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米不足ではないとすれば、何が起きているのか?お米問題を考える(その4)
こんにちは
書けば書くほどわからないことがでてきます。
一昨日のつづき~
政府は、コメは不足していない、だから備蓄米を放出しない、と言いました。
コメ不足ではないとすれば、何が起きているのか。
需給バランスの崩れです。
本当はあるのに、行き渡っていないところもある。
農水省が8月に出した「米をめぐる状況について」を見ていきましょう
食料安全保障、国民の命に関わるお米には、
政府の備蓄以外に「民間在庫」というのがあり、国が把握しています。
コトの発端は、政府が「民間在庫が1999年以来、最も減っている」と発表した6月末あたりから。
(以下記事より)
農林水産省は、6月末時点のコメの民間在庫量が前年同月より41万トン少ない156万トンで、
1999年以降で最も少なかったと発表しました。
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今月は177万トンと予測していた在庫が、156万トンと20万㌧少ないこと、
去年の同じ月と比べると41万トン少ないと発表したのが6月末です。
(毎年一番少なくなる6月末に発表しています)
それで民間が出し渋りを始めて、需給がひっ迫した。
1か月の消費量は(去年の平均)58万㌧だったので、このままいくと
民間在庫は3ヶ月持たない。
6月末が156万㌧ から計算とすると
7月末は 98万㌧ (予想)
8月末は 42万㌧ (予想)
一方、政府の備蓄米は90万トンです。
なので、通常より少ないとはいえ7月末、8月あたまの時点では、90万トンぐらいある計算ですから、政府は「民間にはまだあるのは把握できているから」、「備蓄米は出さない」と言ったのです。
とはいえ、市場原理として、底が尽きそうなのに手持ちのカードを全て出し切るとは考えにくい。自分がお米を取り扱う会社の社長だったらどうするか?稀少なものは高く売りたい、少しは手もとに残しておきたい。秋に米が収穫して出回ると言っても…。
そして、根本的な問題は、
そもそもお米の減反をし過ぎたのでは、という疑問がわいてきます。
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同じく農水省サイトにあったお米の生産量。
令和5年は661万トン。その前の令和4年は670万トン。
令和元年から、726万㌧→723万㌧→701万㌧と670万㌧→661万㌧
国では毎年およそ10万トンすつお米の生産を減らすような政策を進めてきていました。
需要も10万づつ減ると予測していたのです。
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こちらは需要。
令和4年の需要が691万㌧だったので、令和5(2023)年度はそこから10万減の
681万トンを予測していましたが、実際は、702万トンでした。
これが大きな誤算です。
10年ぶりに前年を上回ったのです。
予測よりも20万㌧も需要が増えたことが、まずはひっ迫の原因です。
インバウンド需要も伸びましたが、3213万人が10日間滞在して5.1万㌧という試算があります。
あとの15万トンを説明できていません。
その結果、農林水産省は、6月末時点のコメの民間在庫量が前年同月より41万トン少ない156万トンだで、1999年以降で最も少なかったと発表しました。
この表を見ると、令和4年(2022)度の「需要」は691万㌧ですが、
先ほどの「生産量」によると、令和4年度は670万㌧。
すでに21万トンも足りませんでした。
さらに令和5年(2023)は661万㌧しか生産量がないのに、702万トンの需要と41万トンも大幅に需要と供給のバランスが崩れた。
2年連続して、20万足りない、40万足りない、ことが起きたのです。
それが民間在庫が41万足りない数字とぴったり合います。
つまり、需要は減るものと思ってどんどん生産調整して、減反してきたけれど、
思ってたより需要が伸びたので、足りなくなった。
ない袖は振れません。
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そろそろまとめ
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需給バランスの崩れは、お米に始まったことではありません。
思えば、牛乳でも同じようなことが起きましたね。
コロナ禍で学校給食がなくなり、牛乳が余った。
コロナのずっと以前にもバター不足で緊急輸入というのもありました。
このバター不足も実は、民間在庫はあったのに、一定量より少なくなると、企業は出さないという現象が起こるようです。
(それが市場経済というもの。少ないと値段は上がる)
それから卵が不足して値上がりしました。
鳥インフルエンザによる大量処分が原因ですが、そもそも大規模・近代化したゆえに1か所で発生すると何百万羽のニワトリをすべて処分しないといけなくなったのです。
コロナ禍では和牛の在庫も積み上がりました。
問題は、弱いところから起きます。
農業人口が減り、農業生産という基盤が衰退していくと、
有事の変化に対応できなくなる。
有事に対応するには、つまるところ「バッファー」=「余裕」が必要なのです。
さて私たちはどうするべきか。
政府のせい、在庫をため込んで値段を釣り上げる流通のせい、
と誰かを非難しても、日々の暮らしはたのしくなりません。
究極は、メインの市場経済の外に、食べものを手に入れる道を持つことです。
自分で作るか?
作る人と仲良くなるか?
田んぼに遊びに行ったり、マルシェに行ったり、
農家の知り合いをつくる身近なところから行動は変えられます。
そういうのをローカルフードシステムと言います。
(本当は、日本には「地産地消」といういい言葉があるのですが、これはいいまひとつ盛り上がりに欠けた。これについては、また次回、別の場で)
顔の見える、融通し合える、笑顔をもたらす取引きであり、交流です。
それぞれの農ライフ!
そんなに悪い話ではないと思います。
つづく
ベジアナ@あゆみ