好きな話を書いて書籍化した、話はここからだ
先日、X(twitter)にて「売れる話を書くか好きな話を書くか」という発言が話題になりました。
売れる話とはつまり商業化の可能性が見込める、いわゆる「テンプレ」要素のある作品という意図での発言だったようですが、
・売れる作品があらかじめ分かれば苦労しない
・テンプレ要素を取り入れれば売れると思ってる?
・好きな話を売れるように書くんだよ!
……あたりの指摘で物議を醸していたようです。
私からの経験を踏まえた回答としては最後のコメントに近いです。好きな話も書きようによっては売れるので、「どちらを書けば」と悩むよりまず書き始めるのが良いと思います。売れる=書籍化することよりも「その後」のほうが大変なのですから、その前段階で踏み止まっている暇はないはずです。
以下は、何がどう大変なのか、の話です。
これははっきり言って自慢ですが、私は「好き」を詰め込んだ作品で受賞したり書籍化したりさせてもらっています。上記の反応で言うなら「好きなものを売れるように書く」ことができることを知っている、と言えるでしょうか。
最近流行りの和風シンデレラファンタジーや中華後宮ものがもともとの好みに合ったこと、コンテストで編集さんの目に留まったことについては運に恵まれた部分も大いにありますが、現段階でコミカライズ・書籍各2作品、Webtoon原作1作品、これからリリース予定のものが書籍とコミカライズで書く1作品と、とても恵まれた経験と実績を積ませてもらっています。
すべての作品の作画・書影は世界観を汲み取ってすばらしいものを作っていただいたと思いますし、書籍化に当たっての加筆改稿を踏まえて、どの作品も自信を持って面白いと言えます。Webからの読者様からは祝福と応援のお言葉を、書籍から手に取ってくださった方からも好意的なご感想をいただけました。
それで大満足──かというとそんなこともありません。
どういうことかと言いますと、自信がある作品で、素敵な一冊や作品(コミカライズ)に仕上げていただいたと思うだけに、もっと読まれて欲しいし感想も欲しいし、重版も続刊も、まだの作品はコミカライズでも読みたいし、何なら舞台化も……! と欲望は果てしないです。
儘ならない話をしたところでじゃあどうするのか、となるとやっぱり書くしかないのでしょうね。そういう意味でも大変ですが、書くのは何だかんだ好きなので楽しみでもあります。
刊行済の作品に何らかのきっかけでバズりが発生する可能性もゼロではないですが、奇跡に等しい可能性をただ待っているわけにはいかないのです。過去の自分の作品に光を当てられるのは、未来の自分の作品しかないのではないか、と。
受賞なり拾い上げなりで新作を出す。それを手に持ってもらって、「面白い」と思ってもらって、「他にどんなの書いてるのかな」と思ってもらう──これはこれで非常に高いハードルではありますが、奇跡のバズりよりはまだ分の良い賭けであろうと思うのです。
また、私はレーベルや出版社主催のコンテストでは書籍化に繋がる賞を取ったことがないので、次は名のある賞で受賞する、も目標にしています。大々的に宣伝してもらう・書店で平積みにしてもらうには、やはりそれなりの肩書がないと……というのがこれまでの経験で得た学びです。あと、レーベル作家としての扱いには憧れるのです(強欲)。応募のためには書かなければいけないので、やっぱり考える暇があったら書こう、となりますが。
上を見ればキリがなく、焦りや不安、時には嫉妬も尽きないけれど、自分でできること、自力でコントロール可能なところを頑張るのが前向きかつ精神衛生上も良いのではないかな、という結論でした。
【宣伝コーナー】
「好き!」を詰め込んで世に送り出した作品たちです(予定含む)。多くの人に届くよう、切に祈っています。
あやかし遊郭の居候(富士見L文庫)
煌めく宝珠は後宮に舞う 1、2巻(角川文庫)
「後宮の記録女官は真実を記す」アルファポリス文庫(3月中旬発売予定)
「呪い子と銀狼の円舞曲」(魔法のiらんど恋愛創作大賞受賞、コミカライズ企画進行中)
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