フィトケミカルとは?野菜が持つ特別な力と健康効果|食の大切さと身体への影響 #2
前回は、「食品カテゴリーマップ」を元に、食品の種類とバランスのよい食事について説明しました。
今回は、栄養学で特に注目されている「フィトケミカル」(phytochemical ※ファイトケミカルとも)についてご紹介します。
※本記事は、ベジタブルテック(株) 代表取締役 岩崎の動画のリライトです。栄養学について解説しています。動画はこちら。
前回の振り返り
三大栄養素は、主食・主菜から摂れる
食事の基本は、カテゴリー1「主食」とカテゴリー2「主菜」を食べることです。この組み合わせで、体に必要な三大栄養素を摂取できます。
「副菜」からは、食物繊維・ビタミン・ミネラルも摂れる
更に、カテゴリー3「副菜」を取り入れることで、食物繊維、ビタミン、ミネラルが摂取できます。含まれる副菜を食べること。実は、この食事方法は世界中で広く実践されています。
カテゴリー1・2・3を食べることで、最も身体に必要な栄養を手に入れることができるんです。特にカテゴリー3の「副菜」は、近年非常に注目されています。それは植物に、ビタミン・ミネラルの外に、フィトケミカルという成分が発見されたからです。
フィトケミカルとは?
フィトケミカルは、植物が持つ栄養素で、色素や旨味、風味成分が含まれています。これらの成分は、健康にプラスの効果を与えることがわかっています。例えば、トマトのリコピン、紫蘇のロスマリン酸、アントシアニンなどが有名です。
現在でも、まだ未知のフィトケミカルが数万存在すると言われています。特に野菜に含まれているフィトケミカルは、食物繊維も含めて腸内環境を整えるなど、その美味しさや機能性が栄養学で注目されています。
フィトケミカルの機能
フィトケミカルにはさまざまな健康効果があります。
ゴボウは脳細胞を保護してくれる
例えば「ゴボウを食べると、脳細胞の死滅を抑えることができる」という報告があります。アルツハイマーの予防に効果があると期待されています。
ただ固くて食べるのが大変なので、簡単に食べられる調理方法が料理にもつながっています。
紫蘇を食べると記憶力が向上する
紫蘇を食べると、「紫蘇に含まれるロスマリン酸によって、記憶力を向上する」という報告があります。
ニラは「髪の毛が生える」ことを助ける
ニラを食べると、毛根につながる細胞数が増え、回復することによって、髪の毛が生えることも分かってきました。ところが、この成分はまだ発見されていないので、未知の成分です。ニラはスーパーで売っていて手軽に手に入ります。このようなフィトケミカルの効能を知ると、野菜を選ぶ判断基準にもなってきます。
野菜を食べるメリット
フィトケミカルを豊富に含む野菜を食べると、様々なメリットがあります。
1.老化の予防
身体の細胞の老化の指標である、「テロメア」というものがあります。テロメアがどんどん短くなるほど、老化は進みます。
野菜の摂取量を100グラム増やすと、細胞の老化が2年遅らせることがわかっています。
これもまだ成分は分かっておらず、野菜の抗酸化作用やその他の機能性成分による効果だろうと言われており、こういった報告が沢山されています。
2.ストレスの軽減
野菜を多く食べる人ほど、ストレスが軽減され、精神的な健康にも良い影響があります。不安が下がったり、緊張が和らいだり、要求するようなことが減ったり、幸福感が高まったり、メンタルにプラスの影響が報告されています。更に、野菜を食べている人は、肥満や生活習慣病のリスクが低いことも分かっています。
3.炎症の抑制
野菜には、炎症を抑える効果もあり、近年非常に注目されています。
高齢になると、どうしても「関節が痛い」「節々が痛い」「疲労が激しい」といった慢性的な炎症状態が出るものですが、こういった関節痛や疲労感を和らげる可能性があります。妊婦の炎症状態や妊娠糖尿病、妊娠時に起こる代謝疾患も、野菜の摂取によって抑えられることが期待されています。
妊娠中のつわりの抑制も報告されているので、障害が起こる前に日々野菜を食べておく重要性が高まっています。
今回は、野菜に含まれる「フィトケミカル」について紹介しました。
これらの成分は健康に多くの恩恵をもたらし、積極的に摂取することで、日々の健康維持に役立ちます。栄養学や予防医学の観点からも、野菜をしっかり摂ることの重要性がますます高まっています。
次回は、野菜の色と医学的効果について、お伝えします。お楽しみに。
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