灸を据える
今度の衆議院総選挙は自民党の安定過半数で幕を閉じた。
予想できた結果であり、岸田総理にも安堵の表情が見られた。
もちろん無傷では済まされなかった。
甘利幹事長などの「大物」が相次いで小選挙区で落選したからだ。
それでもマスコミの予想を大きく外して自民単独で261議席を獲得したのである。
結果を総括すれば「無風選挙」であり、国民は「安定」を求めて、自民を支持し、ただそのままでは済まされないので「灸を据える」つもりで不祥事のあった自民の「大物」たちを落としたわけだ。
野党の共産党を含めた野合は支持されなかった。
国民は見抜いていたと思う。
選挙のためだけの協力関係は、その先が見えないからだ。
これは共産党支持者からも不満があったはずだ。
もちろん「連合」からも苦情が出ていた。
それはそのまま民意にも反映されており、立憲民主党と共産党の首脳たちはその点を見誤ったのだと思う。
注目すべきは日本維新の躍進だろう。
改憲発議なら、自公+維新で衆院議席の四分の三に迫るからだ。
ただ、改憲案の内容は自公と維新ではかなり異なり、また公明党は九条改憲には反対の立場であることから足並みはそろわないだろう。
新型コロナ政策に注力せねばならない政権運営において改憲論の優先順位は後方に押しやられている。
とはいえ、自民党支持の十代有権者が他の年代に比べて、もっとも多いという調査結果や、沖縄選挙区でも基地問題を選挙公約に挙げにくくなっているなどから今後「自民色」が強い世論になっていきそうだ。
岸田氏の「おばさん受け」しそうな笑顔と、誠実そうな人柄にかけようではないか(私はこれっぽちも思っちゃいないが)。
実際、私の周りの五十代以上の女性も男性も「岸田さんなら、まあいいんじゃないの」と思っているようだ。
付け加えるなら、維新候補の応援に来た吉村大阪府知事の「カッコよさ」にしびれたおばさんも多かった。
維新の躍進も予想できた今回の選挙だった。
いつものように低い投票率が自民に好影響となったのは言うまでもない。