短編小説:親切の押し売り。押し売りは昭和の時代に終わったはず。

コンビニの弁当が美味かろうが不味かろうがどうでもいい。身体にいいとか悪いとか議論するのも不毛だ。言うまでもなくコンビニとはコンビニエンス(=便利)の略であり手軽に弁当や生活必需品が買える深夜にさあ、これからと言う時にコンドームを買っておくのを忘れて急いでコンビニに走り無事に事を済ませたという奴も多いだろう。
今まさにオレは何か腹に入れておかなければ後でガス欠を起こすかも知れない恐怖に駆られるほど忙しい時なのだ。オレはおにぎりを2つ買って食べようとした。
こんな時に限って間が悪い奴というのはいるもので「最近どうですか?」などとアホなメール(今時メールだ)を送ってくる奴がいる。
不思議なもので間の悪いのはいつも同じ奴で、いつもニヤニヤ薄気味悪い笑顔を浮かべている。だいたいこの手のメールを送ってくる奴は100%暇でやることが何もない、何も思いつかない奴だ。
「どうもこうもない。やる事が多すぎてパニックだ。正直このメールを書いてる時間さえ惜しいがオレは律儀だから返事している」というフレーズを思いっきり圧縮し「まあまあだ」と返信したオレは晴れ渡った師走の冬の街に出た。もちろん仕事の打ち合わせのためだ。
「そう言えばこの澄み切った季節が一番好きだな」と空を見上げてホッとしたのも束の間、
「忙しい、とは心を亡くすと書くぐらいですからゆっくりして下さいね」とアホなメールがまた返ってきた。
こいつはオレがこのメールを読んで喜ぶと本当に思ったのだろうか。
思わず過呼吸を発症したオレは今度コイツに会ったら絶対に殺した方がいいと心底思った。
なぜなら殺らなければいつか本当に殺られるからだ。
それとも明日のクリスマス・イブに十字架に貼り付けにしてやろうか。Fuck & メリークリスマス!
オレは過呼吸が収まらないまま車のアクセルを全開にし、制限時速を80キロオーバーで山手警察署前の交差点を信号無視して走り抜けた。
ところであと15%しかないオレのスマホのバッテリーは今日一日持つのだろうか。

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