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菜乙女塾が目指すビーガン料理


不器用で不完全な家庭料理が奥深さとして心にしみる時代へ

今の時代、効率が重視され、ファーストフードのように手早く、無駄を省いた料理が当たり前になっています。時間をかけず、できるだけ手間を省く料理は確かに便利ですが、こうした「時短」や「効率」が重視される料理の在り方はどこか心が満たされず、時代とともに限界が生じてきていると感じています。今後、効率重視の時代は終焉を迎え、人は料理に対して心の豊かさを求めるようになってきているのではないか?と感じています。
菜乙女塾は、効率重視の商売料理ではタブーとされる考え方で対極にある「家庭料理」をあらためて見つめ直すことで、今後の時代の料理の在り方を提案したいと考えています。

不器用な人ほど味のある料理を作る、心を込めた家庭料理の魅力

商売としての料理は、速さや完璧さが求められます。飲食店やレストランで提供される料理は、いつも同じ味と見た目を保つことが大切で、そこに柔軟さや気まぐれは許されません。いわゆる「せっかち料理」や「時短料理」です。でも、家庭料理は違います。

生成AIにより作成

家庭料理とは、食べる相手のことを想って、心を込めて作るもの。時には不揃いだったり、少し失敗したりすることもありますが、それもまた味わいのひとつです。不器用な人が作る料理にこそ、家庭の温かみや、その人ならではの味が宿ります。それは「おふくろの味」のように、どこか懐かしく、心に残る料理です。

料理を楽しむ心を大切にする

料理を作るうえで最も大事なこと、それは「楽しむこと」です。器用にささっと作るのも良いですが、食材と対話するような気持ちで、ひとつひとつの作業を楽しみながら進める。おしゃべりが好きな人なら、食材とおしゃべりするような感覚で手を動かしてみる。そうやって作った料理には、自分の気持ちや個性が自然と表れてきます。そして、失敗することも恐れず、その過程さえも楽しむこと。失敗から新しい発見が生まれることも多いのです。

生成AIにより作成

たとえば、奥さんがご主人に「今日のはちょっと失敗かも」と言って出した料理でも、それを笑って受け入れられる関係が、かえって家庭の温かさを生み出すと思いませんか?
失敗も味わいのひとつにすることで、料理を通じてお互いの心が近づいていく。そうした「人と料理の絆」こそ、菜乙女塾が大切にしたいものです。

まずは「自分のために」料理をすること

家庭で料理をするとき、誰かのために作ることが多いかもしれません。でも、最初は自分が食べて美味しいと感じる料理を作ることが大事です。自分が楽しみ、自分が満足できる料理ができるようになって初めて、相手の好みに合わせた料理にも心を配れるようになります。だから、まずは「自分のため」に料理を作って練習すること。菜乙女塾では、そうした料理の楽しさを伝えたいと思っています。

「反対を行く」ことで見えてくる料理の可能性

菜乙女塾が目指すのは、「完璧な料理」を作ることではありません。むしろ、あえて「反対を行く」発想を大切にしています。
具体的にどう反対になるのかを見ていきましょう。

・定説「完璧な料理を作ろうと調理する。」
⇔逆を行く発想「不完全で足りない状態の方が味わい深く感じる」

 例えば、切る時や調味料をまぶす時は、不揃いでまばらな方が食べていて飽きない味わいを生みます。また、完璧な栄養を作ろうとしないことです。足りない栄養素があっても良く、副食など別の方法で補えば良いのです。更に、焦げた部分があっても、その苦味が味に深みを与えて味わい深く感じることもあります。ご飯のおこげなどが良い例ですね。

・定説「無駄は省いて効率的に調理した方が良い。」
⇔逆を行く発想「無駄を楽しむ。無駄な行為が料理の魅力になる。」

 例えば、わざわざ臭みになる要素と、臭み消しの両方を入れます。具体的には、コンニャクをアク抜きせずに肉の臭み消しとなる調味料やスパイスを入れることで、肉の味と似たような風味が出ます。そもそも臭みが無い食材でも肉料理の臭み消しを入れることで、肉料理のような味わいが出ます。栄養面においては、栄養を取ることを最優先としないことも同じ発想です。栄養があるから食材を選ぶのではなく、栄養が少なくてもその食材の味を楽しむことも料理において遊びの要素となります。

・定説「余計な手間を省く。」
⇔逆を行く発想「ひと手間加える。」

 例えば、味噌汁を作る時にお湯の入った鍋にネギをそのまま入れるのではなく、一度炒めてから鍋に入れると、ネギの甘味が増して味わい深くなります。他にも、料理に飾りをつけたりや薬味を乗せることなども、手間や無駄を楽しむ一例ですね。

食材を「生き物」として扱う

菜乙女塾では、食材と共に「生きた料理」を作ることを目指しています。
そのため、食材をただの無機質な材料として扱わず、一つ一つを「生き物」として大切にする姿勢を持っています。たとえば、以下のような心がけをします。

・食材に合わせた温度管理

蕎麦やうどんを茹でた後に冷水で締めると、コシが生まれ、香りが引き立ちます。

・その野菜の良さを引き出す切り方をする

野菜を切る時には、その素材の良さが引き出せる切り方を探します。例えば、玉ねぎや人参は横に切るよりも縦に切った方が甘みが増します。食材の個性や特性に合わせて調理することで、料理が生き生きとしたものになるのです。

・食材同士の相性をみる

 食材の組み合わせを考える時も、人間同士と同じように関係性を配慮してあげます。例えば、タマネギなどの出汁や旨味が出る食材は、味を受け止める要素を持つ食材、例えばジャガイモやパスタなど味を受け止めて染み込みやすい食材と相性が良いですね。

・人工的に扱わない。人工物を避ける

 食材をしまう時にプラスチックのタッパーなどの容器に入れるよりは陶器のお皿などに入れた方がなんとなく料理が違います。もちろん、これは無理のない範囲で。

・鮮度を保つ

 野菜などは調理する前も生きていますので、冷蔵庫の中でも元気に保てるような工夫が必要です。例えば、シソの葉を買ってきた後、シソの茎の部分を水につけておくと長持ちします。

・呼吸させる。呼吸のようなものでタイミングを図る。

料理全体の「呼吸」を感じることも大切です。例えば、物理的に食材が呼吸をしているケースは分かりやすいと思います。お店で売られている発酵食品はそれ以上発酵しないように発酵を止める成分が入っていることがあります。自宅で発酵食品を作ってみるというのも一つの方法です。また、スパイスを油で加熱した後にお湯などをジャッと入れて引き締めると、香りが引き立ちます。また、揚げ物をする時に、油から引き上げるべき絶妙なタイミングというものもあります。調理中も料理自身が呼吸をしていると思って、呼吸を感じ取ることで次の動作に移るべきタイミングが見えることがあります。

・生きた料理をする。料理は生き物。

例えばフライパンなどで炒める時に、炒めすぎると食材がくたくたになってあまり美味しくなくなることがあります。炒めすぎず、食材にとって丁度良いころ合いを見ることも大切です。

・副産物を捨てずに使う

 食材から出るものをうまく循環させることも大切です。例えば、大豆ミートの茹で汁を捨てずにうどんなどスープの出汁として使うことができます。人によってはうどんやパスタのゆで汁をスープやソースに使う人もいますね。

「気楽に、心を込めて」料理をすること

料理をするとき、心を込めつつ、肩の力を抜いてリラックスすることが一番大切です。作る人の気持ちが、そのまま料理に映し出されるものだからです。「おいしくなれ」「たのしいな」と心から思いながら作る料理には、きっとその気持ちがそのまま伝わります。菜乙女塾が目指すのは、完璧な料理ではありません。無駄や不揃い、失敗を楽しみ、心から「生きた料理」を作ること。その料理が食卓に並ぶとき、食べる人の心もきっと満たされることでしょう。

以上になりますが、いかがでしたでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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