OUR PRODUCTION with ハイライフ八ヶ岳2021
VEJのミッチェです。
2021年の絶景音楽フェス『ハイライフ八ヶ岳』が終わりました。
それは来年への延期という形で。
厳密には延期って言ってるけど、中止です。
ずっと準備してきて、
去年コロナ禍でみんなで感染対策頑張って、
その時からお客さんもスタッフもみんな2021年こそはもっと楽しめるフェスになるって信じてて、
だけど、今年開催することは出来ませんでした。
ただただ悔しい。
新型コロナウィルスに負けたのは俺でした。
なんでフェスをやるのか、
何が正解なのか、
何もかもがわかりませんでした。
遡ること今年の1月。
WEBと映像の制作会社であるVEJもコロナウィルスの影響で業績が伸びず苦しんでいた。
仕事はたくさんあるし、今までで一番忙しいけれど、なかなか納品ができない。
そんなことが原因だったように思う。
なのでどこまで今年ハイライフに携わることができるか正直分からなかった。
そんな中、ハイライフの準備が進む。
今年のグラフィックは、イラストにしようと決めていた。
まだウィズコロナといえる状況じゃない環境下で、より非現実的な表現にしようと思ったからだ。そして、絶景フェスと名を打ってるだけあって、八ヶ岳だけではなく甲斐駒ヶ岳、富士山の360度が絶景であるのもハイライフの魅力だからこそ、全天球のグラフィックにしたかったのだ。そうしてVEJのデザイナーキムラダイゴが仕上げたグラフィックがこちら。
ウェブ上では、グラフィックを回転させ背景が昼から夜に変わる。
そうすることで1泊2日、24時間楽しめるフェスを表現している。
そして、アーティストのブッキングが並行して進められる中、春に感染者数が徐々に増え、東京では緊急事態宣言が発令され第4波がやってきた。
昨年もそうだったが、感染状況や世論に合わせて、PRを進めなければならない。自粛ムードの中で「イベントをやります!」とはなかなか言えないからだ。
なかなか発表が出来ない。
やっと出演アーティストとチケット販売ができたのは、世の中がオリンピックやるんだ。。って雰囲気になった7月である。
そこから8月にかけて急ピッチで準備が進められる。
ブッキングも並行しながら、ローカルチケットの販売、出店募集、会場設計やマップ、サインの制作、回遊バスやステージ制作など、アースガーデンを中心に地元のメンバー、実行委員が奮闘するのである。
VEJも通常業務をこなしながら、ウェブの運用に加え、チラシやポスター、マップ、サインなどのデザイン制作を進めていた。
来たる8月下旬。
山梨では病床使用率の圧迫に加えて、まん延防止等重点措置が適用された。
世の中は完全なる自粛ムード。
プロデューサーである南兵衛さんは中止になるかもしれない要因を洗い出していた。
俺はコロナ禍でフェスをやる意味を探していた。
答えが出せない。
その時、南兵衛さんと話したのは、地元のミーティングで結論を出そうということだった。
結局ミーティング当日までフェスをやる意味を見出せなかった。
「開催はしない」
俺は主催でもないのに、なんとも身勝手な発言をミーティングではしてしまった。
その時、俺が思っていたことはフェスどうこうではなく、コロナウィルスの怖さは、自分が感染するということよりも身近な人を感染させてしまう方がよっぽど辛いということだ。
「開催はしない」それは自分に向けた自分に言い聞かせる言葉だった。
そしてミーティングでは、ライター葛原さんのアイデアで募集されたみんなの声に加え、参加者の意見が交わされた。総じて開催には否定的だった。
そうして来年への延期ということが決定されたのである。
その結論が出てからというもの、まずは大きな安堵感があった。
そして次にとても申し訳ない気持ちになった。
あ〜、ごめんなさい。。。と。
そして、山梨県の病床使用率を見て、あー、中止になってよかた。。と再び安堵。
そして、イベント業を生業にしているスタッフに対して、ごめんなさいと。。
そして、またネットのネガティヴな投稿を見ては、やらなくてよかったと。。
そして、俺の代わりに慣れない制作進行を頑張ってくれたマービーをはじめとするVEJのみんなに申し訳ないと。。
でまた、やらなくてよかったと。。
でまた、ごめんなさいと。。
連日、自分の気持ちは訳がわかりませんでした。
何が正解なんでしょう。。
なんでイベントやるの?
なんでその仕事をやるの?
その仕事は意味があるの?
俺は負のスパイラルに突入するのである。
その後、俺の知る限り最高のカメラマンと共に配信企画とクラウドファンディング企画が急ピッチで進められた。
配信当日、それはとても素晴らしい映像と演奏だった。
配信のアーカイブは10/11まで公開されているので見逃した人も是非チェックしてほしい。
クラウドファンディングもスタートした。
VEJプロデュースで開催時発売予定だった初のオフィシャルグッズも返礼品になっている。
こうしてハイライフ八ヶ岳2021は、来年開催への願いを込めた配信とクラウドファンディングへ形を変えたのである。
我々VEJはクリエイター集団だ。
WEBや映像、そしてイベントをクリエイティブしている。
ハイライフを開催出来なかった。
この悔しさや葛藤は絶対に忘れてはいけない。
それを忘れたらクリエイターとしてやっていくことは出来ないと思う。
かつてこんなに望まれないクリエイティブがあっただろうか。
何ヶ月もかけてみんなで準備してきた。
”開催出来ません”と、
自分で自分の作るものを否定する悔しさ。
冒頭で延期じゃなくて中止だと言ったのは、今年のクリエイティブを来年に使い回すなどあり得ないからだ。
また何ヶ月もかけて新しいクリエイティブを生み出す必要がある。
楽しみにしていたお客さんもたくさん準備していたアーティストもスタッフもみんなそうだ。
最後に、どの地域でも同じだがこの八ヶ岳や清里にも愛がある。
俺自身も安堵したように中止してほしいと願った人は、この場所を大事に大切にしているからだ。
それは身近な人のことを思う愛だ。
決して否定できるものではない。
もしその愛が無くなったら、それは人間が本当にウイルスに負けたということだ。
愛がある!
そんなことを考えていると、本来開催するはずだった日程を過ぎて、今の心境は何か落ち着いている。
俺はそもそもバカだから嫌なことは時間が経つと忘れてしまうようだ。
でもこの悔しさは忘れてはいけない。
だから、この文章を書いたのだけど。
今年は壮大な勉強だと思うことにしよう。
必ずこの経験が未来に活かせると信じて。
来年、ここで会えるように
そう願いつつ、また新しいものをみんなで一緒に作りましょう。