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まず野菜から!様々な色の野菜を食べよう。「Eat the rainbow」とベジファーストが身体にいい理由|食の大切さと身体への影響 #3

前回は、野菜に含まれるフィトケミカルについて紹介しました。

今回は、野菜の色と成分、食べる順番による身体への影響の違いについて説明します。

※本記事は、ベジタブルテック(株) 代表取締役 岩崎の動画のリライトです。栄養学について解説しています。動画はこちら


野菜は色で選ぼう

カテゴリー3の「副菜」は、色彩が豊かで、赤・黄・紫・緑など、様々な色の野菜があります。例えば、緑の中にも黄緑や濃い緑があり、まるで虹のようにカラフルです。

Eat the rainbow!(虹を食べよう)

世界中で、これらのカテゴリー3が持つさまざまな健康効果が注目されており、積極的に食べることが勧められています。

栄養成分は目に見えませんが、色は目で見て分かります。だからこそ、食べ物の色を意識して、「Eat the rainbow」(虹を食べよう)という言葉が広まり、様々な色の野菜を食べることが推奨されています。

余裕がないと食生活は乱れる

バランスの取れた食事をするためには、カテゴリー1(主食)、カテゴリー2(主菜)、カテゴリー3(副菜)の3つを揃えることが基本です。しかし、身体的、時間的、経済的に余裕がなくなると、このバランスが崩れてしまうことが分かっています。

例えば、風邪を引いたときに野菜を食べるのは大変だったり、忙しいときにサラダを準備して食べるのも難しいものです。ドレッシングをかけて、カトラリーを用意して食べるのは手間がかかりますし、忙しいときにはサンドイッチのように片手で食べられるものを選んでしまうことが多いでしょう。

このように、まず最初にカテゴリー3の「副菜」を選ばなくなります。主食と主菜だけになり、さらに時間がなくなるとおにぎりだけ、パンだけ、というシンプルな食事に頼りがちです。

また、災害や紛争など非常に厳しい状況では、野菜を食べること自体が難しくなります。畑がなくなったり、衛生面で選ぶことができなかったり、配給されるのは主食だけ、という場合もあります。

バランスの取れた食事は「豊かさ」の証

カテゴリーの1、2、3、「主食・主菜・副菜がそろった食事ができる環境」こそが、私たちが「豊かさ」を感じる証しだとも言えます。バランスの取れた食事は、環境や社会の豊かさにもつながる重要な要素です。

もし今、カテゴリー3の副菜が足りていなかったり、1・2・3のバランスが崩れているなら、何らかの余裕が欠けている可能性があります。そうした状況に気づき、改善に向けて行動することが大切です。自分がどんな食生活をしているかを見直し、きちんと食事選びを意識していきましょう。

この選択が自分の未来につながってきます

「カテゴリー1・2・3をそろえていく」という方向性を、個人や社会が持つことができれば、健康と生活環境が豊かになっていくと思います。

食べる順番で健康に大きな変化がある

ここまでで、カテゴリー1・2・3をバランスよく食べることが基本であることをお伝えしました。さらに、研究によって食べる順番が健康に与える影響も分かってきています。

近年注目されているのが、「ベジファースト」(野菜から食べる)という食べ方です。食事の順番によって、血糖値の上昇が抑えられたり、ダイエット効果が高まったり、健康を管理しやすくなると言われています。

これは本当なのか、実際どのような食べ方がいいのか、研究結果をご紹介します。

食べる順番が血糖値に与える影響

ある実験で、食事を「15分以内に食べる」というルールのもと、5パターンの食べ方を比較しました。

①先に野菜を食べ、その後、肉とご飯を一緒に食べる
②先に肉を食べ、その後、野菜とご飯を一緒に食べる
③先に野菜を食べ、肉を食べ、最後にご飯を食べる
④野菜・肉・ご飯を一緒に食べる
⑤先にご飯を食べ、その後、野菜と肉を一緒に食べる

その結果、「食後の血糖値の上昇」がどう変化したかを見てみましょう。

食後血糖の上昇グラフ

血糖値が最も上がる食べ方は?

食後血糖の上昇が最も高かったのは、「ご飯を先に食べ、その後に野菜と肉を食べる」パターンです。つまり、炭水化物(ご飯)から食べると、血糖値が最も上昇することが分かりました。
しかし、血糖値が上がるからといって、それが悪い食べ方というわけではありません。血糖値が上がることで、エネルギーがすぐに体に取り込まれるため、悪い食べ方ではないんです。

次に、「野菜・肉・ご飯」を一緒に食べた場合、血糖値は2番目に上昇しました。肉を先に食べてから、野菜とご飯を食べた場合は、血糖値の上昇はさらに抑えられました。

そして、肉を先に食べてから、野菜とご飯を食べた場合は、血糖値の上昇はさらに抑えられました。

ここまで、野菜から食べたりお肉から食べたり、つまりご飯を最後にする食べ方では、同じくらい食後の血糖値を抑えられることが分かります。

最も血糖値を抑える食べ方は?

最も血糖値を抑える食べ方は、「野菜→肉→ご飯」の順番です。この順番だと、血糖値の上昇が最も抑えられることが分かりました。

つまり食べる順番で、食後の血糖値の上昇抑制をある程度コントロールできるのです。そして、インスリン(※)の出る量にも違いがでます。

※インスリンとは?
インスリンは食後に分泌されるホルモンで、血糖値を下げ、筋肉や細胞に糖を取り込み、エネルギーとして使える状態にします。血糖値が急激に上がると、血管に負担がかかるため、インスリンが速やかに分泌され、余分な糖が血液から細胞に取り込まれます。

野菜から食べると、体脂肪を増やしにくい

ご飯から食べた場合、インスリンがたくさん出ています。肉から食べた場合も、ご飯から食べた場合と同じくらい出ています。肉から食べた時、血糖値は抑えられていましたが、インスリンの出る量はご飯から食べた時と同じです。

そして、最もインスリンの量を抑えられているのは、野菜から食べた2つのパターンです(「野菜、肉+ご飯」、「野菜→肉→ご飯」)。

野菜から食べると、最もインスリンの分泌を抑えられることが分かりました。インスリンを節約することができるので、膵臓への負担も減り、余分に体脂肪が蓄積されるのを防ぐことができます。昔あった「低インスリン・ダイエット」と言うダイエット法と一致していますね。

つまり、血糖値を上げずに、体脂肪を増やしにくい食べ方は「野菜から食べる」ことです。これが「ベジファースト」と呼ばれる理由です。


まとめ

今回は、野菜の色と成分、食べる順番についてお話しました。
色の違いは成分や効果の違いなので、「Eat the rainbow」、様々な色の野菜を食べることで、健康的なバランスのよい食事をすることはできます。

そして、ベジファースト。野菜から食べることで、急激な血糖値の上昇を抑え、インスリンの分泌量を抑え、体脂肪の増加を防ぐことができるのです。

次回は、腸と身体の関係について、解説します。お楽しみに。


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