよいポート構成とスマートなシェイプが魅力のアイソレート電源。うちのギターボーカルがモバイルバッテリーと合わせて使ってます。
もう1台のDC/DC Stationにチェイン給電できたり500mAポートの現在電圧が表示されるなど独自機能も魅力。
Shades Guy